14号 2007年12月発行

 

  ねりま 九条の会 総会報告                 

 ねりま九条の会は12月8日大泉勤労福祉会館で第4回総会を開催しました。参加者は46名。小澤隆一さんの記念講演は大好評でした。講演要旨は2,3面に、全文はパンフレットにして会員にお配りする予定です。 司会小関玲子、議長遠藤千春、森田彦一、開会挨拶岡本厚、経過報告大柳武彦、会計報告小岩昌子、会計監査報告比嘉高、地域九条の会からは六人が発言しました。

 岡本厚さんの挨拶要旨  

 参議院選挙の結果、安倍自民党が大敗し状況は変わり、自衛隊がインド洋から帰ってきた。イラクからも帰ってほしい。自・民大連立や、小澤辞任騒ぎが起きたが、衆議院、参議院のねじれは国民の意思であり、政策を国会で議論し、合意できない案件は通すなということだ。与党、財界のやりたい放題の国会には議論がなく、死んでいた。福田、小澤会談の中身は消費税を一緒に上げる約束だったようだ。憲法については、これからは明文改憲から解釈改憲の動きが強まってくるのではないか。関心を持って深く見ていかなければいけない。それがこれからの課題ではないだろうか。

 2005年、沖縄戦の「集団自決」裁判が起こされた。大江健三郎さんと、岩波書店が訴えられ、沖縄戦における慶良間列島の住民の「集団自決」に、集団死には守備隊長であった梅沢裕氏は命令しなかったと主張した。しかし11月の本人尋問で訴えた『沖縄ノート』を読んだのはいつかと尋ねると「去年」と答えた。訴えたときは読んでいなかったのだ。「あなたが命令したと書いてありますか」の問いに、「ありません」、「どこが問題ですか」には「分かりません」と答える。彼の後ろにはたきつけている「靖国応援団」や「新しい歴史教科書」のグループがいる。文科省は教科書検定で軍の命令はなかったと書き換えさせたが、根っこは同じだ。その大将の安倍が潰れたのに、未だに撤回に応じていない。沖縄では十一万人という復帰後初めての規模の抗議集会を行っているが、この問題にもぜひ注目してほしい。
 最近、九条や教育基本法がよく読まれている。憲法をみんなで読んでいくなかで、私たちの基盤をもう一度固める時代になってきているのではないか。基盤を固めるなかで次の日本、平和で自由な社会をつくって行く時期だと思っている。

練馬駐屯地へミサイル展開!?

11月中旬、練馬区内で「テロに立ち向かう自衛隊」というテーマで防衛問題セミナーが開かれた。
 参加した自衛隊関係者は、「自衛隊員は全て命令一つで動くんです。政府の考えは『神風思考』だ。政府の言う『非戦闘地域』なんていうものはイラクにあるわけない。我々は、自衛隊は軍隊とは思ってない、イラク・カンボジアPKO・掃海艇派遣もみんな『神風思考』の命令で行かされたんです。隊員一人ひとりの気持ちになってほしい。給油のためだとか理由をつけて再度自衛隊を海外に派遣することはおかしいです。」と機関銃みたいに次々にやるせない気持ちを私に告発していた。 
 防衛省の不祥事問題はなんのその、練馬駐屯地へ地対空誘導弾ぺトリオット(愛国者)展開訓練が九月だ12月だ来年だと新聞は書き立てている。
 練馬区はミサイル問題で防衛省に照会しても情報はなく頭を抱えている。ペトリオット(愛国者)は一発5億円、三菱重工がライセンス生産をすれば倍の十億円だという。
 みなさんは朝霞駐屯地(練馬区大泉学園町)にミサイルが配備されているのをご存知だろうか。
 フォークミサイルという地対空ミサイルが以前から配備され続け、今年、自治体になにも通告せづに配備変更があったという。幹部自衛官も「せめて自治体へ通告しても良いのでは」と、疑問視する。
どんなミサイルで値段はおいくらだと思いますか。
名前は略して中SAM(ちゅーさむ)03式中距離地対空誘導弾、なんと1セットが169億円。新座市図書館からレーダーなどが丸見えです。
 来年は自衛隊員を練馬九条の会会員にしたいものです。        練馬平和委員会  坂本茂

 

◆記念講演のまとめ◆    

「あなたが開く新しい日本の扉」

     ー九条の会・憲法を力の源泉にー     

小沢 隆一 氏

  東京慈恵会医科大学教授憲法学専攻・9条の会事務局員

 

民意が反映された参議院選挙

 2007年の参議院選で改憲をトップに掲げる安倍自民党が大敗北。過半数を取れず、参議院の第一党は民主党が獲得した。多くのマスコミが「明文改憲阻止、安倍改憲路線が国民によって拒否された」と報道したが、参議院選は衆議院に比べて、その時々の争点に対して民意が反映されやすい。

自民党の改憲案 ー新憲法草案からー

○今の自衛隊に変えて「軍」を正式の憲法上の存在にしようとしている。
 「我が国の平和と独立ならびに国及び国民の安全を確保するために内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を持つ」
○自衛軍がアメリカと一緒に海外に出て行けるようにする。
 「自衛軍は第1項の任務のほか、法律の定めるところにより国際社会の平和と安全を確保するために自主的に協調して行われる活動を行うことができる。」
 この文言は一見すると、国連が行う平和活動に日本が協力すると読める。もしそうであるならば「国連」の活動とはっきり書くべきだ。「国際社会」と書くところに魂胆があることに気づかなければならない。
 アメリカはイラクを攻撃する時何といったか。「イラクはならず者だ。大量破壊兵器を持っている。それを叩くのは国際社会の平和と安全のために必要だ」と強調したが、国連安保理は「もっと査察を続けろ!」と主張してアメリカの要求に応じない。そこでイギリスを抱き込んで勝手に武力攻撃をした。これも国際社会の平和と安全のためだと言うわけだ。当時小泉さんはそのアメリカにすぐに応じて協力したが、こういった協力の仕方がこの条文のこの文章に当てはまってしまう。これからはもっと自衛軍がアメリカと一緒に海外に出て行って踏み込めるような中身になっている。

民主党案はどうか?

 民主党の新しい憲法案では「国連憲章上の制約された自衛権」を明確化すると言う。国連憲章は、攻撃された国に対して、国連としての措置を決めてそれを発動するまでの間に限って自分の国を守る個別的自衛と、他の国に一緒に守ってもらう集団的自衛権を時間限定で認めている。
 「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、加盟国は個別的・集団的自衛権を行使できる。加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない」
つまり国連憲章に書かれた制約的自衛権には、個別的自衛権と集団的自衛権の両方が含まれているわけだから、民主党の憲法案は、今の憲法を変えるとするなら集団的自衛権を使えるようにするということに過ぎないのである。

九条がなくなったら…?

1、軍事目的の土地の収容
憲法九条の下では軍事目的の土地の取り上げはできないことになっている。米軍だけは特別扱いで、日本が地主から強制的に土地を借り上げて地代を支払うことになっている。九条の下では、そのようなことは日本の自衛隊については許されていないのだが、九条がなくなると強制収容が可能になる。
2、軍法会議の復活
 軍の法律というのは軍人だけを規律しているわけではない。軍事動員として、兵士以外の民間人や一般の公務員に対しても軍事に際して動員をかけるのも軍法。民間人、例えば警察関係者や医療関係者が軍事動員を拒否したなどという場合も、軍事裁判所で厳しく裁かれるということになる。
3、首相の靖国参拝も合憲に
 国は社会的儀礼の範囲内であるならば宗教に関与しても憲法違反ではない、政教分離の原則にその程度のことなら問題ないのだと言っている。首相の靖国参拝を社会的儀礼の範囲内であるということで憲法違反ではないことにしてしまうだろう。

集団的自衛権=同盟による平和はありうるか?

 集団的自衛権とは、軍事同盟でお互いを守りあう権利だ。しかし、過去の歴史に照らしてみるなら、軍事同盟によって平和や安全を守るというやり方では、決して平和は守れないことが実証されている。
 第1次世界大戦は、セルビヤの首都サラエボでオーストリヤの皇太子が暗殺をされたことから始まった。皇太子の暗殺に怒ったオーストリアがセルビアに対して宣戦布告をする。当時同盟を結んでいたドイツもいっしょにセルビアを攻める。
セルビア側にはフランスやイギリスがついて、ヨーロッパ全土を巻き込む戦争にまで発展してしまった。第2次世界大戦も同じような形で勃発した。 
 同盟によってお互いに仲間をつくってよそから攻められないようにしようという守り方は、敵とされた国はその同盟の力を怖れて、自分たちの仲間をつくってしまうため、同盟対同盟の
大戦争に発展してしまうのである。
 戦後、国連憲章51条が作られた時に、アメリカの画策によって集団的自衛権が条約に盛り込まれた。その結果、ベトナム戦争を初め、ソ連が東欧諸国を巻き込んでチェコの民主化運動に介入した時、またニカラグアの民族解放戦線を転覆させるためにアメリカが画策した時などに集団的自衛権が根拠となった。このように過去の例を調べてみると集団的自衛権は戦後の歴史の中でも、いい役割は全く果たしてはいない。国連憲章に書かれてはいても、集団的自衛権は封印すべきものだと私は思っている。

徴兵制は?

 アメリカが今イラクやアフガニスタンでやっている戦争は、無人の飛行機、無人の戦車などを使いながら、相手の兵士や民間人に多大な犠牲を出す戦争である。これからもこんな戦争を大々的に進めようとしている。こういう戦争では、高度な兵器を操る技術を持った少数の優秀な兵士が必要であり、徴兵制ではそういう兵士の確保はできない。
 これからの戦争では、おそらく、戦争のための物資の運
搬、製造、港や空港での荷揚げ荷卸し、医療活動などの後方支援が今よりも要求されてくるだろう。私たちは若い人に
「あなたたち憲法が変えられたら大変ですよ。あなたたち若い人たちが真っ先に取られるのだから」と言いがちだが、これからはそうではない。未熟な若い人よりはむしろベテランこそが、徴用として取られる危険性が多くなる。徴兵・徴用に関しては老いも若きも、誰にとっても大変なことが起こるのだというふうに語りかけをしていく必要があるだろう。

日本国憲法10章「最高法規」をよく読む

10章には日本国憲法の基本的な性格が示されている。1、最高法規である憲法に反する法律をつくってはいけない。
 98条「この憲法は国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令(省略)はその効力を有しない」
2、憲法は権力を担当する公務員たちへの命令。彼らが勝手 に権力を行使しないように、縛りとしてつくられている。それが憲法である。
 99条「天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」
3、基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であり、憲法に基本的人権が書き込まれたことで全てが終わるというものではない。不当な権利の侵害があればそれをはねのける運動を積み重ねることによって、憲法に書かれている人権というものがより確かなものになっていく。より確かなものとなった人権は将来の国民に対して侵すことのできない永久の権利となっていく。
 97条「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力成果であって、これらの権利は過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対して侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」
 私たちが憲法を使えば使うほど、確かなものとして憲法はこの社会に定着し、そのことに支えられて初めて公務員も国民の声に応えて憲法を守ろうとする。公務員の憲法尊重擁護義務と、私たち国民が運動を通じて憲法を守る、自分たちの人権を使うことによって憲法を守るという両方から支える形で初めて憲法98条の最高法規性は守られていく。運動と公務員の義務は車の両輪なのだということを私は第10章にかかわって強調したい。

政・財界に未来は託せない

 財界は今、海外の安い労働力を使って物をつくらせ、それで貿易をしたり、日本に逆輸入して儲けている。さらには武器生産による金儲けを企てている。そのため、武器輸出禁止の原則を緩めてくれと政府に要求を出し、一部は認められている。大企業のこのような金儲けや、海外生産による内需を無視した儲け方は、当然私たちの暮らしにマイナスになるが、海外に暮らす人々の暮らしにとってもマイナスになっている。そしてまた日本と海外の人々の平和な関係も壊していく。日米がミサイル防衛開発を進めていると、諸外国も軍拡に走る。するとどの国でも税金が軍需に使われ、人々は低い生活水準に甘んじることになる。このようなやり方を改めさせて変えていく、できるかぎり諸外国とりわけアジアの人々と私たちの賃金水準の格差を縮めていけば、企業も海外進出をしなくなる。そうすれば海外の人々も幸せな暮らしができるし、日本の地域経済の建て直しにもなる。うまい循環が戻ってくる。こういういい循環をつくり出す大元には、実は憲法九条がある。私たちが日本の未来を切り拓いていく上での大切な扉、最初の扉は憲法九条にあるのだということを強調したい。〈4面〉

お願い 2008年度会費納入のお願いします。年会費は1000円、特別賛助会費は10000円です。同封の振り替え用紙にてお振込み願えないでしょうか、なお2007年度分未納の方は振り替え用紙に別に記載してありますので、2年分よろしくお願いします。なお行違いがありましたらご容赦下さい。