43号 2012年10月発行

次の総選挙で
         

                          大内要三(日本ジャーナリスト会議会員、豊玉在住)

 次の総選挙がいつになるか、選挙の結果はどうなるか、という予測がマスコミでさまざまに語られている。国会解散に追い込むどころか、問題山積なのに臨時国会を開かせるだけの力さえどの野党にもないから、だらだらと野田政権が続く。選挙の結果は民主党大崩壊、自民党相対多数、第三極不分明。このあたりは誰が論じても同じだ。しかしこのような予測とも言えない予測は、自分の議席を守るために必死になっている現議員の論理から出て来る「政局」論議の結果であって、選挙の中身、選挙の結果を決めるのは私たちの一票だということを軽視してはいないか。選挙制度のことはここでは述べないけれども。
 私たちは選挙で、本物の脱原発の候補を選ぶことができる。原発の再稼働・新規建設・輸出をさせず、何十年も先などと言わずただちに全原発の運転停止を命ずる政府をつくる。そういう力を、私たちの一票は持っている。私は福島の子供たちのことを考える。
 私たちは選挙で、安保廃棄を表明する候補を選ぶことができる。オスプレイは米国に帰ってもらい、基地は返還してもらい、東アジアの緊張をゆるめて「領土問題」協議の土台をつくる。そういう政府をつくる力を、私たちの一票は持っている。私は沖縄の人々のことを考える。
 私たちは選挙で、日本国憲法の平和条項を守り抜く候補を選ぶことができる。
 私たちは選挙で、本物の脱原発の候補を選ぶことができる。原発の再稼働・新規建設・輸出をさせず、何十年も先などと言わずただちに全原発の運転停止を命ずる政府をつくる。そういう力を、私たちの一票は持っている。私は福島の子供たちのことを考える。
 私たちは選挙で、安保廃棄を表明する候補を選ぶことができる。オスプレイは米国に帰ってもらい、基地は返還してもらい、東アジアの緊張をゆるめて「領土問題」協議の土台をつくる。そういう政府をつくる力を、私たちの一票は持っている。私は沖縄の人々のことを考える。
 私たちは選挙で、日本国憲法の平和条項を守り抜く候補を選ぶことができる。


9・28 ねりま九条の会8周年の集いに800人

  高校生アイドルグループ「制服向上委員会」の元気いっぱいの歌と、高校生らしいまじめで率直なトークに続いて、第2部は、ユーモア溢れるジェームス三木さんのお話でした。満州からの引き上げを経験され、「港区九条の会」の会長でもある三木さんは、日本と中国や朝鮮との関係や、日本国憲法の行方に強い懸念をもたれ、「日本が大切にしなければならないものは何か」と熱く語られました。それにも増して、「警官の台詞も、泥棒の台詞も考える」という脚本家としての三木さんの、相対的にものをみる目や、鋭い人間観察に、「さすがですね」という感想が多く寄せられました。例えば「人間にはトラブルを好む心と、嫌う心の両面がある」喜怒哀楽について、「喜びは達成感、怒りは不満感、哀しみは失望感。楽しみは期待感」などの三木語録が光り、楽しみながら考えさせられたひとときでした。
   

ジェームス三木さんの講演 「輝け九条!生かそう憲法!」より

■中国と日本・北朝鮮と日本より

 日本の文字は1200年の間、縦書きだった。これは中国の文化であり、仏教も儒教も中国から来た。それがこの60年の間に、すべてのものが横書きになった。これは文化大革命だ。アメリカ文化と中国文化が、今日本の中でせめぎ合っている。アメリカからさまざまなものが来た。ジャズや、歩きながら食べるホットドッグや立食パーティまでやってきた。こんなだらしのない文化は日本にはなかった。 今でも日本はアメリカから戦闘機を買えと言われれば買うし、オスプレイを飛ばすぞと言われれば黙って受け入れるが、日本にアメリカの基地があるから北朝鮮は日本を狙うのだ。
 北朝鮮とアメリカの戦争はまだ終わってはいない、朝鮮戦争は決着がついていなのだ。棄して、中東で戦争をしている時には他で大きな戦争はできないから、朝鮮有事対応も中国の軍拡対応も日本の力をあてにしている。
まだ休戦中なのだ。北朝鮮は講和条約を結びたいのに、アメリカがそっぽを向くから、焦って核兵器をつくろうとしたり、テポドンを飛ばしたりしているのだ。
 かつて日本も国連を脱退して、国際法規を無視して戦争を起こした。中国に百万もの軍隊を送った。中国人を一千万人も殺した。中国にはおじいさんやおばあさんを殺された人が多い。攻め込んだ方は軍隊だけだが、攻め込まれた方は、民衆が家屋敷を失い、家族を失い、思い出から財産から全部を失う。
 それなのに、今日本は「尖閣列島は国際法規に訴えて」などと言っている。中国人は、「国際法規を破って戦争をしかけ、中国人を一千万人も殺したのはどこの国なんだ」と思っているだろう。
 北朝鮮の人は、太平洋戦争中は「日本人」だった。日本の国籍を持ち、天皇を崇拝させられ、小学校から日本語を教えられて、日本風の名字に変えさせられ、日本人として特攻隊にも行っている。「その日本が寝返って、今アメリカに付いている」北朝鮮の人にはそう見えるだろう。相対的にものを考えないといけない。 靖国神社の問題にしても、日本の側からだけ見れば、日本のために戦争に行って、戦死した方々が靖国神社に眠っているのだが、中国人から見ると、中国人を一千万人も殺した人が奉られている。しかも日本の総理大臣が参拝に行っている。それはやっぱり抵抗があるだろう。
相手のことを考えないといけない。

■怖い!九条込みの「一括審議」

 九条の第1項は「戦争を放棄する」、第2項は「その目的を達成するために陸海空軍を持たない」としている。この2項を、自民党は
「戦争を放棄する目的のため以外なら、軍隊を持てる」というように解釈してきた。しかし、今度自民党の総裁になった安倍晋三氏をはじめ、総裁選に立候補した5人とも、それより一歩踏み込んで、憲法を改正して「軍隊を持つ」とはっきり言っている。
 私が恐れているのは「一括審議」だ。日本人は「日の丸」には過半数がOKと言うが、「君が代」は半分が反対している。そこで自民党は一括審議にして通してしまった。九条に対してもも同じ事をするにちがいないからだ。

■私たちは歴史の中継ランナー

 戦前、「日本は強い国 だから絶対に負けない」「日本は神の国だ」と騙されて、人々は戦争に協力した。原発も同じだ。原発の問題は私たちの世代の責任だ。
 私たちは、ひとり一人が歴史の中継ランナーで、歴史の中をバトンを持って走っている。先祖から貰った文化遺産や知恵や学問、そして命をバトンタッチしていくのだ。
 では私たちは今どんなバトンを持っているだうか。核兵器、大気汚染、地球の温暖化、そして原発。そういうものを子孫に渡そうとしている。最悪の世代ですよ、私たちは。先祖に対しても、子孫に対しても、土下座をしても許されない。どうやってこのバトンをきれいにして子孫に渡すかを考える必要がある。
 国家と国家による外交は対立する。軍事も、宗教も、経済も民族も対立する。唯一対立しないのは文化だろう。韓国ドラマを見て共感するように、共感させる力を文化は持っている。文化や芸術には国境も国籍もない。文化や芸術が違うからといって責め立てたり、ケンカになったりもしない。ということは世界平和の最短距離は文化なのだ。
 「強い日本」ではなく文化を大切にする「信頼される日本」にしたい。 「すばらしい憲法をもった、信頼され、愛される日本」というバトンを次世代に引き継ぎたい。

■高校生の感想より

・制服向上委員会の第一印象は、現在の政治に対する不満を歌で思いっきりぶつけていて「このグループやるなあ」。歌っている間には、拍手がかなりおきていたので今の政治に不満な人が多く、また最後の「脱原発の歌」では多くの人が手拍子をしていて討論型世論調査や脱原発デモでもわかるように脱原発を訴える人が多いなということを実感した。

・ジェームス三木さ んの講演の中に「我々は先祖に対しても子孫に対してもだめな世代」だという話があった。政治や外交などはひとり一人が最善の方法を考えて行動していけば解決できるかもしれないが、戦争や原発事故は取り返しがつかない。私たちはそれを避けるために 憲法を守る必要があるのだと思った。

・憲法九条が世界に類を見ない条文だということは知っていたものの、なぜそこまで必要とされているのかを考えたことはなかった。今日の会は、現在国内外で起きている問題は戦後の歴史と結びついているということに、改めて気付かせてくれた。

・いい話が聞けたし、同じ仲間がいるということを知り改めて頑張ろうと思った。


 

◆本の紹介 「戦後史の正体」 創元社 1500円     

 作者 孫崎享(まごさき うける)1943年生、東大中退、外務省入省、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、2009年まで防衛大学教授、現筑波大教授。著書はこの他に「日米同盟の正体-迷走する安全保障」など。
 現在を理解するには歴史を知ること、未来を予測するには周囲との関係、特にアメリカを理解することが欠かせない。戦後の日本は超大国アメリカの圧力で振り回されてきた。アメリカに追随して生きるか、自主路線を主張して政権の座を追われるか、その相克が戦後70年間の日本外交の歴史だった。吉田茂が対米従属路線を敷き、池田勇人、三木武夫、中曽根康弘、小泉純一郎、海部俊樹、小渕恵三、森善朗、安倍晋三、麻生太郎、菅直人、野田佳彦の対米従属派に対し、自主派には重光葵、石橋湛山、芦田均、岸信介、鳩山一郎、佐藤栄作、田中角栄、福田赳夫、宮沢喜一、細川護熙、鳩山由紀夫、一部抵抗派に鈴木善幸、竹下登、橋本龍太郎、福田康夫がいる。
 そして日本社会の中に、「自主派」の首相を引きずりおろし「対米従属派」にすげかえるためのシステムが埋め込まれている。一つは検察で、中でも特捜部は政治家を起訴してきた。この前身はGHQの指揮下にあった「隠匿退蔵物資事件捜査部」で、終戦直後日本人が隠した「お宝」を差し出すのが役目で、どの組織よりも米国と密接な関係にある。
 もう一つは報道だ。占領期から米国は日本の大手マスコミの中に「米国と特別な関係を持つ人びと」を育成してきたが、今日まで続いているのは異常なことだ。それが外務省、防衛省、財務省、大学などの中にもいるという。
 ではどうしたらよいか、次に生まれた政権も、さらにまた次もあきらめず、おじけず、功名心を優先させず、「自主」を貫いてがんばること、そうすればアメリカはあきらめる。その例はカナダにある。
 この本から多くのことを学ばせてもらいました。全国民必読の書だと思います。  (大柳武彦)

 

 ◆ポスターが完成しました 

 まだお手元に届いていない方やお友だちに届けたい方は03-3921-8023(大柳)までご連絡ください。
  

◆ 講演会「福島・沖縄と9条」

 福島の原発事故とその後の事態は、戦後沖縄が置かれ続けてきた、戦後日本という「犠牲のシステム」を映し出す結果となりました。この犠牲を回避するために、憲法9条を生かすことはできるのか。行動する哲学者、高橋哲哉さんに語っていただきます。

    講師:高橋 哲哉さん( 東京大学大学院教授 著作:『靖国問題』『国家と犠牲』『犠牲のシステム 福島・沖縄』等)
    日時   12月15日(日) 午後1時開場 2時開会
    会場 練馬勤労福祉会館(大泉学園駅南口より)
    資料代 500円
           主催:平和を育てる大泉9条の会  連絡・問合せ先 町田03(3923)0915 

 

 

 

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