ねりま九条の会ニュース10号 2007年2月発行

 

講演会記録 

小森陽一さん 日本国憲法を語る

たくらみを知らない人にぜひ伝えてほしい!

12月19日に行われた、小森陽一さんの講演会報告の第二弾として、日本国憲法、
そのなかでも、小森さんが、「これはみなさんにぜひ伝えてくださいよ!」と言われた部分をピックアップしてお知らせいたします。

 

日本国憲法 前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

この部分は、人類普遍の原理に反する憲法や法令の制定を禁止した規定です。   


「新憲法」制定は憲法違反 

人類普遍の原理とは?

 大日本帝国憲法では主権者は天皇ただ一人でした。一人のために、多くの国民が戦争に行き命を落としました。
日本国憲法は、国民が主権者であるとしています。では国民が主権者である前提は何か、それは、「政府の行為によつて再び戦争が起ることのないようにすること」です。政府の行為によって戦争が起こるような国では、本当に主権者であるとは言えないという考え方、それを人類普遍の原理だと言っているのです。自民党の「新憲法草案」は明らかにこの考え方に反しています。憲法違反です。

愛国心の押しつけは民主主義の否定 

「草案」では「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し」としています。
国を愛することと国を守ることが責務であるいうと規定は、容易に「国防の責務」に直結し、やがては徴兵制にもつながりかねない危険をもっていますし、主権者である国民が最高法規によって国家権力を縛るという民主主義的な立憲政治を180度転換したクーデター行為です。

国民の権利より秩序を優先

 「草案」では、現行の12条の公共の福祉を削除して、「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように」と付け加えています。公とは国家のことです。国家の安全や、軍事目的といった公益のために、国民の表現の自由や思想・信条の自由を制限して、戦争への批判を立法によって制限する根拠にもなりかねません。「草案」第九条二が自衛軍の任務として「公の秩序の維持のための活動」を規定していることからも
「公益及び公の秩序」が、軍事を含めた国家の求める秩序全般を指すことは明らかです。

横須賀は世界一危険な港

アメリカ軍は、自民党が新憲法草案を出したその日に、横須賀に原子力空母を配備することを一方的に通告してきました。
 原子力空母は海から陸に向けて攻撃する武器ですが、これを爆破すると、自分たちのところに原爆を落とすことになるので、反撃はできません。有効な反撃法はただひとつ、空母が出てくる前に撃沈することです。
ということは、空母が停泊している横須賀は世界で最も危険な港ということになるということなのです。日本がアメリカの軍事的な従属下になって、アメリカに協力加担し、肩代わりをするために出されたのが、自民党の新憲法草案なのです。

 

改憲派に圧倒的有利!

国民投票法


安倍政権が改憲のためどうしても通さなくてはならないのが「日本国憲法の改正手続きに関する法律案」です。全部で151条、54年前に当時の自治庁がつくり、お蔵入りとなっていたのを取り出して、少し手を加えただけです。この特徴は、公報、宣伝、運動など、圧倒的に改憲勢力や金のあるものに有利になっていることです。
1、 国民投票の期日
  国会で憲法改定案を決定してから60日以後、180日以内に国民投票を行うとしています。国の将来のあり方を決め  るのに十分な期間といえるでしょうか。しかも公報は投票30日前までに、新聞チラシと一緒に配布され、全戸配  布はありません。
2、 公報協議会
  憲法改正案とその要旨、解説、国会での賛成、反対の意見をまとめたのが公報です。その公報を作る公報協議会の  メンバーは、衆・参10人づつ、予備員各10人を各所属議員の比率に応じて割り当てます。今の国会で反対派は社民  党と共産党ですが両方あわせて1人にしかなりません。どんなに配慮しても各1人、その内容は3分の2の多数決  で決するので、自公民の談合で全て決まります。
3、 国民投票運動の規制・罰則
  特定公務員(選管、裁判官、検察官、公安、警察官)の運動禁止、さらに公務員等(特定行政法人、郵政公社〈  9月31日まで〉を含む)の地位利用による運動禁止。教育者の地位利用による運動禁止、学校の授業で憲法改正問  題を扱ったり、学者が論文を発表することに制約がかかる。この規制に違反すると6ヶ月以上2年以下の罰金また  は30万円以下の罰金が付きます。
4、 広告の制限
  運動のための広告放送は投票日の7日前から禁止されますが、それまでは何の制限もなく自由にできます。新聞、  雑誌は無制限。新聞広告は1ページ数千万円もかかるので、市民運動ではかないません。
5、 国民投票運動の助成、広告は議員に比例して
  政党等は無料で新聞、放送の広告が出来ます。しかし、その紙面の広さ、回数、時間数は議員数を踏まえて公報協  議会が決めます。そうなると自民党が新聞の1ページ広告なら、社民党、共産党は1段にもなりません。こうなる  と一般的には国民はマインドコントロール化の下に置かれることでしょう。
6、 憲法改正の成立要件
  投票用紙には○か×を記入します、しかし余計なことを書いたり、何も書かなかったりすると無効になります、そし  て有効投票の過半数で成立しますのでどんなに少ない投票でも成立することが可能です。諸外国では投票率の下限  を決めているところが多いのですが、それはありません。
7、 憲法改正の発議
  自民党は憲法九条だけの国民投票では失敗する可能性が高いため、一括投票にしようとしています。
8、 施行期日と憲法改正案の作製と発議
  国民投票法が成立すると、2年後から有効になります。但し国会法改正は次の国会召集から有効です。この改正国  会法は憲法調査会を憲法審査会に改め憲法改正案を提案することを目的とします。憲法改正案の発議は通常と異な  り、衆院100人、参院50人以上の賛成が必要と厳しくしています。
9、 民主党案は?
  国民投票は憲法改正だけでなく、国政の重要事項、例えば女性天皇などの可否についても投票する。投票権は18歳  以上、国会の議決があれば16歳以上。投票用紙には改憲賛成は○、それ以外は全て反対とみなす、投票総数の過半  数の賛成で成立。特別公務員のうち裁判官、検察官、警察官は運動禁止としない。公務員、教育者の地位利用によ  る運動禁止規定はない。投票率の下限は定めない。

 

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