24号 2009年8月発行

悲しみと涙によって育つ木

                                           大泉教会牧師 山口 雅弘

  暑い夏を迎えました。毎年、特に八月には、日本の戦争の歴史を「想い起こし」、その責任を心にとめる必要があるでしょう。いろいろな人が今も戦後の傷跡を負って生活しているからです。しかも沖縄の米軍基地から戦争に飛び立つ兵士が絶えないことを忘れてはなりません。沖縄では「戦争」は日常化し、人々が受けている被害もなくなりません。私たちの意識の中核にこの現実を据え、平和を作り出す者でありたいと願います。
 私は、沖縄に成育する「悲しみと涙によって育つ木」を思い起こしました。「モモタナマ」という広葉樹で、沖縄では「うむまあ木」と呼ぶ人もいるそうです。古くから墓の周辺に育っていると聞きます。沖縄での最後の激戦地になった摩文仁(まぶに)の丘の「平和の礎(いしじ)」には、二十四万人近い戦没者の碑を見守るように、二五〇本近くの「うむまあ木」が植えられています。この木について沖縄の詩人が哀悼の詩を綴っています。
           いつも墓場に立ってゐて そこに 
             来ては泣きくづれ
             悲しい声や涙で育つといふ 
             うむまあ木という風変わりな木もある
 毎年のように沖縄を訪れる際、今もなお悲しみの涙を流す人々の「悲しみと涙」をくみ取って育つ木を見つめざるを得ません。戦争は人を加害者にも被害者にもしてしまいます。
 戦争責任をできる限り薄めようとする政治や教育の現実を見据えるとき、地獄を経験し殺されていった「死者たちの声」を聞くことにより、私たちは日本の悲惨な戦争の責任とその歴史の記憶を心に刻みたいと思います。過去から何を聞き取り、何を見、何を「思い起こし」、何を学ぼうとするかは、その人がどこに視点を置き、どのような姿勢で今日を明日に向かって歩いて行こうとするかに、深く結びついているでしょう。
 その意味で「憲法九条を守る」と同時に、その内容を実質化する平和実現の歩みを続けることは、私たちの現在と将来の「世界と歴史」に対する責任を負うことになるでしょう。

                                                                                                                     (ねりま九条の会呼びかけ人)

 

   「憲法違反です!「『武器輸出三原則』の緩和」

 

 政府は今年5月23日、武器や武器技術の輸出を禁止する「武器輸出三原則」の緩和を検討する方針を固め、年末に改定する予定の「防衛計画」の大綱に、他国との武器の共同開発・生産の容認や、共同開発国への輸出の解禁を盛り込むとしています。(日経新聞2009.5.24より)
 「武器輸出三原則」は、日本の軍需産業が国際的な武器開発に参入することを阻んできました。この制限のため、国内で生産される武器は、自衛隊による使用に限られてきました。そのため、大量生産することのできない日本の武器は生産コストの高いものになっていました。それでも政府は軍需産業の発展を長期にわたって重視し、防衛省は毎年、一定量の契約を企業と結び、市場価格より30%前後高い価格で製品を買い取ってきました。また軍需品の生産を多くの企業に分散させることで、軍需品生産の経験と技術を多くの企業に蓄積させ、必要時にはすばやく生産に取りかかれることをもくろんでいたものと思われます。
 契約の内容については、三菱重工業を例に取ると、 地対空誘導弾パトリオット、護衛艦、潜水艦、F15J/DJ近代化改修、新弾道ミサイル防衛用誘導弾(その3)、90式戦車、04式対空誘導弾、UH60J救難ヘリコプターなど、ものものしい兵器名が並んでいます。(防衛省資料)
 いくら量産することでコストが安くなっても、「平和憲法のある国」日本が、武器輸出でもうける
「死の商人の国」になっていいのでしょうか。

こんな企業も軍需品生産にかかわっている


  防衛省の『中央調達』(2009年6月15日号)と、自民党の政治資金収支報告書(2008年9月12日官報)をもとに『2008年度防衛省契約上位15社』についての
データを作成しました。(献金額は判明した分のみ記載)
                    企業名               契約額       件数    献金額
                   1 三菱重工業           3140億円     198    4000万円  
                      2 三菱電機            1556億円     178    2000万円
                    3 川崎重工業            1530億円      96      500万円
                    4 日本電気              982億円     306    1800万円
                   5 富士通               443億円    165    1660万円
                      6 (株)IHI             383億円        37 
                   7 小松製作所           365億円      44    1000万円
                   8 東芝              315億円      93    3850万円
                   9 中川物産            216億円     316 
                   10 新日本石油           193億円     116 
                   11 日立製作所             182億円      75    3850万円
                   12 コスモ石油           164億円     105   
                   13 ダイキン工業          144億円      54      300万円
                   14 伊藤忠エビエーション 138億円     135
                   15 富士重工業           137億円       35    1660万円
  

  年間100億円以上の武器が廃棄されている
 財務省の09年度分「予算執行調査」の結果が発表されましたが、(2009.7.3朝日4版1面)それによると、最新の武器への更新期間が短すぎるため、更新前に購入した1発約1千万円のロケット弾を使い切ることができず、購入量の約4割にあたる約1000発(100億円分)が不要になり、これを廃棄するために、さらに6億8千万円かかることがわかりました。軍備を否定する日本国憲法下にあって、膨大な税金が軍需費に使われ、しかもズサンな計画で廃棄されている事実には腹が立つばかりです。

 

 

おしらせ

その1 無言館見学一泊バスツアー
・10月18日(日)〜19日    ・ベルデ武石宿泊   ・定員 25名 ・参加費 約20,000円

その2 9条Tシャツのデザイン募集!  10月10日ごろコンテストを開催   
ただし、デザイン料はわずかです。イベント・駅頭宣伝などで、幅広く着用したいと思います。
*Tシャツの色、デザインは   前・後面または  両面、袖面など
*プリント、刺繍など
*平和、愛、九条など、
   テーマは自由                    〆切り 9月30日まで

                 

その3  短歌・俳句・川柳を募集します
腕に覚えのある方も、初めて挑戦なさる方も、ふるってご応募ください!

 

活動の報告

アニメ「アンゼラスの鐘1945長崎」上映に313人い

7月17日練馬公民館で上映した「アンゼラスの鐘」は313人(昼163人、夜137人、子供13人)が鑑賞しました。この映画は国連で上映され、核廃絶の世論形成に大きな役割を果たし、現在4ヶ国語に翻訳され世界中で上映されています。練馬では2回目の上映ですが、来年の被爆65周年、NPT
(核拡散防止条約)再検討会議を前にしたオバマ大統領の発言もあり、被爆の実相をまず日本の子どもたちに伝えることが大切と、練馬被爆者の会、練馬原水協、ねりま九条の会などが実行委員会をつくり準備してきました。上映を前に練馬被爆者の会会長井上秀雄さんが、自らの東京大空襲と長崎被爆の2度の体験を語り、核兵器の廃絶を訴えました。また製作監督の有原誠治さんから映画を見た外国の高校生、中学生からの御礼の手紙が紹介されました。参加者は子ども連れのお母さんが目を引きました。練馬区と教育委員会の後援もあり、PTAでチラシを配る学校も出てきました。
感想文には「私は浦上第一病院に兄の付き添えで入院していました。秋月先生は兄の主治医です。村井すが子さん(秋月さんの妻)とは今もお付き合いしています。長崎へ墓参の折秋月先生の墓にもおまいりしています。アンゼラスの鐘のことはすが子さんから聞いていました。是非見たかったものです。耳の聞こえない私には字幕付きがありがたかったです。有難うございました」80歳、光が丘2丁目とあり、なんと当事者が居られたのです。                

書籍の紹介

『憲法9条 国民投票』集英社新書 著者、今井一、700円+消費税

2年前、安倍晋三政権が成立させた憲法改正国民投票法は来年5月から施行されます。8月30日投票の総選挙に当たって自民党は憲法改正の公約を発表、民主党は改正の議論を興すことを公約しました。その中心は9条です。
 投票年齢は18歳に下がるため関連法191本の改正が必要となり、法制審議会は成人年齢を18歳にすることを答申し、改正は選挙後の国会にゆだねられました。
 この本は国民投票法の狙いや、ずさんさと同時に、実施に当たっての公務員、教員の禁止事項、新聞、テレビなどのすさまじい改憲世論作りの戦略を暴き、外国の例や、賛否両派34名の自論を紹介しています。

 

ページトップへ