52号 2014年4月発行

〈1面〉

新兵たちの軍隊                   

 敗戦以前の日本では、満20歳に達した男子は徴兵検査を受け、兵役に就くことが国民の重要な義務であった。戦局が悪化した1943年頃になると、ほとんどの男子に召集令状が届けられるようになった。学業半ばの学生たち、病弱の男性たちも例外ではなかった。父たち、夫たち、息子たちは、家庭を後にし、本籍地の連隊へ次々と入隊していった。
 新兵たちは、二年兵・新兵十数名が雑居する内務班に配属され、厳しい訓練と制裁の日々を過ごした。「日本の軍隊はよく殴った。朝から晩まで、殴らぬ暇はないほどなぐり続けた」
(森勇伊佐雄『昭和に生きる』}。「これこれこういう訳でやりましたというと、言い訳するなと殴りつける。黙っているとなぜ黙っているかと殴られる」
(飯塚浩二『日本の軍隊』。殴られる日々の中で、新兵たちは、軍隊では上の言うとおりにならなければいけない、考えたり批判したりしてはいけない、何でもかんでも絶対服従だとたたき込まれた。兵隊は、天皇陛下から下賜れた武器や、官給品以下の扱いを受けた。それらを崇め、鄭重に手入れしてないというのが、過酷な制裁の口実ともなった。
 生まれて以来、人を殺すなと教えられ、人間への愛情や思いやりの大切さを教えられてきた人々を、敵を殺す組織の従順な部品とすること。初年兵への殺伐な制裁は、恐怖心によって今まで培ってきた人間性を抹殺し、絶対服従の精神をたたき込む仕組みに他ならなかった。
 そもそも、軍隊とは、殺さねば殺されるという戦場の論理の上に作られた暴力装置であり、その本質は今も変わらない。戦争とは、殺し合いの場に人が放り込まれるのを意味している。
 今の憲法を手にしたとき、「もうこれからは戦場にかり出されることはない。夫や息子を奪われることはない。教え子を戦地へ送り出すことはなくなる」という安堵が人々を包んだことを覚えている。私たちは、この平和の思いを決して手放してはいけない。                            大島 美津子(貫井在住、歴史研究者) 

 

〈2〜3面〉

ねばりづよく、あきらめず、地域で声をあげつづけよう
  三月一 ~一一日、さよなら原発ねりまアクション旬間と銘打って連日の行動をおこないました。一日には「さよなら原発はしご飲み」。「原発と飲み会と何の関係があるの?」という野暮な問いを無視して、チェーン店ではない練馬駅周辺のお店をはしごする交流会を決行。ほとんどが初対面にもかかわらず、新しいつながりと活動のエネルギーを得たのでした。
 二日は練馬駅前で「ぼんぼり祭り」。ひなあられ付きのチラシは雨の中でもよく受け取られ、桃の花カードに願いを書いてもらうコーナーでは犬の散歩中の通行人、ファミリーなどが足を止めてくれました。オカリナ演奏も好評。
 九日は国会周辺での原発ゼロ行動に呼応した、練馬恒例の午前デモ。車いすやベビーカーの方も含めて一五〇名の参加。大きな抗議行動も大事だけれど、私たちの街で声をあげることを大切にしたいと思っています。
 連日の駅頭宣伝もツイッターを見て飛び込みで手伝ってくれる人もありました。
 アクション旬間は今回で3回目。初回の二〇一二年三月はそれまでご一緒することがなかったような団体や、多くの市民の賛同で実施。それを土台に年間通じて「午前デモ」やイベントをつづけています。
 昨年夏からの「一一日宣伝」は、毎月一一日の練馬駅頭での宣伝行動(平日は一八~一九時、土日祝は一七~一八時)。
 福島の事故は収束どころか被害は拡大中。それなのに再稼働?輸出?冗談じゃない。声をあげ、行動しましょう。あきらめるわけにはいきませんから。

           

 

投稿コーナー  練馬九条の会ではみなさんの投稿をおまちしています。ご意見をどしどしお寄せください。但し字数は600字程度でお願いします。
 都知事選から何を学ぶべきか          
 一.細川氏に競り勝った意味は大きい
 脱原発票分裂の苦渋を味わった都知事選で、正攻法の宇都宮氏は小泉人気にあやかる奇策を取った細川氏に競り勝った。これは「人気よりも人物・政策を重視する」健全な民主主義が都民に芽生え始めた意味で重要だ。さて、戦い終わった今、両陣営は過去のわだかまりを捨て、脱原発運動で協力しなければウソである。正にノーサイドなのだ。
二.女性パワーを讃える
 今選挙でも女性陣の奮闘は目を見張るものがあり、寒風下ビラを配り、駅頭宣伝する彼女等には頭が下がる思いだった。この努力が実る戦略を立てねばならない。
三.選挙運動より教育活動を
 宇都宮氏を破ったのは自公支援のプチ富裕層や、知名度で選ぶ無定見な約211万票である。他方、約575万票の棄権票がある。これらを我が票田に掘り起こすのは「短時日の選挙運動でなく、時間をかけて教育する活動」であろう。パートや派遣に苦しむ若者に、経済や政治の仕組みを教え、革新に目覚めさせ、我が陣営に迎えるのである。
 又「ねりま九条の会ニュース」をもっと活用しよう。次号が待ち遠しい紙面に改良し、書店に置き、街頭配布したい。
四.田母神票に見る若者の右傾化
 田母神氏が約61万票を得たことで、若者の右傾化に驚かされた。九条の会は、戦争を知らない若者達に戦争の実体を知らせる工夫をせねばならない。
五.先ず革新区政を
 都知事選の様な高望みでなく、革新区長、革新区議の実現で足元を固めるのが先だと思う。革新区政が幾つか出来て初めて革新都知事が射程に入って来るものである。

日本の青空3を観て思う

住民自治の重要性
 初めてこの映画を観たとき、私は無から運動を出発し、やがて住民投票で「原発建設NO!」を実現した新潟県巻町の人々の行動に深く感動しました。
 二回目である今回の観賞では「原発反対は勿論のこと、この映画は地方自治ないしは住民自治の重要性を問うているのではないか」と考えるに至りました。
 我が国の政治・行政は代議制度であり、代表者を選び案件を決めている建前です。しかしながら、選ばれた者がすべてにおいて正しい決定をするという保障はありません。それは、このところの安倍政権の暴走ぶりをみれば明らかであります。もうやりたい放題という感じです。
 そこで思います。住民の意志に基づき自分達で物事を決めるという『住民自治』の実践を、今こそ根付かせる必要があるのではないだろうかと。
 昨今、住民の政治参加への意識が低いという現実がありますが、一方、明るい兆しが有るのも事実です。例えば…「小平市・都市計画に関する住民投票」や「埼玉県北本市
・JR新駅に関する住民投票」が記憶に新しいところです。小平では残念な結果となりましたが、北本の場合は、住民投票で建設反対が過半数となり、市長は自ら提案した建設計画を白紙撤回しました。この事例は私たちに多大な勇気を与えてくれました。
 この映画からは、言うまでもなく、一人ひとりの力は弱くてもまとまると巨大な力になること、そしてそうなるまでには相当な困難を克服しなければならない…ということを、あらためて学んだ気がします。                                                        河西 量次( 東大泉在住)

もし私がそこにいたら…
 一九六九(昭和四四)年、新潟市西浦区巻町は、原発の候補地に上がった。ここから映画『渡されたバトン』は始まる。
 舞台は、町の有力者たちが出入りする料理屋。最近、土地が買い占められ、地価は上昇して、特別の産業もない海辺の町は、さまざまな噂とともに活気づく。料理屋の親父さん夫婦には三人の娘があり、その娘たちの成長とともにドラマは進む。
 春浅い角田浜海水浴場での、長女の恋人の求婚シーンは美しい。その恋人は社会科教師であり、また寺の跡継ぎでもある。土地買収が進み、長女の恋人の家の寺が未買収地として残り、そこのは町の人代々の墓もあり、やがて原発が誘致される計画が人々の知るところとなって、町は賛成と反対に二分される。
 同じ頃、町長選挙が行われ、現町長の原発誘致派と、反原発派と、さまざまな思惑とともに近隣も家族も選挙の渦に巻き込まれ、料理屋の親父さんは入院する始末になった。
 ジェームス三木の脚本は、反町長派の勝利を予期しながらも、次々に目が離せない出来事の連続で、見る人の心を揺さぶる。もし自分がここにいたらどうしただろうか…。
 平成二五年に完成したこの映画は、幸いなことにロケ地に事欠かない。なぜならば原発が来なかったから。むかしのままの海辺の風景の中で、園児たちが高いポールから四方に張られた綱に故郷を守る言葉を書いた色とりどりのハンカチを結ぶラストシーンは圧巻だった。
 

「日本の青空」パート1(日本国憲法誕生) DVD鑑賞会に43名があつまる
 年金者組合希望の会とねりま9条の会の共催で、3月23日、地元上石神井団地集会所で開かれました。3000枚のチラシを手分けしてまき、いろいろな集会での訴えなど年金者の班長を中心に団地を重視し声掛けをしました。特に同じ場所での数日前に開かれた歌声喫茶(医療生協)40名の参加者への訴えは反応がありました。地元上石神井団地から14名が、少し離れた公園団地からは7名の参加がありました。
 当日は、チラシを手に中学生のお子さんを連れてお父さんが参加し「どんな映画なんですか」と最後まで観賞をしていただきました。参加されたみなさんは2時間の長時間にかかわらず、熱心に観賞しました。
 後日、声をかけて参加していただいた公園団地の方から「憲法問題に関心がないわけではなかったのですが、良い映画をみせていただいてありがとうございました」とお礼の声が寄せられました。
 私たち主催者側も43名の参加者で目標にもう一歩でしたが、地域の各団体と共同の取り組みが今後できるとの声が出ています。

 

〈4面
 講演会  講師 𠮷 原 功明治大学名誉教授

 テーマ「秘密保護法は戦争を招く」 
      5月8日(木)6時30分から     勤労福祉会館 (2階 会議室大)     参加費400円
      主催 公共研究会      3921 -6440 (片岡)3922-5892(暉峻)5387-6735(山川)


 講演会  大国化する中国と東アジアの安全保障 ーどうなる日中・米中・日米関係─
       講師 末浪 靖司さん(ジャーナリスト)

          5月24日(土)午後2~4時(1時半開場)
           練馬区勤労福祉会館(会議室大)   資料代500円
          問合せ:平和を育てる大泉9条の会   ☎03(3923)0915 町田

2014年 平和リレートーク
積極的にご参加ください。飛び入りも歓迎します。

4月13日(日)14:00~16:00   城北地域空襲記念
              (光が丘区民センター前)
4月28日(月) 17:30~19:30  サンフランシスコ条約、
              安保条約締結記念(大泉学園駅)
5月3日(土) 10:00~12:00  憲法施行記念(練馬南口)
6月23日(月) 17:30~19:30 沖縄慰霊の日(練馬駅南口)
8月9日(土) 14:00~16:00 ナガサキ被爆の日(練馬駅南口)
8月15日(金) 17:30~19:30 終戦記念日(大泉学園駅)
9月2日(水) 17:30~19:30 降伏記念日(石神井公園駅)
9月18日(木) 17:30~19:30 満州事変記念(練馬駅)
11月3日(月) 14:00~16:00 憲法制定記念日(練馬駅南口)
12月8日(月) 17:30~19:30 開戦記念日(練馬駅南口)

6.6公演に対しての駅頭宣伝 17:30~18:30
お近くの方お手伝いいただければチラシ配りをお願いできないでしょうか

4月18日 自衛隊前 4月22日 練馬高野台
4月25日 大泉学園 5月7日 富士見台
5月9日 中村橋 5月13日 桜台
5月16日 江古田 5月20日 練馬
5月23日 平和台  5月27日 氷川台
5月30 日 春日町 6月3日 練馬