22号 2009年4月発行

 

「海賊問題」を改憲の口実にさせないために 

                            大柳 武彦(ねりま九条の会事務局長)

  4月3日読売新聞の世論調査では、改憲に賛成が51,6%、反対が36,1%、昨年の調査を逆転しました。原因はソマリア海賊問題、北朝鮮のミサイル発射問題が影響しているようです。また九条の会の活動が一服状態になっている(渡辺治九条の会事務局次長)と指摘されています。
 「ソマリアの海賊から日本の船を守るために警察行動としての武力行使は許される」、この論法に国民が充分反論できないうちに自衛艦が二隻派遣されました。そして衆議院では海賊対策法が可決され参議院に回されました。ソマリア海賊問題の詳細は二〜三面に掲載しますが、イラク・アフガンへの派遣と違って、兵站、後方支援ではなく、相手を殺傷する目的で出かけたということです。海上保安庁なら良いという意見もありますが、その破壊力は自衛艦に劣らず、海上保安庁の軍隊化を許すだけです。
 ソマリア海賊問題は武力ではけっして解決できません。ソマリアは、内戦後、 政府が崩壊し、国連にも見捨てられ、干ばつの被害にもあい、世界で最も貧しい国の一つです。支援物資の届かない人々は、餓死を待つか、生きるために海賊になるしかない状況になっています。
 海賊対策には、ソマリア自体の安定化に向けた取り組みを援助するために、周辺国を含む地域的な協力が不可欠と指摘されています。
 海賊対策法の問題は①国の経済利権の擁護のため②護る対象船舶は限定なく③派遣は防衛大臣の判断で、国会承認は不要④海域、期間に限定はなく、停船のための船体攻撃ができる。文字どおりいつでもどこへでも自衛隊を派遣できることと、憲法九条の武力行使禁止を破っていることです。自衛隊は明らかに陸海空軍その他の戦力に該当し、憲法違反だと思いますが、少なくとも武力の先制行使の禁止や、他国の船舶を守る共同作戦・集団的自衛権の行使の禁止をうたっています。その点から見ても、自衛艦の派遣は自衛隊法に違反する行為です。海賊対策法を参議院での否決・廃案にしないと、九条はあっても何の縛りにもならなくなります。
  来年は国民投票法が施行され、法改正されればその前からでも18歳から選挙権が持てます。国民の過半数を獲得するために、高校生も対象に「平和を望むなら九条を活かそう」と訴え、呼びかけ続けましょう。

 

      ソマリア沖派兵と「海賊対処法案」を検証する

                                                                              田中 泉(メールからの転載) 

ソマリアでの海賊行為が問題とされる背景や根本的な原因を知りたいと思ったので、私はいろいろな資料を読んでみました。すると驚くべき事実がわかりました。
1991年以降、ソマリア沖では欧州、アラブ、極東各国から来た漁船が、許可もなくソマリア沖で魚を釣っていて、漁民たちは大変迷惑をこうむってきたそうなのです。それで、漁民たちは国連やEUに不満を訴えてきたのですが、完全に国際社会から無視されてきたとのことでしたひどい話だと思いました。結局、貧しい漁民たちは魚を釣る場を確保しようとして自分たちで「全国海上保安ボランティア」というものを立ち上げるしかなく、それがいま「海賊」とよばれているものに進化したと言われているようです。ですから「海賊問題」の原因を作ったのは私たち比較的豊かな国々なのですね。

  ソマリアという国は、欧米列強による植民地支配、東西冷戦、その後の政情不安を経て「崩壊国家」と呼ばれているほど荒廃してしまった国です。国民の平均寿命は47歳で、43%の人々は1日1ドル以下で毎日暮らしていかなければなりません。海賊の疑いがある場合は発砲してよいという安易なルールのもとに海上自衛隊を送ってしまったことで、厳しい生活を送っている漁民たちに、日本は知らず知らずに銃口を向けてしまうかもしれないと考えると、大変な事です。

それだけではなく、1992年以来、ソマリア沖には70年代〜90年代まで多国籍企業が産業廃棄物、核廃棄物を捨ててきたそうです。当時の世界銀行のチーフ・エコノミストで、現オバマ政権の経済対策チーフ・アドバイザーであるローレンス・サマーズ氏があるとき、「皮肉な冗談」だとしながら「世界でもっとも貧しい国に有毒な廃棄物を捨てる事は、まったく申
し分のない経済原理だ。」と言ったことがあるというのですから、あきれてしまいます。大国と一部の大企業の金儲けのためなら、ソマリアの海が汚れ、漁民が職を失ってもよいのでしょうか。

ですから、「海賊問題」を作ったのは外国ですし、それを解決させるなら、近年ソマリアで結ばれた和平合意が守られることを支援するとか、国がきちんと安定するまでは食糧や医薬品などの援助をし、また廃棄物で汚れた海をきれいにする手伝いをして、漁民たちをサポートするとかすべきなのではないでしょうか。そうでないと、反感を買い、海賊は増える一方のような気がします。 日本はこれまで、フィリピンやインドネシア、マレーシアなどで海上警備をする人たちを育成する手助けをしてきていると聞きます。なぜソマリアにはおどろおどろしい軍艦で行かなければならないのかわかりません。 ソマリア沖は日本船舶も通り、経済利益に影響があるという口実があるようですが、私のみた資料では、年間2000隻の日本関連船舶が通る中で、2008年度中に「海賊等の被害」に遭ったのはたったの3隻ということでした。だいたい本当に日本の経済利益を守りたいのであれば、人を殺傷する能力をもった船を外国に出したりしないで、日本は武力を行使しない国であるという事を世界に表明すべきだと思います。それが平和憲法をもつ日本政府のやるべきことではないでしょうか。
 また、政府が違憲行為を行っている場合、国民には従う義務はないし、むしろ従わないのが義務だと思います。

                

【この文を書くにあたって参考にした資料は以下の通りです 】
①警察活動を口実にした海外派兵・武力の行使~ソマリア沖 派兵と 海賊対処法案に反対する意見書(自由法曹団)
②米国独立系メディアDemocracy Now! (2009年4月19日放送) 
②の日本語字幕版がCS放送局朝日ニュースターの番組、「 デモクラシーNOW!」 にて放送される予定です。  

    海賊対処法案の内容(自民党案)
    ① 海上輸送用船舶の安全と海上における治安維持を掲げて、「世界の海の憲兵」として権益擁護を目的とする(第1条)
    ② 対象船舶にも対象海域を限定せず、どこの海にでも派兵して共同作戦ができるようにする(第2条)
    ③ 「抵抗」や「逃亡」を行う海賊船(容疑の船)には危害射撃、停船命令に従わない海賊船(容疑の船)には船体射撃(任務遂行のための射撃)を認めて先制攻撃を可能にする(第5、6、 8条)
    ④ 防衛相に海賊対処出動命令権を与えて、国会承認は不要とする(第7条)
     海賊対処を軍事部門(防衛相・海上保安庁長官)の「専権」とする(第10条)
    「船舶の運航に関係する者」(=国民)に海賊対処に協力する責務を課す(第11条)
    「日米軍事約束」を優先させる(第12条)
                             自由法曹団の意見書より抜粋(事務局)


練馬区内九条の会の活動紹介 

 

大泉9条の会「教えてくださいあなたの戦争を」
(第1回 大泉地区の戦跡を訪ねて)

 さる4月11日大泉9条の会主催で、大泉したみち通りの「戦跡」をめぐりました。4月にしてはいささか暑い日でしたが、33名の参加者が西武線保谷駅から最終大泉学園駅まで約2時間のコースを歩きました。訪ねた先は、反戦的手記を残して中国河北で戦死した見習士官・田中源太郎さんの生家とそのお墓、本照寺、中島児童公園の「平和記念之碑」等で、本照寺本堂では境野住職の平和への思いと実践を話していただき、被災体験者の手記朗読もありました。
最後は小泉牧場でおいしいアイスクリームに舌鼓。今まで私たちがほとんど知らなかった身近な戦争の爪痕を訪ねてみて、改めて戦争の残酷さ、虚しさ、くやしさを実感することができました。今回の企画については、南大泉在住の元中学の先生、今井忠男さんのご指導をいただき、その著書「身近な地域で学ぶ 戦争と平和」を参考資料とさせていただきました。
 大泉9条の会としては、今回を第1回として、これからも肌で戦争の経験を感じることのできる催しを企画していきたいと考えております。                                        (松島 記)

 

光が丘9条の会 「訪問署名集め行動


 光が丘9条の会は4月12日(日)に各戸を訪問しての署名集めを行いました。初めての行動に緊張と不安まじりの面持ちで集まった6人は、予想以上の好反応に手ごたえを感じました。
 当日は26人分の署名が集まりました。待ってましたとばかりに3人分の名前を記入した署名用紙を渡してくれた人や、玄関先で「(憲法改悪は)不安です」と署名に応じてくれた女性もいました。私どもが5月10日に予定している湯浅誠さんの講演(光が丘区民センター、午後6時半)への関心の声も寄せられました。
 今回の行動のきっかけとなったのが、土建ねりま九条の会が昨年11月に光が丘5丁目で行った全戸訪問作戦でした。一軒一軒をまわって対話し、考えを丁寧に伝えることで、憲法九条を変えさせない世論の醸成につながるのだと実感しました。
 なんてったって草の根の組織ですから。足元から地道に、粘り強く働きかけることが大事ですよね。(勝又記)
 

東京芸術座9条の会


  私たち東京芸術九条の会は2005月12月6日に劇団内の有志が集まり、発足しました。内部中心の映画会、バスツアー、学習会などを、劇団の公演や諸行事の合間を塗っておこなってきました。また、私たちではなかなか企画できないすばらしい学習会などを、ねりま九条の会で行っているので、みんなで参加しよう、という呼びかけをしたり..。公演のたびに九条の会コーナーをつくり、販売や展示をしています。
 演劇人として、「発信」もしたいよね、と話しつつ、そちらはまだ実現していません。
 先日は、世話人で唯一の戦争体験者だったNさんがなくなり、偲ぶ会を、九条の会主催でやりました。多くの劇団員が参加し、平和や芝居への彼女の想いなどについて語り合い、そういう形でお別れをできてよかったと思います。九条の会も劇団の中で少しずつ認知されてきた気がします。
これからも、劇団活動の忙しさに負けそうになりつつも負けず、合間をぬって続けていくつもりです。どんな
にささやかでも平和のためにやり続けたいと思っています。        (佐藤アズサ記)

 

光が丘さわやか9条の会「光が丘に特攻基地があった」

  桜の名所として区民に親しまれている光が丘公園が63年まえに、米軍のB-29に体当たり攻撃を行った「特攻基地」だったことはあまり知られていません。
 今年3月、光が丘さわやか9条の会が主催する「第15回光が丘の戦争体験を語り継ぐ集い」で、この衝撃の証言が行われました。初参加の練馬区町内会連合会の幹部の方は「私の住む光が丘の団地が特攻機の出撃基地で、40名の方が若い命を散らした悲劇の町だとは思いも寄らなかった。この歴史的資料を公表した住民の皆さんに感謝したい」と発言されました。この貴重な資料(全100ページ)は光が丘2丁目に在住する、練馬の地誌を研究する山之内光治さんの10年に亘る研究の成果であり、国会図書館や各地の図書館に収められています。なおご希望の方には資料の提供も行っています。
 光が丘さわやか9条の会では、6月には国内唯一の地上戦となった「沖縄の悲劇」、そして8月の終戦記念日には「広島長崎からの証言」の会を催します。政治に関心のない普通の市民が、ささやかな家族の幸せを願う活動を、地道にこれからも続けようと思っています。                             (小山記)

石神井九条の会の活動紹介

1.学習会開催:3月14日午後、22名の参加者を得て学習会を開いた。第1部はねりま九条の  会の DVDを借り、映画”SICKO”を上映。先進国で唯一国民皆保険でない米国では、高  額の医療費を負担出来ないため約5000万人の人が現在満足な医療を受けられないと云う。   他方カナダ、イギリス、 フランス、キューバの国民は充実した医療に満足しており、両者の極  端な対比を皮肉を込めて画いた映画だった。第2部ではこの映画の感想を交え、”平和と保健医療”について会員懇談を行った。女性会員達から”SICKO”で画かれた様に、フランスの女  性たちが政治を変えるために積極的に「デモなどの示威」を行う行動力を、私達も学ばねばならない等、活発な議論があった。
2.月1回世話人会を持ち、2ケ月に1回「しもしゃく9条の会ニュース」を発行。
3.下石神井九条の会の第3回総会を6月27日(土)14:00-17:00に下石神井地区区  民館で開催予定。
4.駅頭でのビラ配布 松谷みよ子「私の憲法九条への思い」のお話他の催しのビラを5月18日(月)  17:00-18:00 上井草駅付近で行う予定                            (乾記)

北練馬地域から

▼4月24日、岡本厚講演会(2月21日)にかかわったメンバーが寄り合って話し合った。この中で、オバマ大統領の「核廃絶」表明、その後のロシアとの交渉開始の意義の大きさなどについて懇談した。また、改憲派の動きが急を告げるなか、平和台駅頭でリレートーク(5月3日午前11時から約1時間)を行うことになり、具体的な準備(地域の活動者などに働きかけてトークをお願いする。予定者7名ぐらい)の相談を行った。
▼練馬駐屯地が駐屯祭での榴弾砲の発砲を中止すると通告してきた。同時にヘリの編隊飛行もやめるそうだ。当然のことながら地域住民は歓迎している。                                          (木城記) 

 

 

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