88号 2019年12月発行

無意識の憲法違反
                            渡邊澄子 
(大東文化大学名誉教授・中村在住)

 前天皇退位に伴っての新元号発表と、新天皇即位祝賀の歓喜フィバー現象の日の丸の小旗をうち振って「天皇陛下万歳」の歓呼に鳥肌が立った。映像で何度も見た真珠湾攻撃で悲惨な太平洋戦争突入時の光景と重なっての恐怖である。閣僚19人中15人が重鎮で自民党議員の40%以上が会員という戦前回帰を目指す「日本会議」の跳梁と相まっての事だろうと思うと震えが来るほど怖い。
 「元号」は「君主」の時間に民衆を従わせる制度で、中国に倣って「大化」に始まるが、本家本元の中国はとっくに西暦使用になっていて、元号使用は世界で日本だけである。AI時代に時代錯誤も甚だしい。公用語に使うなんてとんでもない。首相は「日本固有の文化」の「国書」の日本最古の歌集『万葉集』から抜き出したと胸を張った「令和」は、『万葉集』が影響を受けている『文選』に「令」「和」の入っている賦篇が既にあるばかりか、「海ゆかば」が象徴的だが、戦時下、軍国歌謡として広く歌われ、「忠君愛国」煽動の皇国イデオローグを積極的に果たした歌集なのだ。戦前回帰への巧みな誘導と思われて怖い。
 「天皇陛下万歳」は更に危険だ。「陛下」の呼称を法務大臣始め為政者もメディアも当然のように自然体で使っているが、「陛下」の意味を諸橋『大漢和事典』や『字通』によると尊・聖なる高所におわします「天子」に対してはるか階陛の下から「臣下」が奏上する時の呼称で、主権在民の憲法違反は明々白々なのに無意識の使用が怖い。国民は臣下ではない。言葉は意識を醸成する。
 天皇即位の儀式の時代錯誤ぶりには言葉を失う。結婚前の外交官として大股で闊歩してらした自立した女性のトップだった雅子さまの辛い心情が同情される。敗戦によって日本は主権在民・人権平等の民主国に変わった筈なのだ。即位儀式も現代風に変えればいい。天皇ご夫妻がお気の毒。
 とりわけ大嘗祭は問題である。天皇が挙行を強く求めたのではなく政府のお膳立てだ。秘儀なのでよく分からぬが略記すれば天皇は神座で衾にくるまり皇祖神とされる天照大神を迎え、神膳供進の祭祀「真床襲衾(まどこおぶすま)」によって神になるということらしい。明治から戦争下に天皇は現人神(あらひとがみ)として「神の国」「神風」で勝利絶対と国民を欺いたその時代への回帰である。陳腐な神話が基の、一時的建物に税金 億(実際は 億)も使うなんて、もっと使用先は山ほどあるのに。「桜を見る会」の徹底検証も必要。怖いことが多すぎる。国民は知性を磨いて目を凝らせねばならない。
 

                                                                                                                    (ねりま九条の会世話人)

第16回 ねりま九条の会総会報告                       

 ねりま九条の会は12月1日練馬区職員研修所で第16回総会を開催しました。記念講演は金子勝立正大学名誉教授。寺井・今村ご夫妻(桜台九条の会)のチェロとバイオリン演奏、窪田之善日野市民九条の会事務局長の報告もありました。また会則の改正と個人情報保護規則の整理をしました。(提案石神井台九条の会古山博之さん)
 事務局体制では引き続き事務局長に大柳武彦さん、事務局次長に新しく小沼稜子さん、会計に引き続き小岩玲子さんと、これまでの堀康弘さんに代わって岡部典子さん、会計監査は長年お願いした中村茂樹さん(すずしろ九条の会)安西さんに代わって高橋眞知子さん、立川信夫さん(下石神井九条の会)が担当することになりました。

.■情

 アメリカの圧力と財界が音頭を取り、自民党や日本会議が地方からの取り組みを強め、神社が中心となって地域から改憲の動きを強めているもとで、これに対抗するには地域から、共同の実現を進めることが必要となっています。
  ねりま9条の会は創立して16年目を迎え、会員の高齢化が進み、体力が衰え、退会する人が増えて、若い人への継承が不可欠になってきています。そうした中で、 か所に広がった地域の九条の会が、継続して様々な取り組みをして憲法を学び、民主主義の発信地の役割を果たしていることは貴重です。

■今後の方針

 様々な取り組みも近隣の九条の会や地域の団体が協力しないと成功しないので、横の連携を強めることを提起しました。そして3千万署名を成功させるには駅頭宣伝や手紙などの取り組みだけでは限界があり、大変だけども全戸訪問での対話が必要になってきました。各戸訪問などで2万筆と目標を達成した日野九条の会の取り組みは教訓的です。また訪問で新しい仲間を発見できることも楽しみです。
 自民党憲法案は、戦争に出かけ自衛隊員が死んでも憲法違反と言われないようにする、当然国民の権利を押さえつけ、反対者を弾圧するものです。平和を求める世界の流れに逆行します。今の憲法を守るためには、一人一人が不断の努力をしなければならない(憲法 条)。声を挙げなければ悪政を認めることになる。私た
ちがやろうとしてるのは民主主義革命(現行憲法を守り活かす活動)。さらに平和とは戦争しないだけでなく、すべての暴力を排し、全ての人と仲良くし助け合って生きること。それは直接的物理的暴力(戦争、いじめ虐待)、構造的暴力(消費税、貧困、格差、福祉切り捨て、原発、地球温暖化、教育の産業奉仕など)、文化的暴力(レイシズム・民族差別、ヘイトスピーチ、男女、障碍者、LGBT差別など)と闘い、人権を尊重し、助け合い、民主主義を実現することが九条を守るということと位置付けました。
 今後SNSなどを通じて若い人にも働きかけていきます。

■会場の声                                        

 討論では、「護憲では現実に合わない。自衛隊は必要最小限保持、PKO、海外派兵禁止を九条に明記するなどが必要。」という意見に対し「変えるべきではない、天皇条項など問題を感じるが、いまは憲法を活かすことに軸足を置くべきだ」。「九条の会練馬連絡会の月一回の会議はためになる、ぜひ参加してほしい」「戦争を語り継ぐ会に恩師を是非呼びたい、共同で開催を」「署名の到達が不明確」「公共施設の申し込みに要予約をチラシに記載しないと貸してくれない、規制が強まっている」「子ども権利条約の具体化を」「予算額が大きく減っている、原因を明らかに」などの意見が出されました。議案と決算・予算案、会計監査報告、会則、個人情報保護規則は拍手で承認されました。

金子勝さんの講演より
   「私たちの目指す国は憲法を実現する国」  
                           
新井幸恵 (全国老人福祉問題研究会・練馬支部) 
■安倍政権の目的 

 安倍政権は「桜を見る会」の私物化で窮地に立っているが最後の力を振り絞って改憲を実現しようとしている。安倍改憲の目指す国と、私たちの目指す国を明確にする必要がある。
 安倍改憲の目的は、2015年9月19日の「憲法クーデター」で集団的自衛権の行使権を国に付与し、アメリカ軍に従属して、自衛隊をアメリカ軍とともに世界中に侵略戦争を行う軍隊に昇華させたが、これを憲法に明記すること。自国が武力攻撃を受けていないのに他国を攻撃するのは明確な侵略である。 世紀の日米安全保障条約体制とは、地球規模での日米同盟であり、アメリカの世界支配を達成するための軍事、経済同盟体制を作ることである。そのためには障害となる国民主権と民主主義、基本的人権、地方自治、議会、司法、政党・団体などを抹殺するファシズム国家を目指している。

■私たちの持つべき思想

①すべての動植物と地球は、平和の下で幸福になる権利がある「平和的幸福追求権」。すべての紛争は話し合いでの解決が当たり前となる時代である。
②戦争を仕掛けた国が結局敗北する時代である。③戦力を持たない国を攻撃する国は国際社会から糾弾され窮地に陥るから、戦力を持たない国を侵略できなくなった(コスタリカ)
 したがって 世紀は憲法九条が人類の導きの星となる時代である。九条に自信を持ち、星の数ほどの憲法学習会を開き、改憲反対の運動を起こそう。自分が憲法の語り部になろう。改憲阻止議員連盟と改憲阻止国民会議を結成しよう。

■私たちの目指す国それは「平和的福祉国家」

 戦争の原因である貧困、軍隊、暴力、差別がないもとで幸福になれる国。それは九条を全面的に開花させ、福祉を全面的に開花させることで可能となる。
 「平和的福祉国家」は戦争と軍隊と武器を放棄し、資本主義の横暴を規制し、平和と、地域と、環境と、福祉と、民主主義と、能力開発と、人権を尊重する国家。開発と、人権を重する国家。
 いかなる国にも脅威を与えず、いかなる国とも対等で付き合い、世界中から貧困、病傷苦、文盲、飢餓、売春などを絶滅させる活動を行い、
地球環境を保護する活動を行う国家。戦争、軍隊、武器、暴力、差別、拘束がない下で、誰もが必ず、食べること、着ること、住むことができること、医療を受けることができること、学ぶこと、働くこと、休むことを保障する国家である。
 それは日本国憲法が目指す国家である。安倍改憲を阻止するために
「平和的福祉国家」の旗を立てよう。

■質問に答えて、

 九条を持つ国はもめごとが起きたら自衛隊を出すのでなく、首相自らが白装束で出かけていき談判する、殺されたら次の首相が出ていく決意が必要だ。今の安倍は自分では行かないで自衛隊を出すことしか考えない。自衛隊が行って死んだら英雄になり、自衛隊は廃止できなくなる。行かせてはならない。(文責 大柳)

 

日本国憲法と日本の教育の現状 

一、日本国憲法は教育をどう規定しているか

○ 戦前の教育はどうだったか

 いうまでもなく、日本が起こしたあの侵略戦争を推進してきた原動力は、軍国主義教育でした。戦前の教育の根本となった教育勅語は、子どもたちを天皇の赤子と位置付け、天皇のため国のために死ぬことを最大の眼目とした「教育」でした。
そして、満州事変から始まった15年戦争によって、310万人の日本人と2000万人のアジア諸国民の尊い命が奪われました。広島と長崎に世界史上はじめて原子爆弾が投下され、一瞬のうちに数十万人の生命が奪われ、筆舌に尽くしがたい惨禍を被りました。

○戦後、日本国憲法のもとで

 こうした軍国主義教育の根本的反省に立ち、戦後の教育は、日本国憲法と「1947教育基本法」の下、民主教育に転換されました。日本国憲法は、前文と天皇条項に続き、第9条で、国家権力による戦争や武力の行使・武力による威嚇までも「永久に放棄」し、戦力、国の交戦権まで放棄しました。戦後の教育は、憲法のこの平和主義の上に立脚しています。そして、憲法第 条には、「すべて国民は能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有する。」と国民の教育権が高らかにうたわれています。

二、安倍政権は、教育をどうしようとしているか。

○1947教育基本法の改悪

 2006年12月、第一次安倍内閣は、多くの国民、教職員の反対を押し切り、教育の憲法と言われた「1947教育基本法」を改悪しました。1947教育基本法は、第1条「教育の目的」で、「教育は人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび…心身共に健康な国民の育成を期して行われなければならない。」と規定し、教育は、個人の人格の完成めざすことが目的とされました。
 しかし、現行「教基法」には、第2条「教育の目標」で、「公共の精神」「伝統文化の尊重」「我が国と郷土を愛する」などの言葉が並び、さらに、「〇〇を養う」「〇〇を培う」など様々な徳目を羅列し、国家や大企業が必要とする「資質」を「養う」=(「植え付ける」)ことを教育の「目標」としました。新教基法のもと国旗掲揚、国歌斉唱が義務付けられ、道徳が「特別の教科」とされ、靖国史観に基づく歴史教科書が検定に合格し採用する自治体も現れるなど、公教育の変質が極まっています。

三.安倍教育改革で子どもたちや学校は…

○子どもをむしばむ競争主義教育

 では、安倍教育改革で、子どもは、教育現場はどうなっているでしょうか。
 まず、競争主義の問題です。子どもたちは、学校が行うテストにえ、国・都・区の学力テスト、高校入試、大学入試など、全教育期間を通じて、テストに追いまくられています。学ぶ楽しさよりも、テストで何点取るかが、子どもや保護者の関心事になっています。この競争主義が、教育をゆがめ、子どもの心身に重大な支障をもたらしています。国連子どもの権利委員会は、日本政府に対して、「過度な競争的な学校環境が子どものいじめ、精神障害、不登校、中途退学および自殺を助長している可能性を懸念する。」と警告しています。増え続ける不登校、あとをたたないいじめ・子どもの自殺などの背景には、教育におけるこの競争主義が根っこにあることを指摘せざるを得ません。

○大学入学テストに民間業者が…

 大学共通入学テストに英語の民間テスト導入をめぐっての荻生田文科大臣の「身の丈発言」は、安倍教育改革の本音をいみじくも露呈しました。この発言は、憲法精神の「すべて国民は…ひとしく」ではなく、「金持ちは金持ちなりに、貧乏人は貧乏人なりに、教育を受けてくれ」と、教育の機会均等を否定しています。民間の営利業者に大学入試を明け渡し、莫大な利益を上げさせる方向は、安倍教育再生実行会議が目指してきたものです。ベネッセ関連法人に、元官僚が天下っている事実も明らかになっています。英語の民間テストや国数の記述式問題導入をやめさせることは緊急課題となっています。

○先進国中最低の公教育費

 では、日本の教育条件はどうでしょうか。
 2015年の調査で、日本は、GDP(国民総所得)に占める公教育費の割合が29%で、6年連続、OECD諸国34か国中最下位でした。
1位のノルウエーは、6.3%、2位はフィンランド5,6%、次いでアイスランド5.5%、ベルギー5.4%、スェーデン5.0%と続きます。世界第三位の経済力を持つ日本は、教育には徹底してお金をかけません。
 1学級当たりの人数は、いまだに40人で、子どもはすし詰め教室の一斉授業を強いられています。教員の長時間過密労働の蔓延、障害児学校・学級の大規模化などの原因もここにあります。家庭の教育費負担も年々増大しています。「奨学金」は、「貸与制」で、利子が付き、就職した途端に数百万円のローン返済に追われる日々が続く人もいます。小学校から大学まで、教育費無償が当たり前のヨーロッパ諸国とは雲泥の差です。

○先生を過労死に追い込む1年制の変形労働時間制導入の給特法「改正」が成立。

 2019年12月3日、安倍内閣は、自民・公明・維新の賛成で、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制を適用できるようにする教職員給与特別措置法(給特法)の改悪案を成立させました。現在の「給特法」は、残業手当規定がないことから、勤務時間外の仕事はすべて、「サービス残業」となっています。この状態を法律で固定化し、子どもが登校する期間は、1日10 時間まで労働時間を伸ばし、子どもが来ない夏休みなど長期休業日の労働時間を短くするというもの。この法律は、教員全員を過労死の危険にさらす天下の悪法といえます。教育労働とは子どもの命と教育をつかさどる高度な専門職です。子どもの人生に影響を与える教師には自らも成長・発達できる労働環境がどうしても必要です。
私達は、教員の増員、30人学級実現、残業代の支給など、抜本的な改革を求めています。

四.私達は、子どもと教育のため何をしなければいけないか。

 「すべての子どもが楽しく学校に通え、健やかに、賢く、自分の能力や個性を天まで伸ばしてほしい。」とだれもが切実に願っています。そのような公教育に切り替えるには、日本国憲法と子どもの権利条約に立脚し、「人材育成」のための競争主義を根本的に改め、誰もが楽しく通えて、真理・真実がわかる学校や授業を実現することが求められています。
 そのためには、国や都や区が行っている学力テストを即時中止するとを求めます。
 また、公教育にかける費用を他の先進国並みに増やし30人学級を早期に実現し、先生の数を抜本的に増やし、教育内容も精選していかなければなりません。
 給食費の無償化や高校や高等教育の無償化も他の先進国並みに整備していく必要があります。
 障害児学校の増設、小中学校の統廃合中止、給付制奨学金の整備なども緊急な課題です。
 先生方への人事管理強化を改め、教育に自由を取り戻します。
 教員の労働条件を教育条件と位置づけ、労働時間の抜本短縮、大幅賃上げと差別賃金の是正によって、教師が生き生きと働ける労働環境を整えることも重要です。
 安倍内閣による憲法改悪を阻止し、すべての子どもが「能力に応じてひとしく」成長発達できる教育、子どもに「最善の利益」をもたらす教育条件を実現するため、今こそ大人が力を合わせましょう。

 


福島の今を巡るバスツアー               
片野令子              

 「核・原発のない未来を子どもたちに@練馬」は〝福島のいま〟を見て、知って、原発ゼロ活動に活かしていくため毎年バスツアーを行なってきました。先月、11月23、24日に実施。今回で3回目になります。
 原発事故から10年目を迎える福島は、国を挙げてのオリンピック、パラリンピックに向けて事故隠しを懸命にやっているように見えました。特に聖火リレーのスタート地点となるJビレッジは天然芝を張り替え、周辺の道路の脇は林の中まで除染されていました。田や畑に山のように積まれていた黒のフレコンバッグも少なくなり、そこに新しい土が入れられ、耕作が始まっているかのような風景でした。
 1日目 いわき放射能市民鑑定室「たらちね」は、原発事故後、市民で放射能測定をし、子どもたちを守ろうと親たちが立ち上がった事業。開所してから8年になるという。子どもたちのための検診事業、保養受付、相談事業、クリニック事業、心のケアなどを行なってい
ます。 掃除機のゴミの放射能の測定、DNAやRNAに影響すると言われるトリチウム、骨腫瘍や白血病などに影響するストロンチウム の
測定などを無料でやっています。

   
     たらちねクリニックで診察絵を受ける親子  

 避難解除地区の大熊町には 億円余の豪華な新庁舎が建設され、その周辺には職員や住民のための住宅が建設され、人が住んでいる様子はありませんでした。大熊町の避難解除地区は庁舎を中心に1㎞範囲とのこと。バスの中は放射線量計がピーピー鳴り続け、 〜 ミリSVと高い。小さい子どもを連れて帰還するなどは考えられないでしょう。福島県の被曝線量基準はこの10年間、年20ミリシーベルトのままであり、この基準を中心に帰還困難区域(年50ミリシーベルトを超える恐れあり)、避難解除区域(20ミリシーベルト以下が確実)に分かれています。(一般公衆の基準は年1ミリシーベルトです)。
 実は少なくなっている黒のフレコンバッグは大熊インターチェンジに建設された中間貯蔵施設に貯蔵され、灰にし、実験的に道路建設に使用されているとのこと。廃液などは川に流すとのこと。その際の放射能検査はしていないとのことです。処理センターのやっていることはすべて安全だといういうわけです。医療レントゲンなどで被曝するのと同じであり、検査は必要ないというわけです。まさに安全神話なのです。反省がありません。
 JR常磐線大野駅周辺は来年の開通に向けて、線路両脇の土手がきれいに刈り込まれ整備されていましたが、線量の高い中を電車が走ることになります。
  台風19号の大雨で福島県内の中小河川が氾濫し、住宅や田畑が大きな被害を受けました。特にいわき市の夏井川堤防崩壊による被害は大きかった。いわき市には原発事故後、避難し移住した人が多く、二重、三重の被災を受けたわけです。
 2日目は三春を出発し、飯館村を見学し、富岡町に建設された東電廃炉資料館を見学。原発事故の〝記録と記憶〟の上映があり、事故を防ぐことができなかったことを深く反省し、安全レベルを髙めていくと何度も宣言していました。東電刑事裁判の無罪判決とは全く逆の言い方で真の反省にはなっていないなと思ったものです。
 復興と称して各地に資料館をつくり、懸命に県民を説得しているつもりなのでしょう。放射能は恐くない。原発事故はなかったと言い続けています。
 原発再稼働がまた進められています。地震の国に、なおも原発を動かすのでしょうか。原発ゼロを目指して声を上げていくことを確認した2日間でした。

     
   駅前でシール投票をしました・・・・・・・・桜台九条の会 

   
           話が弾んでおもしろかったですよ  

 

映画「日本の青空」を見て想う                                  関口伊津子             
                  

石神井台九条の会主催の「日本の青空」上映会に参加した。2度と戦争はしない決意を憲法に込めた人々を描いたこの映画を観ている内に、子ども時代の体験が甦ってきた。
 太平洋戦争の末期、都市の国民学校の児童を農山村地域に移動させる学童疎開が始まった。我が家は私の下に弟妹3人がいるため、いずれにしても疎開しなければならず、縁故疎開をすることになり、昭和19年4月、埼玉県の上尾に母と子ども4人で疎開し、私は4年生の新学期に上尾小学校に編入した。
 戦禍は日増しに激しくなり、上尾は直接の被害は被らなかったけれども、昼夜を分かたず空襲があった。ある日、爆音を聞き、庭先で空を見上げるとB29が飛んでいる。高射砲が撃たれるが全く届かず、その内にB29の半分ぐらいの大きさの日本軍の飛行機がぐんぐん近付いて行き、そのまま体当たりをした。双方の飛行機が火を噴き、壊れた機体が太陽の光でキラキラ銀色に光りながらくるくる舞い落ちていく。B29の兵隊は落下傘をつけて機体から飛び出した。日本軍の兵士は落下傘なし。こんなことでがあってよいのかと子ども心に哀しく、その場にうずくまったことを覚えている。後日先生に引率されて人型の残る畑に行き、全員で黙祷を捧げたが、先生はその折一言の説明もなさらず「黙祷なさい」の一言だった。
 またある時、東京に残る父のところに書類を届ける必要が生じ、小4の私が上尾から田端へ1人で使いに出された。上尾から汽車で大宮へ、当時の省線(JR)に乗り換えて赤羽駅に来た時空襲になり、全員降ろされ地下道へ。外から聞こえてくる空襲警報のけたたましい音、ごうごういう飛行機の爆音が耳に入り、約1時間地下道の片隅にうずくまり心細い思いをしたことを鮮明に覚えている。
 夜の空襲は夜空を赤黒く、周りを煙のように焦がす。東京方面の赤く燃える夜空を見る度に東京に残る父や姉のことを案じ、不安に思ったものだった。ある時母が松の根掘りに駆り出された。松の根から油を取り、飛行機の燃料にすると聞かされて帰り、「松根油で飛行機が飛ぶはずがない、この戦争に勝てる筈がない」とぼそっと小声で言ったことも私は忘れない。農家の男性はほとんど徴兵されたため、我々小学生が草刈り、畝づくり、麦踏みと働いた。霜の降りた畑で裸足での麦踏みは足が凍って辛かった。勉学は二の次だった。
 こんな社会、国に、絶対に戻してはならないと強く思った。

 

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