70号 2016年12月発行

グローバル化と貧困・格差              岡本厚 (「世界」前編集長)


 米国におけるトランプ大統領の登場は、冷戦終焉(1900~)以降の、新自由主義的経済政策とグローバル化の帰結である。世界中に格差と貧困が広がり、とりわけ所謂先進国の中に、新自由主義政策とグローバル化で利益を得た少数の富裕層と、取り残された多数の貧困層が生まれた。それまで国家や社会の中核にあった中間層が、次第に薄くなり、分解した。没落した中間層の中には、当然のことながら、焦燥と絶望と怨念が生じる。それは、容易に排外主義、反知性主義と結びつく。
「自分たちが懸命にやっているのに、うまくいかないのは外から入ってきた奴らのせいだ、壁を作れ、既得権益をぶちこわせ、メディアの伝えていることは嘘ばかりだ」こうした風景は、すでに私たちが見たものである。第一次世界大戦以後、ドイツやイタリアで生まれたナチズム、ファシズムは、没落した中間層の怨念を沃土として生まれ、巨大化し、世界を破壊した。その意味で、トランプ現象は決して軽視できない。まだ予想の域を出ないが、超大国における反知性主義の跋扈は、世界を大きな混乱に巻き込んでいく恐れが大きい。
 米国におけるトランプ大統領の登場は、冷戦終焉(1900~)以降の、新自由主義的経済政策とグローバル化の帰結である。世界中に格差と貧困が広がり、とりわけ所謂先進国の中に、新自由主義政策とグローバル化で利益を得た少数の富裕層と、取り残された多数の貧困層が生まれた。それまで国家や社会の中核にあった中間層が、次第に薄くなり、分解した。没落した中間層の中には、当然のことながら、焦燥と絶望と怨念が生じる。それは、容易に排外主義、反知性主義と結びつく。
「自分たちが懸命にやっているのに、うまくいかないのは外から入ってきた奴らのせいだ、壁を作れ、既得権益をぶちこわせ、メディアの伝えていることは嘘ばかりだ」こうした風景は、すでに私たちが見たものである。第一次世界大戦以後、ドイツやイタリアで生まれたナチズム、ファシズムは、没落した中間層の怨念を沃土として生まれ、巨大化し、世界を破壊した。その意味で、トランプ現象は決して軽視できない。まだ予想の域を出ないが、超大国における反知性主義の跋扈は、世界を大きな混乱に巻き込んでいく恐れが大きい。
の自由」は、大西洋憲章から国際連合、日本国憲法にまで貫かれる「戦後」の理念だ。「恐怖」は独裁や戦争から来る。「欠乏」は貧困から来る。しかしいま、貧困が、学びからの疎外を生み、知性を失わせ、独裁を生み出している。独裁は戦争を引き起こす。まさにこの逆転のサイクルに、日本も世界も入ってしまっている。
 グローバル化は多くの弊害を生んだ。格差、貧困を生んだ。これは正さなければならない。新自由主義が生み出した格差、貧困、分断を克服し、再び厚い中間層を創り出し、「戦後」の理念を確認しながら、社会を、世界を立て直していく必要がある。そして、世界には、手を携えることのできるたくさんの人々がいる。米国にはサンダースがおり、彼を支持する多くの人々がいる。韓国には、政権の不正を正そうと街頭を埋めた百万の市民がいる。欧州にも、極右に反対して行動するたくさんの市民がいる。
 日本にも、2015年、国会前を埋めたたくさんの市民がいる。そこに希望がある。私は、日本には、安倍政治に対抗し、多くの市民を結集できる理念と新しい政治勢力が必要ではないかと考える。既成政党の組み合わせでは、なかなか難しいのではないか、と現状を見ているが、どうだろうか。
                                                  

ねりま九条の会13回総会報告  国民要求と結び野党の統一を

 12月4日ねりま九条の会は80人の参加で13回目の総会を開催しました、発足当初23人の呼びかけでスタート、120人の会員が900人までに成長してきました。 
 しかし安倍政権の下で実質改憲が進み、戦争できる国になってしまい、さらに明文改憲に向けて衆議院の解散に打って出ようとしています。このような緊迫した情勢に対応するために新たな方針と体制を決めました。
 今回の総会の特徴はこれまでは国民投票時に過半数の獲得を目指してきましたが、国民の中には、貧困と格差、将来不安、閉塞状態からの脱却のために戦争もやむなしと考える風潮が強まっています。こうした情勢を考えると、国会で憲法改正発議がされてしまってからでは後の祭りとなります。そこで選挙で改憲議席を減らすために野党が統一する必要が出てきました。九条の会は選挙から一歩距離を置いてきましたが、野党共闘の実現と九条を守る候補の勝利に力を尽くす必要が出てきました。
  日本会議は地方議会での改憲決議を重視しているだけに、私たちも議会対策を重視し、署名の取り組みを強めます。
 また、いま政府与党は一握りの金持ちとグローバル企業、原発、兵器産業、ゼネコンとアメリカのために国民の税金を使い、子どもからお年寄りまで人間を粗末にする法律をつぎつぎ強行可決しています。国民の命、人権を大切にすることは憲法九条と通底するもので、原発、TPP、雇用、社会保障、福祉、子どもの権利。沖縄などの問題にもいっそう市民との共同を強めることが求められています。
 こうした情勢に対応する新たなアピールを採択するとともに、呼びかけ人が諸事情で一二人に減ってしまったことから、あらたに世話人をお願いし、体制を強化しました。
 具体的には、町単位の9条の会の発足をサポートし、地域から憲法学習運動を起こし、共同を実現する。一万枚のポスターを張り巡らし、改憲の狙いに対抗する。今年は練馬文化センター大ホールで、松元ヒロさん、田中優子さん(法政大学総長)を招く。イマジンコンサートを開催するなどの方針を決定しました。

 

記念講演 「市民の力でマスコミを変える」
 記念講演で大治浩之輔さん(元NHK社会部記者)のお話を聞きました。(講演記録は別紙)マスコミが安倍政権の恫喝と懐柔に屈していますが、私たち市民の力で復活させることができる、私たちの励まし、お礼、厳しい指摘が大切だと気づかされました。私たちは、年寄りだから何もできないと諦め、若いものに託すことが美徳だと思いがちですが、それは間違い人間死ぬまで主張し続けることが人間としての務めだと教えられました。記者魂のすごさに感服しました。                                                            大柳記

新しい世話人を紹介します
・津田玄児さん
  「練馬市民・子ども法律事務所長」
・永田浩三さん「武蔵大学教授」 
・大内要三さん「ジャーナリスト」
・吉原功さん「明治学院大学名誉教授」
・後藤祥子さん「国文学研究者」
・渡辺澄子さん「文芸評論家」
・植野妙実子さん「中央大学教授・憲法」
・比嘉 高さん「ねりま九条の会事務局」
・小岩昌子さん「ねりま九条の会事務局」

 

 

高江の森を壊すな、ヤンバルクイナを殺すな
              ─沖縄高江・ヘリパッド建設の現場に立ち会う

    

  10月29日から11月1日の四日間、「国会前金曜デモ」の仲間が企画した沖縄旅行に参加した。以下は、東村高江の6つのヘリパッド(ヘリコプターランディングパッド オスプレイ離発着基地)建設現場に立ち会い、その時の印象を中心に綴った沖縄報告である。
 1日目は那覇到着後、普天間基地と嘉手納米軍基地、読谷(ヨミタン)の自然洞窟「チビチリ・ガマ」を見学。
 2日目は伊江島へ。沖縄のガンジー、阿波根昌鴻さんのヌチドゥタカラ(命どう宝)の家、反戦平和資料館を訪問。阿波根昌鴻さんは米軍の土地強奪にあった住民たちと団結し、非暴力に徹して米軍への陳情を展開、また、米軍の暴虐な振る舞いを、沖縄民謡の旋律にあわせた「乞食行進」として沖縄本島各地を訴えて回った方である。
 3日目、今回の旅行のハイライト、高江へ。キリスト教区のマイクロバスで高江ヘリパット基地のゲートに向かう。側道から主要道70号線を南下。途中、機動隊員に制止され、押し問答の末歩くことに決め、70号線を歩き始めて約一時間、N1ゲート前に到着。道路脇に、抗議者およそ25人が立ち並ぶ。前方には機動隊車と警備会社の車、大勢の機動隊員とALSOKの警備員も見える。
 土砂搬入ダンプ車が続けて五台ゲート内に入る。緊張する空気、機動隊員が抗議者の前に一列に立つ。20歳過ぎの童顔の隊員は、胸の襟章が外してあり、どこの県警か分からない。2人の女性がフェンスをよじ登り、鉄柵越しにハンドマイクで、「海兵隊は帰れ、県民の水瓶を守れ、山原のダムを汚すな」と叫んでいる。他の抗議者も「違法な工事をやめろ、森を壊すな、住民の生活を壊すな」と連呼するが、機動隊員は無表情、無反応。
 「大宜味村(オオギミオン)九条の会」の金城さんが説明してくれた。「沖縄北部の半分は米軍の北部訓練場。軍用機が30㍍の低空を飛ぶ。陸上の良い場所は基地に使われ、大半は米軍のジャングル・サバイバル訓練の世界唯一の訓練場に当てられている」、「高江を六カ所ものオスプレイのヘリパットという動きに抗し反対した。2年前に2カ所作られたが、住民の暮らし、ヤンバルクイナが棲む高江の森などの自然環境、沖縄全島の生活用水の6割を賄う4つのダムを守るため反対運動を続けている」
 その後、辺野古新基地の建設予定地を大浦湾の海上から視察。夜7時から、ねりま九条の会が招聘して講演をお願いした、平良牧師の講話を拝聴。最近沖縄の状況が変わり、「日本からの独立」を求める動きが徐々に強まっているという。現地の調査では、「今のまま45%、独立25%、まだ分からない30%」だが、琉球大学の学生は「独立賛成」が38%という。
 4日目は、糸数アブチラガマ、沖縄県平和記念資料館、平和の礎、韓国人慰霊塔、ひめゆり平和祈念資料館を見学し、最後に首里城を観光して東京に帰ってきた。
 知らなかったことが多く、現地に行って知ることの大事さを痛感した。これからも、沖縄のことを広く周りに訴え、応援していきたい。                                         井上陽子(中村・貫井・富士見台三地域九条の会)

オスプレイを横田基地に配備させない!
    
 
 11月23日、朝から冷え込み、初雪も予想されるなか、「オスプレイを横田基地に配備させない11・23大集会」が、福生市の多摩川中央公園で開催され、5000人が参加しました。
 練馬区からも各地域の「九条の会」や日本共産党練馬地区委員会などで構成された「11・23集会ねりま実行委員会」から80名もの人が参加、集会の後、「日本のどこにもオスプレイはいらない」のプラカードを掲げ、シュプレヒコールをあげながら福生の市街を力強く行進しました。
 「春日町九条の会」は会ののぼり旗を掲げて七人が参加、毎月二回欠かさず富士見台と中村橋で駅頭宣伝を続けている「中村・貫井・富士見台三地域九条の会」からは10人が参加しました。
 この集会に向け、2度の学習会、「参加推進ニュース」の発行など、広く参加を呼びかけてきた「11・23集会ねりま実行委員会」責任者原純子さんは、「東京平和委員会の岸本正人さんのお話を聞き、自衛隊と米軍共同の訓練が横田・沖縄を一体として行われていることを学び、継続した基地強化反対の運動の重要性を学びました。」と話していました。
 この集会から3週間後の今月13日の夜、普天間基地に所属のMV22オスプレイが名護市沿岸に不時着し機体が大破、その直後に、別のオスプレイ一機が着陸装置の不具合から胴体着陸する事故が発生しました。
 普天間所属オスプレイ24機のうちの二機が同日に問題を起こし、そのうち一機は「不時着」か「墜落」かを問われるような事故を起こしたわけで、このように危険な軍用機が首都圏の上空を飛び交うことに対して、「オスプレイ配備反対」の運動を大きく盛り上げていかなければなりません。                                                                   (勝山繁 記)  
                                            

衆議院憲法審査会傍聴記 その一

 11月17日、1年半ぶりに憲法審査会が再開されました。1年半前、参考人として呼ばれた3人の憲法学者が「安保法案は違憲」「立憲主義に反する」と発言、それ以降、憲法審査会はストップしていましたが、7月の参議員選によって、衆参で改憲勢力が3分の2を超え、国民投票を行うための国会発議が可能になる態勢となって初めての審議がスタートしたことになります。
 一回目は「日本国憲法が出来るまでの経緯」と、「戦後70年間に憲法の果たした役割」について、二回目は「立憲主義とはなにか」といった根源的な審議が行われました。
 審査会の会場に入るとまず事務局が作成した資料を取ってから席に着きます。初日の資料には、極東会議の「日本国民に再検討の機会を与えるべき」という意見を受けて、マッカサーが吉田茂宛の書簡に、憲法施行後1〜2年以内の憲法改正の検討を提案、吉田首相は「内容を子細に心に留めます」と返信したことなどが記載されていました。
  そのため、自民党の議員たちも
「GHQの関与はあったが、押しつけ憲法とは言えない」と発言。辻本議員の「押しつけ憲法を一番言うのは安倍さんですよね。安倍さんに教えてあげて下さい」という発言に傍聴席から共感の笑いが上がりました。今後彼らは「現状にあわない」に絞って攻撃してくるのではないかと思います。
 2回目の24日には、審査会終了後に院内報告会が行われ、その中で、審査会の前には幹事長会が開かれるが、そこで、テーマを「立憲主義」にすることについて、自民党は「1年半前の悪夢がよみがえる」と渋ったという報告がありました。国会を取り巻いた「立憲主義を守れ」という声がよほど恐かったのでしょう。審議中も自民党は、「立憲主義に反するという批判は、ただ単に現政府を批判しているだけ」などと、むなしい攻撃を試みていました。
 年内は2回しか開かれず、本格的な審査は年を越してからということです。                                     小沼記  

 

  戦争をしない国―スウェーデン  生活を楽しめる国・自由選択社会
                                                      

 私は第30回日本高齢者大会(まちから村からの連帯で、ひとりぽっちの高齢者をなくそう)の一日目の50近くある分科会の1つ{東北大学名誉教授・日野秀逸氏}の「スウェ―デンは生活大国をなぜ達成したか」に参加。すでに座席はいっぱい、私と西日本から来たという女性が、どうしても聞きたいと粘り、何人かと通路に座って聞き入りました。
 「住んでよし」「働いてよし」「環境よし」「子育てよし」。の都知事候補者だった鳥越さんの言葉を思い出しました。生活しやすく、生き方を自由選択できる、人間らしく生きること、個性を発揮できる社会がこれだと感じ取りました。
 賃金は日本の平均より20%上回り、労働時間は週48時間でほぼ定刻で帰る。解雇されたとしても失業手当が100日以上出る。職業訓練所の訓練が行き届き技術が身に着けられ再就職も可能であり。3年間は子育て休職として保障される。元の職場復帰も可、ほぼ以前の賃金に戻る同一労働同一賃金制がいきわたっています。国民の生活に必要な教育・授業料、医療費などは公的保障で無料、食料品は非課税。
 スウェーデンは資本主義社会でありながら、個人の生き方を尊重する「自由選択社会」、「個性重視社会」、女性がほぼ男性と同様に政治の世界でも、企業の場でも活躍できる「女性活躍社会」で、国会議員と閣僚の約45%が女性です。総じて「生活大国」と言われます。
 ここでは「福祉国家」と言わない、国民の福祉があって当たり前といいます。自治体がしっかりと公的にサポート。生活を楽しめる国・生き方を自由に選択できる社会です。
 ただ、スウェーデンでは消費税が27%台と高い、負担は多いが、国民の70%の人たちは必要だと認めています。所得の高い人が多く負担する累進課税も徹底しています、大企業のそれなりの負担もしっかりあります。65歳から年金生活に入ります。
 子どもは保育園のころから役割を分担しあい、小さいときから選挙で分かち合うという心が政治・社会への関心を高めているといいます。保育園は約120%で男女どちらでも自由に預け、自らの仕事ができる。選挙の投票率が非常に高く、90%前後で社会に対する関心が高いです。
 国家基本法(日本の憲法)では、「国は、すべてのひとびとの平等、自由、そして尊厳を最大限に尊重したうえで、統治を行う」と。「ひと」という表現を用い、人間は対等であると強調指しています。
 国土の七割が山地と氷河で、日照時間が短い小資源国ですが、1814年から200年間戦争をしなかった。戦争は国民の財産を破壊する最たるものです。戦争による軍事費の負担は、マイナスであり、このデメリットは計り知れないものです。この国の人々は消費中心よりも物を大切に使用します。これがスウェーデンの国造りの一歩だったと、多くの方が認めています。
 日本にとって見習いたいことが多くあることを感じました。
 

これからも町の人々と共に

 北町九条の会は、「自衛隊員の命を守れ!南スーダンに行かせない!戦争法の廃止を!」練馬北町の商店街へのはじめてのデモ行進を10月9日に行いました。練馬北町は1丁目から8丁目まであります。そのうち北町4丁目すべては、陸上自衛隊練馬駐屯地です。そのご家族達にとって、この商店街は食料品の買い物など日常生活の中心地です。商店街の店主、買い物客の親子連れ、若者達の賑やかな集団にビラを配り、たくさんの人々が快くビラを受取って下さいました。
 11月になり、南スーダンのジュバに青森の陸上自衛隊員が送られました。「駆けつけ警護」という名のもとに。殺し殺されるという戦争状態が、いよいよ実行されます。全くの憲法違反の行為を、安倍内閣は実行に移したのです。バングラデシュのPKO派兵軍人は、南スーダンのジュバは、完全に戦争状態だと告発していました。遅かれ早かれ、練馬の陸上自衛隊も派遣されることになることは、間違いありません。私達にとって、北町の同じ町内会の人々が憲法違反の戦闘行為によって殺し殺されることになることは、他人事ではありません。
 北町商店街の人々を中心により広く、深く、この運動をしみこませていきたいと思っています。反省会で、短い時間の中で、これだけの人々が集まり、たくさんの人々にアピールできたことに、自信を深めたという感想がありました。
 次は、準備をより早くして、ビラなども確実に人々の手に届くような計画と、アピールのし方の工夫をしながらやり続けようということで一致しました。なお、参加した九条の会は、田柄、春日町、平和台、板橋、北町そして練馬九条の会の方々でした。

                                                         ねりま北町九条の会 北橋出雲
   

 

 

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