38号 2011年12月発行

 

どうなる 二度目の社会の転換

                            暉峻 淑子(埼玉大学名誉教授)

 

 福島原発の爆発ニュースに呆然としていた、その日の夕暮れ、買い物に行った八百屋の、顔なじみのおばさんは、ためいきとともにこう言った。「鳥インフルエンザだ、口蹄疫だと言って、生きながらに鳥や牛や豚を地中に生き埋めにした。その報いが来たんやないの?」広島の10数倍という、放射性物質をまきちらし、鳥獣魚介にいたるまで、生物のすべて、自然のすべてを汚染し、地域社会とそれぞれの人生を崩壊させ、世界中に諮りしれない損害と不安を与えたその影響は、どこまで続くのかわからない。
 八百屋のおばさんが言ったように、このような結果を招いたのはゼニカネを最高の価値と考え、利益のためなら、生活も心も植民地化されて当たり前だと思ってきた、私たちの生き方と行き詰まり社会に原因があるのではないか。いま、私たちは敗戦後の第1の社会の転換期に続いて、第2の社会の転換期に迫られている。その転換を自分で汗を流して実現しようとせずに、橋下政権にまる投げすることで何とかなると思う、またもやの安楽志向は、結局は弁解付きの原発維持社会につながっていくのではないだろうか。熱狂した小泉政権が救いにならなかったように、自分が労せずに、どうして社会の転換が成し遂げられよう。このままでは再び私たちは自滅社会に踏み出していくことになる。占領軍によって社会の転換が行われた時と違って、今度は自分たちの手で社会を転換させなければならないのだ。
 今、教育の世界も市場の競争原理に乗っ取られて、人間的な教育現場ではなくなっている。若者達の就職先もない。個人化したバラバラの人間関係は希薄でもろい社会になった。
 しかし、原発の犠牲者に報いるには、私たちは維新の会や原発社会とは違う、もう一つのまともな社会を「覚悟して」作っていかなくてはならない。地球が生まれて、ほぼ46億年以上たって、放射性物質の力が弱まり、やっと生物や人間が生きていけるようになった地球に、技術の力で再び人工的にプルトニュウムが作り出されたのは、1940年。故高木仁三郎さんは、人類とプルトニュウムとは共存できない、と主張し続けていた。プルトニュウム1キロgは1兆人を殺せる猛毒を持っているし半減期が2万4000年と長い。技術の発達はたしかに生活を便利にした。しかしそれが競争市場の資本と結び付くと、経済利益になるものなら、人間の命や自然にはお構いなしに、この世の中に送り出されてくる。そして、その暴走を止めることができるのは、憲法に保障された人間力の発揮意外にありえないのである。


 ねりま九条の会 第8回 総会開催

記念講演に山田朗さん「関東大震災後の日本と類似―強権政治への期待

 

   
     山田朗さん  

 ねりま九条の会は12月4日練馬区役所で8回目の総会を開催しました。記念講演は山田朗明治大学教授で、テーマは「震災・原発事故から考える現代日本と憲法」。戦後60年以上経た現代が、関東大震災につづく世界大恐慌によって、深刻な不況と格差社会を生み出した1920年代に酷似しており、人々の政治不信や無力感が、橋下・維新の会に見られる強権政治に期待する風潮を強める危険性があると指摘しました。100人の参加者から、「真実は、世界との関連、歴史の延長で見ることが大切」、「大変良かった」と感想が寄せられています。(講演記録は同封のパンフに、感想は下記にあります)
 総会では、7年前と情勢が変わり、九条改憲の動きが下火になったため、九条の会も一服状態でしたが、ここへ来てにわかに、大震災、原発事故、復興財源に対する国民負担の増大、農業壊滅のTPP参加、海兵隊の辺野古移転、憲法審査会の、衆・参両院での開催、これに乗じて自民が憲法の全文改定を目指すなど、情勢が急展開してきました。ねりま九条の会は脱原発で駅頭署名などに取り組んできましたが、今後憲法全文に照らし、いのち、基本的人権、平和に関わる問題を積極的に取り組むことを決定しました。

 

■山田朗さん講演に対する感想から

・考えの広さ、深さ、ともに研究の成果だと思う。問題点を分かりやすく解説され、その上でこちらに考えさせるような論点整理、将来へつながる歴史学の大切さを学んだ。≪現状を変えていくのに特効薬はない≫との言葉が印象的だった。

・エネルギー産業による支配の構造がよくわかった。戦争がなくならない理由がよくわかった。人間が核を手離さなければ、人類・地球の未来はないと思った。

・明治、大正、昭和の世界恐慌と戦争、世界情勢の様子がとても良く分かりました。また、大正大震災と政情との関連はすっきりと分かりました。時間の関係で無理でしたが今回の震災と政治の動き、私たちの対応すべき道についてもう少しじっくりと話して貰いたかった。

・歴史が良く分かりました、真実の見極められる人になりたいです。

・欧米列強の外交戦略は戦前も今も変わりなく行っていることがわかった。外交に長けている。明治以降の日本歴史についてもっと学習しなければいけないと自覚しました。

・原発問題を、日本の今を大局的歴史的に捉えることができました。

・大変分かりやすく、また内容も濃く良かったです。これからの課題も明確に残りました。憲法との関係が話されず残念でした。

・日本のこれからの進むべき道を考える上で参考になります。

・歴史はくりかえす、あらためて恐ろしさを感じました。

・分かりやすくて私にも分かりました。近代史は現代と未来を考えるうえでとっても大事なことです。子どもたちは社会科の授業で
近代史から習って欲しいと思いました。


■ねりま九条の会への意見・感想■
◆講演会に
・内橋克人氏の講演を期待したい。
・憲法改正への動きを注視したい。一部には加憲だとの主張もあるが、結局は九条も改めることになる。私は≪新憲法の話≫で育ったが、最近の人々の無関心さに恐怖を覚える。活発な活動を青年たちに展開してほしい。

◆方針案に
・方針に山田講演のまとめを反映してほしい、今日の情勢が1920年代と類似しており、世情は政治不信、無力感、軍などの勢力に束ねられ、権威主義、強権主義の台頭が危惧される。原発問題に。対するマスコミの状況、橋下応援に駆けつける石原都知事とその勝利は強権主義に対する期待の現われ。

◆その他
・剰余金が多いというのは活動が不十分、チケットなしの講演会をやったらどうか。
・ポスター案は憲法、九条が小さくおしゃれだがなんだか分からない。
・チラシ等を無差別に各戸配布して入会を増やしてはどうか。

 


■私の九条への思い              下石神井九条の会   乾 知次■


 今や、国民の過半数が憲法九条を変えるべきでないと云う意志を持つに至ったことは全国の九条の会の皆さんのご努力の賜物であると思う。ところで、どんな運動も周囲情勢が変われば、それに対応し、理性に基づいて運動を変えてゆくべきであろう。
 現在の情勢を見ると、第1にアメリカ、日本、EUが深刻な不況に見舞われ、高い失業率を来たし、EUは財政危機に陥っている:第2にアメリカはイラク、アフガンに於ける戦争に行き詰まる一方、沖縄を含む対中国基地ラインを構築し始めている:第3にアラブに春が訪れ、アメリカから始まった若者達の格差是正を求める世界的運動が盛り上がっている。日本は震災と原発事故に遭遇して、財政赤字が危険水域にあるにも拘わらず、日米同盟深化とTPP参加に突き進んでいる。この様な背景の中で九条の会の運動は今後どう進めるべきだろうか。
 1.国会では憲法審査会が始動し、今や護憲を唱えるのは革新系の2党のみとなり、2大政党を始め各党は憲法改正を唱えている。自衛隊は座間及び横田の米軍司令部と合体し、実質的に米軍に編入されつつある。野田政権は辺野古への基地移転を強行する様である。九条の会は正に真っ向勝負を挑まれており、九条を護る運動はいよいよ正念場に差し掛かることになる。
 2.福島原発事故は原子力平和利用の仮面を被った米国の原爆通常兵器化政策に協力する自民党エネルギー政策の失敗を暴露した。除染と称しても1mSv/年以上の被曝は不可避で、妊婦、乳幼児、小学生は全員中部地方以南へ転居させるべきである。さもなければ内部被曝による免疫力低下等により沢山の虚弱人口の発生が危惧される。全国の原発は当然廃止せねばならず、まして原発輸出を強行すれば世界の非難を受けることになる。この問題に関し国民を欺く政府に対し、九条の会は良心的科学者の助力を得て脱原発キャンペーンを展開すべきである。お母さん達の不安に対し、食品汚染測定センター設置や被曝対策講演の出前をしてはどうだろうか。
 3.本会員はお年寄りに偏っており、若者の誘い込みは必須である。しかし、情勢分析で見た様に、若者達は就職難で苦労している。就職に成功した若者を九条の会に誘っても、「そんなことをしたら食えなくなる」と云われるであろう。誘うべきは、就職出来ず、派遣やパートに従事している若者達である。私は、本会が農地を借り、彼等を就農に誘い、食だけは充たして自立出来るよう支援してはどうかと考えている。自立への手掛かりを得させると共に本会に関心をもって貰えればと願い、笑われるのを覚悟で提案する。
 最後に、九条の会が九条だけでなく、ここで取り上げた日本の根本問題の解決に取り組む市民救援センターとなったとすれば、実に誇らしいことではあるまいか。(翻訳業)     

 

 

 ◆小森陽一氏らがアピール  「教育介入に歯止めを!最高裁は司法の良心を示せ」   会場 日本教育会館 

 12 月7日、小森陽一氏(「九条の会」事務局長)・醍醐聰氏(「マスコミ九条の会」呼びかけ人)・俵義文氏
(「九条の会講師/教科書ネット21 )・堀尾輝久氏(「教育子育て九条の会」呼びかけ人)の4氏が、「最高裁は司法の良心を示し、教育への政治・行政の介入に歯止めをかける判決を出すよう望みます」とのアピールを発表する記者会見を行いました。
  

 ◆東京土建練馬支部分会九条の会結成にむけて

   東京土建練馬支部では、各分会ごとに9条の会をつくろうと取り組みをしてきました。6月に4カ所で憲法学習会を行い、「分会9条の会設立賛同のよびかけ」をしました。現在、賛同者は15分会(26地域分会中)、213人になりました。学園分会が、9月に立ち上げ、石神井分会が12月12日に設立しました。石神井台分会が年明けに設立しようと準備をすすめています。
 分会9条の会では、地域との共同で学習会を計画したり、憲法関係の集会などに参加しようと取り組んでいます。
東京土建では全分会での結成にむけて取り組んでいます。

 ◆2012年イマジンコンサート     
     日時 6月23日 午後予定
     会場 聖書キリスト教会 (練馬区豊玉北1−12−3・西部池袋線 江古田駅 7分)
     問い合わせ先     03〔3594〕1626遠藤     03〔5398〕0688小関 
     チケット 500円
     主催 イマジン平和コンサート実行委員会ねりま九条の会
 ◆川柳
     混乱の民主党野田政権   加藤冬柳
     年金を 払いすぎたと 今頃に     
     年金を 減らして増やす 庶民税
     東電は 五兆の交付 何時返す
     仲間割れ しているふりで 悪政を    
     野田政権 徐洗するも 先見えず
     改革と 言いつつ悪事 出してくる    
     遺伝子組み換え 味噌汁かなし 味落ちる
     知的所有権 産業スパイ 育てるき
     資産家に 何故できないの 負担増        

★俳句、短歌、川柳、写真、絵画、九条に対する思いなどの投稿を歓迎します。
  どしどしお寄せください。

 

◆ねりま九条の会2000人アピールポスター
 
現在賛同者700名ほどです。現在賛同者700名ほどです。憲法九条を見やすくしました。
 申込みは1月末まで延期しました。知り合いに声をかけてください。   
  
       一人500円   申込先 小岩昌子 TEL・FAX03−3992−1732
           郵便振替番号 00170-8-426744 練馬9条の会 
       ※通信欄に練馬9条の会2000人アピールポスター賛同金 必要ポスター枚数をお書き下さい  

◆ どう守る?こどもの健康原発事故後の子育て ─小児科医 黒部信一さんに聞く─
       1月29日(月)14:00〜16:30    大泉勤労福祉会館
       参加費 資料代として500円
    主催 練馬こどもを守ろう会 申込とお問合せはメールで(savenerimacco@gmail.com)


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