27号 2010年2月発行

   九条のルーツはフィリピン憲法にあり?   竹見 智恵子(ジャーナリスト)

  フィリピンという国は、過去に三度も独立宣言をしたにもかかわらず、そのたびに大国アメリカによって独立を阻まれてきた。一度目は二〇世紀初頭。対スペイン独立戦争で勝利したにもかかわらず、援軍のはずのアメリカが寝返ってスペインと取引をし、二束三文で買い叩いて植民地にしてしまった。
二度目はそれから三〇年が経ち、ふたたび独立の機運が盛り上がった時。反乱を怖れ、アメリカ議会は十年後にフィリピンの独立を認める決定を出した。この時にできた憲法(1935年制定)に、「国家政策の遂行としての戦争を放棄する」ことが盛り込まれた。この条項が、戦後、GHQの一員として来日した民政局長コートニー・ホイットニーによって日本国憲法に取り込まれ、九条の「戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認」へと深化したという説が最近注目されている。
  元軍人だったホイットニーは、除隊して長年フィリピンで法律事務所を経営していたが、太平洋戦争が始まるとマッカーサーに乞われて陸軍に復帰、対日本軍殲滅作戦を指導した。GHQ時代は占領下の民政一切をまかされ、フィリピン時代の法律知識を生かし、日本国憲法制定の総指揮にあたった。
戦後、フィリピンは約束通りに無事独立を果たし、ここでようやく三度目の独立宣言をした。現在のフィリピン憲法はマルコス政権崩壊直後に起草され、翌1987年に制定されたが、その際に画期的な条項が加えられた。それは「軍事基地に関する米比間の協定が91年に期限満了した後、外国の軍事基地、軍隊、軍事施設はいっさい認められないものとする」というもの。人びとはこの条項を根拠に、92年、ほんとうにフィリピン国内から全アメリカ軍基地を撤収に追い込んだ。
 「憲法は使うもの、平和実現のためのツール」だとして、果敢に大国支配への抵抗を続けるフィリピンの市民たち。一方、その姉妹篇とも言える平和憲法を持ちながら、沖縄の負担を跳ね返せず、今なお半世紀以上に及ぶ米軍の居座りを許している日本のわたしたち。平和憲法への絶大な信頼のもと、自立への道を歩み続けるフィリピン市民からは、学ぶべきものが多々あるのではないだろうか。

 

       5周年記念1500人のつどいに向けて—

6年目に入った ねりま九条の会
 ねりま九条の会は、発足後満5年を経過、6年目に入りました。この間、時宜に応じた数多くの催しを重ね、駅頭宣伝、チラシ配布、ポスタ-掲示なども含め、地道で多彩な活動により、区内外に会の存在の認知度を高め、会員を拡大し、着実に成果を挙げてきました。
 なかでも区内に30いくつもの自主的な「九条を守る会」、1,100名を超える会員が存在していることは、誇れるものであります。

新しいステップを迎える護憲運動
 今年は、日韓併合100年、戦後65年、日米安保条約締結50年という節目の年でもあります。「戦争」「平和」「人権」という言葉がいっそう重要視されております。昨年8月の総選挙により、民意による政権交代が実現し、民主党政権が登場したことによって「憲法を九条を守る」運動にとって、新しいステップに立ったといえましょう。これからは、「九条を守る」という運動から「憲法を生かす」「憲法九条の必要性・意義を内外に拡げよう」「戦争を止めよう」という積極的な姿勢で取り組みたいと思っています。

記念講演は品川正治さん


 今回の講師・品川正治さんは、その趣旨にもっともふさわしい人であります。大企業の集まりである経済同友会の終身幹事であり、経済・財界における「憲法九条を守る発信者」として知られております。
品川さんは、旧制三高在学中に陸軍に召集をうけ、中国戦線に出兵し、戦闘で負傷し、散弾の破片を体内に残している。1946年復員後、日本国憲法草案の報道に接し、強い感動を覚え、特に9条二項の「戦争の放棄」を、今でも心のよりどころにしていると言います。

品川さんの著書「戦争の本当の恐さを知る財界人の直言」をご紹介します

 品川さんは、変化の早い世界の流れの中で、日本は憲法という座標軸をしっかり持って進むことが大切だと述べています。「日本はアメリカと価値観を共有していると思い込み、アメリカの求めに応じてきましたが、アメリカと日本は価値観がまったく違います。アメリカは弱肉強食、戦争と産業が一体の国でこれからも戦争を起こしていくでしょう。自国の利益のため、戦争費用を日本にも担わせ、戦闘現場に日本の兵隊を投入して戦わせたい、憲法改悪の根源がここにあります。
 これに対して日本は憲法九条を持つ国です。日本は戦後、国民も政府も力を尽くし、労働運動も勢いがありました。そして政策を指導した官僚の理念の下に、資本家のための経済大国とはならない国家目標を掲げ、成長と共生、格差の抑制、国土の均衡ある発展めざし、GNP世界第2位の経済大国を実現し、80年代には概ねその目標を達成したと思います。しかし90年代に入って東西冷戦が終わり、ソ連圏が崩壊したことから、アメリカは日本の経済力を敵視し始めます。くわえて豊富な若年労働者という成長の条件もなくなり、日本は新しい国家目標を定めることが求められていました。しかしアメリカの求めに応じ同じ道を歩んできて破綻したと思います。 
 その国家目標は、平和憲法を持つ国として、経済は成長ばかり追い求めるのではなく、国民の生活に役立つ本来の経済に立ち返る。政治は企業社会のものではなく市民社会のものにする。外交はアジアと世界の平和を日本国憲法の精神で確かなものにしていく。そうなるとアメリカも世界戦略を転換せざるを得なくなるでしょう。こうした社会をめざす国こそ21世紀の日本だと思います、その実現は私たち1人1人の国民の手にかかっています。」品川さんのこの直言は閉塞状態の私たちに明かりを灯してくれます。歴史を背負ってきた人の言葉は、知識というより知性というのでしょう。
                                       新日本出版社 定価1600円

       

国連からの勧告を“無視”する日本

ご存知でしたか? 日本は今、国連の人権委員会や子どもの権利委員会、女性差別撤廃委員会などから、さまざまな厳しい勧告を受けています。

★人権委員会からの勧告
 日本では「公共の福祉」という名目で個人の権利が制約されている。「公共の福祉」の定義をはっきりさせ、規約の制約を超えないことを明記した法律を制定するべきである。
 また、女性の地位向上、子どもの権利保護、死刑制度の廃止と執行への人道配慮、代用監獄の廃止、取調べにおける被疑者の権利と捜査の可視化、刑事施設留置施設における不服申し立て、「慰安婦」問題、人身売買、外国人研修問題、難民、言論表現の自由にかかわるビラ配り取締りなど、さまざまな差別的取り扱いの解消と、状況の改善を勧告しています。

★子どもの権利委員会からの勧告
 日本では条約そのものを社会に浸透させる努力が不足していること、子どもの自発的な意思が尊重されていないこと、外国籍の子どもへの民族教育に対して差別的であること、チェック機関が置かれていないこと、日本の教育システムが競争的で、子どもたちから遊ぶ時間や、身体を動かす時間や、ゆっくり休む時間を奪っていることを指摘し、適切な処置をとるよう勧告されています。

★女性差別撤廃委員会からの勧告
 日本では、男女平等を憲法でうたっているにもかかわらず、女性に対する差別の定義が国内法に存在しない。差別の定義を国内法に盛り込むこと、非嫡出子など民法上の差別的取り扱い、人身売買や従軍「慰安婦」問題への取り組みの是正を強く求めるとしています。
 また、正規雇用よりも給料が低いパートタイム労働や“派遣労働”において女性の比率が高いこと。個人的・家族的生活を職業的・公的責任と両立させるために、主として女性が直面している困難を深く懸念するとして、改善を勧告。教育基本法から「男女共学」の項目がなくなっていることも問題であると指摘しています。
(勧告はいずれも30項目を越えるものですが、紙面の関係で省きました。)

 日本政府は世論が熟成していないなどを理由に対応を遅らせており、同じ内容の勧告を何度も受けています。この他にも、国際労働機関(ILO)が採択した183の条約のうち日本が批准しているのは48条約で,わずか4分の1に過ぎません。とりわけ8時間労働制を始めとする18本の労働時間・休暇関係の条約を1本も批准していません。

 

      お知らせ

ぞうれっしゃ合唱団の練習の日どりが決まりました。

月28日(日)大泉勤労福祉会館
3月14日(日)練馬公民館視聴覚室
3月28日(日)練馬公民館視聴覚室

いずれもAM10:00〜14:00
入会金1000円(子ども半額) 練習参加費1回300円(大人のみ

歌いたいなと思う人は、氏名、住所、電話、希望のパートをファックスまたは電話で
 
     

韓国併合100周年 学習会   

 2010年は韓国併合100周年に当たります。ねりま日朝女性の会では、この100年間の歴史を3回シリーズで学びます。
ごいっしょに歴史を振り返ってみませんか。      

 第1回  ドラマ『坂の上の雲』と朝鮮半島

            講師 大日方純夫さん

                日時  3月11日( 木)6:30〜8:30       会場 練馬区役所19階
               資料代 500円日時 3月11日( 木)

      ねりま日朝女性の会           連絡先 03-3930-2745(田代 瑞恵)   03-3825-1966(安 正恵)
                                                      

私たちの活動         下石神井9条の会(2月・3月の活動)

         2月20日(土)10:00〜 世話人会(下石神井区民館) 
        ・会報「下石神ニュース18号」検討・学習会の運営等
         3月13日(土)10:00〜 世話人会(下石神井区民館) 
       ・会報送付準備 ・学習会の案内配布

         3月27日(土)14:00〜   学習会 (石神井区民館和室)
          ・ねりま九条の会の活動について 大柳氏
          ・風船爆弾について       小岩氏
             ・懇談 (毎回20人前後集まっています)
     
     

ねりま九条の会の「会費」について

年会費 1000円 (自11月1日〜至10月31日)
   会費の使い道は、ニュース発行(年6回)の印刷代、郵送料と集会・学習会のチラシの印刷代などです。

振り込み用紙に書いてくださったメッセージを一部ご紹介します。
・家族(複数)の病気など苛酷な日常で、活動に参加できません。資料通信ありがたく熟読しています。基地や武器がないことこそが“安全保障”なのに等々、戦争を知っている世代として、何とか長生きしてやろうと歯ぎしりしています。1930年9月9日生まれ。 K.T

・今年もどうぞよろしくお願いします。何年か前に横須賀の軍港巡りに参加して、目の辺りにアメリカ従属を見て九条の重要さを思いました。 T.M

 

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