30号 2010年8月発行

 

        第2の“敗戦”を超えて   
            
           篠原一(ねりま九条の呼びかけ人会)

  5月28日に鳩山政権は沖縄の基地問題に関して日米共同声明を締結した。私には「第二の敗戦」であるかのように思われた。鳩山前首相は民主党のマニフェストに従って、外交的にアメリカと対等関係を築くという趣旨で、沖縄基地の国外、県外移設を主張してきた。こういうことを主張した首相はこれまでなかった。ところがこの主張と行動は孤立無援で、ジャーナリズムはアメリカの機嫌を損ねてはならないというかのように、鳩山批判に専念し、残念ながら国民の多くもこの批判に同調した。外務、防衛の官僚たちもサボタージュしたように思われる。国際会議に際して、オバマ大統領との正式の会合のアポイントメントが取れないことなど、官僚のサボタージュ以外のなにものでもない。
 条約や外交協定の改正は、国民が総力で当たらなければ成功しない。われわれも沖縄県民と一緒にもっと強い意思表示をするべきであった。すくなくとも安保条約による基地の基本的見直しについて直ちに論議を開始する旨の一文を合意書のなかに挿入するべきであった。にもかかわらず、前首相は、やはり抑止力が必要であることがわかったなどといって、前言を撤回し、下野をしてしまった。これは軍事的現実主義に対する降伏である。
 2020年5月は国民投票法が施行されるときであった。法執行のための措置はまだ具体的には進められていないようだが、参院選では改憲促進派の勢力が伸び、特に核武装を検討すべきだとする人が自民党候補者の四三%と大幅に増大した2009衆院選のときは25五%)。それと符号をあわせるように、新安保懇からは非核三原則の見直しと武器輸出の緩和についての提言が出されるようだ。それに加えて、参院選の後には何かしら一般的に現実主義の風潮がじわじわと増大し、理念の力が後退しつつあるように思われる。
 この短文を書いているのは8月6日、広島に原爆が投下された日である。憲法第九条の理念が軍事現実主義に屈するようなことがあってはならない。理念は現実化されなければならない。そういうことを誓う一日でありたい。

 

   65年目の敗戦記念日を迎えて

    一枚のメモ 井上 秀雄(被爆者練馬の会会長・東京大空襲を体験。その後長崎で被爆)

                  

 手許に66年も捨てられずに持っている一枚のメモがある。
《向島区寺島町8丁目26番地 宮崎英雄》
「井上君遊びに来いよ」「ああ行くからな」と受け取ったメモ。彼の想い出はこの時わかれた笑顔がそのまま残っている。それから一年も経たない昭和19年7月26日に、フィリピンの北端からバシー海峡に向かうところで、アメリカの潜水艦にやられ、まさに火焔の海で19歳の命を奪われた。彼が乗っていたタンカーは戦時標準船とはいえ5千トン16ノットも出る播磨製の優秀船だった。門司とシンガポール間の石油輸送に従事、その二航海目だった。航空ガソリン9千トンを積み、シンガポールからマニラに寄港、ここで14隻の船団を組んで高雄に向かった。この船団には生き残ったかつての優秀船が集められた。空母大鷹(郵船の客船春日丸
の改装)、摩耶山丸、安芸丸、聖川丸と彼が乗り組んだ大鳥山丸が主力だったが、船団に加わった低速船に合わせて速力11ノットで北上を開始した。
 19年ごろになると、アメリカの戦法は狼群作戦と称して3隻の潜水艦が1組になって三角形の中に輸送船を包囲する形で攻撃をしていた。攻撃を受けた船団は低速船を放り出し、護衛艦の爆雷攻撃の中を逃げ回った。26日午前3時14分、発射された魚雷が大島山丸と安芸丸に同時に命中、搭載していたガソリンが大爆発し、暗やみの海上を真昼のように明るくしたと、たった一人助かったボーイ見習いの田口俊男氏は回想している。乗船名簿を見ると乗組員47名中14歳から20歳未満の若者が30名。ガソリンが燃える海で非業の最期をとげた。何とも痛ましい遭難だった。戦後バシー海峡は沈没船の山で船のコンパスが狂うと言われたが、私はここを通る時「おーい宮崎」と呼びながら握り飯を投げた。
   轟沈の 渦がうがうと 曼珠沙華
   轟沈の 夏に弔う 握り飯

 

日本も「永世中立宣言」をしてはいかが?

軍事同盟より対話の機構を! ─カルロス・バルガス教授(コスタリカ)の講演から

「コスタリカが軍隊をなくして国家として生きていけた理由は、子どもや女性らの人権を保障し、無料医療を保障し、教育を保障していったからである。コスタリカにとってこれは簡単なことではなかった。軍隊のない状態で民主主義を進めようとした我々の前に立ちはだかったのは、隣国ニカラグアで激しい戦争が続いたこと。コスタリカは、この危機を乗り越えて、1948年に廃止した軍隊を二度と復活させないという理想を追求した。それは、民主主義の根本としての対話をすることで可能だった。子ども達はそのように教育をされたし、私たちもそのよううな教育を受けてきた。
 永世中立宣言をするにあたって大切なのは、人権の尊重及び民主主義の確立だ。民主主義は、周辺諸国と民主主義的関係を築くという意味でもある。
 対話は、周辺諸国との間でも、内国においても重要であり、様々な問題を解決できる道具だ。教育も大切である。人権の大切さ、民主主義の重要性は、教育を通じてこそ伝えることができる。
 私は、日本は永世中立国であるべきだと思う。その理由の一つは唯一の被爆国であることだ。永世中立国になることによって、二度といかなる市民も被爆させてはならないというメッセージにもう一度意義を与えることができる。
 コスタリカには米州人権裁判所がある。米州機構に所属しているからこそ、ラテンアメリカ、世界に人権、平和を主張できる。ラテンアメリカは、毎日クーデターや人権蹂躙の混乱が続いている地域だが、このようなバックがあるからこそ、大きな組織のメンバーとして、主張をしていくことができる。日本はどうしてアジア人権裁判所があればいいと思わないのか。日本人のみなさんが、最初の音頭をとらないといけない。アジアにも米州人権裁判所のようなものが必要だ。」

 この記事は、軍隊を捨てた国コスタリカのカルロス・バルガス教授(国際反核法律家協会副会長)が2007年に来日された時の講演記録(児玉勇二弁護士による)から抜粋引用したものです。
 今日本では、日米安保同盟や核の傘は必要という政府の見解が出されています。しかし、世界は軍事同盟から対話へと姿を変えつつあります。日本もバルカス教授の声に耳を傾けてもいいのではないでしょうか。

※ 米州人権裁判所─コスタリカの首都サンホセにあり、南北アメリカの諸国が加盟する米州機構(アメリカを含む35カ国が加盟)の人権裁判所(アメリカは未加盟)。アジアに同様のものがあれば、韓国籍の軍艦爆破事件などはそこで調べることが可能と思われる。現在、反核法律家協会が、広島・長崎への原爆投下責任を米州人権裁判所や委員会に提訴することを検討中。

 

すべての戦争被害者に平等な戦後補償を!
おかしいと思いませんか? 軍人だけに与えられる“手厚い恩給”  

 

軍人恩給とは旧軍人の生活を生涯にわたって保障するもので、戦後占領軍の命令で廃止されましたが、1953(昭和28)年に復活し、今に至っています。 受給資格は、原則として12年以上兵役についたこと(戦地勤務は3倍に換算)ですから、いわゆる職業軍人が中心で、敗戦間際に動員された学徒兵や応召兵は含まれません。それでも有資格者は約100万人と言われます。これは他の年金などとは無関係に支給され、本人の死後は遺族に扶助料が支給されます。その範囲は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の3親等内の親族で、死亡当時日本国籍を有していたものとなっています。
 戦後65年が経過し、軍人恩給の支給総額は減りつつあるとはいえ、今も年間9000億円程度の支出が続いていて、これまでの支給額累計は50兆円になるとのことです。
 戦争を指揮命令する立場だった人たちの生活は、国によって手厚く保障されてきたわけです。受給者の全国組織である軍恩連盟は、恩給復活をなしとげた自民党の固い支持団体となっています。
 一方、日本軍に徴用された朝鮮や台湾の兵士や、「慰安婦」とされた朝鮮等の女性たち、そして重慶や南京などで日本軍が行った無差別殺戮の被害者、また日本国内160カ所にものぼる空襲の被害者への補償は行われていません。
 欧米では、一般市民の戦争被害に対して、軍人・軍属と民間人を区別することなく、また自国民と外国人を区別することなく、すべての戦争犠牲者に平等な補償と待遇を与える「内外人平等主義」が貫かれているといいます。
                                                                                                     参考:東京大空襲訴訟資料他

 

 

お知らせ

 

    ※心に刻む平和の語り    

         市原悦子さんが戦争童話を朗読

          9月26日(日)午後7時開演 練馬文化センター 小ホール

   女優としても声優としても有名な市原悦子さんを招いて、「心に刻む平和の語り」を開催します。
   第1部は沖縄県民とともにたたかう弁護士 神田高さんが、沖縄発・平和の願いを語ります。
   オープニングはイマジンコンサートでも注目を浴びたラテンハープ。
              参加費1000円、大学生まで500円、小学生以下無料
                    主催  光が丘9条の会  

 

     ※今起きている戦争を知ろう 講師:大崎敦司さん

                 ルワンダ、イラクなど豊富な取材経験から、今この世界で起きている戦争の実態を、元朝日新聞記者の
 大崎さんにご報告いただきます。講師の大崎敦司さんは、元朝日新聞アフリカ特派員、現在津田塾大講師
 をなさっておいでです。

9月24日(金)18:30より    練馬勤労福祉会館 大会議室

    資料代:500円   主催:平和を育てる大泉9条の会  問い合わせ先:町田(03-3923-0915)

 

※作曲して台本も書きました 上石神井九条の会・外山靖雄

練馬ぞうれっしゃ合唱団でも歌っています。9月5日(日) 日本橋公会堂で上演します。合唱構成「働くこと・生きること」の台本と、1曲ですが作曲にも取り組みました。退職前NTTで働いていました。今NTTでは契約社員を派遣会社に転籍させて正社員化の道を閉ざし待遇をさらに下げる不当な施策が行われています。
 この事に、たった1人、異議を唱えて裁判を起こして立ち上がった、女性社員の生き方を通して“働くこと・生きること”の素晴らしさを歌いあげる合唱構成です。 お問い合わせ  電話03-3928-0763  携帯090-3314-2259

 

会計より

ニュース6月号と一緒に2010年度と2009年度の会費の納入をお願いしましたところ、多くの方から入金がございました。お礼を申し上げます。なお、不明な点などがございましたら小岩(03-3992-1732)までご連絡ください

 

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