94号 2020年12月発行

              ねりま九条の会 第17回 総会報告 
   
                                                                                   

 ねりま九条の会は12月13日ここねりホールで17回目の総会を開催しました。記念講演は永田浩三武蔵大学教授(ねりま九条の会世話人)でテーマは「これでいいのか菅政権とメディア~コロナ禍の言論・表現の自由」。
 引き続く総会では50名が参加され、9つの地域九条の会から、コロナ禍にもかかわらず活発に活動されたようすが報告されました。
 4月、5月を除いてほぼ毎週上映会などのイベントが組まれ、駅頭宣伝、署名は毎月約20か所で取り組まれました。また九条改憲反対緊急署名のねりま九条の会の合計は1828筆で、練馬全体の3分の2となりました。
 ねりま九条の会主催の10・22集会には408名が参加、松元ヒロさん、伊藤千尋さんの話に大爆笑しつつ学び、勇気をもらいました。
 今年は新しく谷原、高松、高野台、三原台九条の会が誕生、これで34ヵ所となり、練馬全体が網羅できたことになります。        

2021年度の活動方針
 
新型コロナウイルスは世界全体が助け合う必要性を教えてくれました。この異常気象、CO2排出規制は待ったなし、原発放射能被害は世界中と幾世代に及び、貧困格差は人類をも絶やす。今さえ、自分さえ、金さえという利潤追求の新自由主義の破綻も見えてきました。
 求められているのはすべての暴力をなくし、支え合うこと、地球環境を守ることです。それは憲法の示す理想・目的と一致します。
・そのためには地球規模で考え、足元から実践することです。昨年の目標は憲法の語り部を作ることでしたが、各九条の会の活発な取り組みで、達成できたと思います。
今年は憲法を生活に生かすために話し合い、地域から政治を変えるために「野党と市民の共闘」の実現を目指すとともに、宗教、労働組合などとの共同をすすめます。
・下から政治を変えるために、練馬区議会と練馬区政に、意見書の提出や、陳情・請願等の運動にも力を入れていきます。地方政治を変えることができずに国の政治を変えることはできないからです。
・各九条の会が注目しているのが、自衛隊がすでに米軍指揮下で外征軍化している問題と、日米地位協定の問題です。日米安保条約が日本の軍国化のテコになってきましたが、マスコミは報道せず、国民は安保条約で日本が守られていると誤解しています。九条改憲のおおもとを学び、知らせる運動も必要ではないかと考えます。
・また会員の拡大では、特に若者獲得のため、SNSの活用を図っていきます。
・色落ちしないしっかりした新しいポスターの制作を予定しています。どうぞみなさまの温かい賛同金をお願いいたします。



「ねりま九条の会」総会・永田浩三氏(武蔵大学教授)の記念講演─
これでいいのか 菅政権とメディア〜コロナ禍の言論・表現の自由  

   
        講演する永田浩三さん  


 12月13日、ココネリホールにおいて「ねりま九条の会」第17回総会が開催され、記念講演として永田浩三武蔵大学教授にお話しいただきました。
 永田さんはさまざまな問題を提示されましたが、紙面の関係でメディアへの政治圧力に絞って掲載させていただきます。

■「お前勘ぐれよ!」ーNHK「女性国際法廷」を巡る番組改憲事件 

2000年12月、九段会館で開催された女性国際戦犯法廷(正式名称は「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」を取り上げた番組が、当時官房副長官だった安倍晋三氏と中川昭一農林水産大臣(故人)の横やりで改ざんされた事件が起こりました。「横やりが入ったのは、NHK教育テレビで放送されたシリーズ「戦争をどう裁くか」の第2回「問われる戦時性暴力」です。編集長は私でした。
 番組直前にNHKの幹部が安倍晋三氏らと会談をし、その幹部が放送現場にやって来て発言をしたことで番組がすっかり変わってしまったのです。詳細は岩波の現代文庫に書きましたので、ご興味があればお読み下さい。
 当時NHKのナンバー3であった松尾武放送総局長に、安倍さんは「公平公正に」という言葉に続けて、「お前、勘ぐれよ」と言ったそうです。「勘ぐれ!」とは「察しろ!」「みなまで言わすな!」という意味ですよね。もし、勘ぐれてなかったとしたら憲法 条の2項に「検閲は、これはしてはならない」と書いてありますから、憲法違反のことをNHK幹部に求めたことになり、総理大臣にはなれなかったわけです。我々を含めて、そのことを世の中に広めるのが遅すぎたので、安倍さんは長い間総理大臣をやってしまったということです。

■国谷キャスターの降板と百地発言 
 
 私が長く編集長をしていた「クローズアップ現代」に、菅さんが安保法制の収録のためにスタジオにやって来ました。2014年です。国谷キャスターは「日本があらぬ戦争の巻き込まれてしまう危険性はないでしょうか?」と同じ質問を3回したのですが、菅さんは例の調子でのらりくらりとしているうちに時間ぎれになってしまい、菅官房長官に恥をかかせたということで国谷さんが謝ることになりました。その後、2016年の3月に、国谷さんのキャスター退陣となります。
 NHKは「クローズアップ現代プラス」という番組で、それらの問題をきちんと取り上げようとしたのです。ところが放送の前日に官邸から横やりが入り、NHKの幹部はそれを聞き入れて、百地章氏(当時国士舘大学大学院客員教授)を「クローズアップ現代」に登場させたのです。この人は安保法制の時に「安保法制は憲法上問題がない」と発言した憲法学者です。この人は「学術会議の任命問題と学問の自由はなんの関係もない。問題があるという方に問題がある」と言い放っています。スタッフはこんなことは全く念頭になかったと言っていました。この問題はもっと騒がれるべきだと思います。

■現在も続く政治圧力 

 この間「ニュースウオッチ9」というと番組で、いつもは腰砕けの有馬というキャスターが頑張って「国民は6人外しについて納得しない、もっとちゃんと説明したらどうですか」と2回同じ質問をしました。菅さんは困った顔をしていました。この生放送が終わった後、官邸の山田真喜子内閣広報官と官房副長官の坂井学氏が、「NHKは約束にない質問をした」と脅したのです。一字一句約束するなんておかしなことだし、キャスターは本来何を聞いてもいいはずです。(その後、「週刊文春」12月24日号には「菅官邸を怒らせたNHK有馬キャスターが降板?!」という記事が載っています)
 「ニュースウオッチ9」は、かんぽ生命の一連の不正契約について取り上げましたが、1回目の被害を伝える番組は ヵ月も放送が延期になりました。これも官邸の圧力によるものです。かんぽ生命の上級職員である鈴木安雄という元総務省の次官が、NHKに圧力をかけて放送させないということになったわけです。私の後輩たちが被った圧力なものですから、私は断じて許しがたいと思っているのです。
 菅さんは自分を「たたき上げ」と言っていますが、「脅し上げ」「つるし上げ」「しばき上げ」「カツアゲ」そんな人ですね。
 
■解任問題と学問の自由

 日本学術会議会員候補6人の任命拒否問題です。6人を排除したのは、杉田和博官房副長官、公安の内閣人事局長を兼務しています。人事部長でもあります。ついに文書が出てきました。「外すべき者」(副長官から)と手書きで書かれています。ブログに6人の名前が書いてあります。つまり積極的に外したということです。その理由は共謀罪や安保法制や秘密保護法などに反対をしていた学者だからということはほぼ確実だと思います。自民党は今、学術会議の有り様を巡って、ワーキンググループをつくって「いじめ」に入っていますが、わずか年間予10億円です。ちなみに、菅さんが使った官房機密費は毎年11億円、そのうちの9割は菅さんがそのまま自由に使えた金です。そういうわけのわからない「学術会議いじめ」は本当にむごいことだと思います。
 6人の中のお一人、歴史学者の加藤陽子さんは、美濃部達吉の天皇機関説を取り上げ、「こういう学者の弾圧が戦争を拡大していった」。また、「戦後新憲法を作ることになって、『憲法23条 学問の自由』は日本側から発案されたもので、金森徳治郎という憲法学者が特に頑張った」と書いています。

■歴史に学ばない政権

 菅さんは歴史に対して謙虚ではありません。歴史に対して不勉強であり続けていることを何も恥じていない。そういう人が沖縄の翁長知事と会見して、「戦後生まれの私に歴史のことなど持ち出さないでくださいよ」と言ったことに、私は本当に許しがたく、震えるような怒りを持っております。九条の会は、歴史についても、みなさんこだわっていただきたいと思います

 文責 小沼稜子(ねりま9条の会ニュース編集委員)

                                   

 

台湾と日本、コロナ対策の違いはどこに?
10・22 伊藤千尋さんの講演に想う
      

■国際ジャーリストの説明にうなづきながら・・・

 10月22日に開催されたねりま九条の会主催の「今日、そして明日を生きる」の集会で、安倍前首相と菅新首相らをなで斬りし、参加者の笑いを誘い、留飲を下げた松元ヒロの次に登壇した伊藤千尋さんは、プロジェクターで説明と写真を示しながら講演、取材で訪問した国は82か国という国際ジャーリストの説明に参加者はうなづきながら聴いていました。
 プロジェクターで映し出された画面は20に及びますが、ここでは、世界各国で新型コロナウィルスの感染者が再び爆発的に拡大しているなか12月15日現在でも累計感染者740人、死者7人と、感染の抑え込みに成功している台湾において、いち早くマスクマップアプリを開発して世界に名を知られた台湾のIT相・オードリー・タンの評伝『Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔』(文藝春秋)を引用しながら、書いてみたいと思います。

   
      プロジェクター画面より  

■「成功した国台湾」の大臣は専門家、副総統は公衆衛生の専門家、経済産業大臣は「マスク国家チ―ム」
 新型コロナが猛威を振るい始めたとき、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学は、中国の次に多くの患者を出す地域として台湾を挙げていました。その台湾がなぜ、新型コロナの悪夢から逃れることができたのか?『Au オードリー・タン』は、その経緯を詳細に伝えています。
 台湾の新型コロナに対する防疫戦争は、すでに2019年の大晦日、「武漢では今、新たな重症急性呼吸器症候群のクラスター感染が爆発的に増えているのではないか?」という情報をPTT(台湾最大の電子掲示板)から得た台湾の行政院衛生福利部(日本の厚労省に当たる)疫病管理署(CDC)の副署長で、感染症予防専門家でもある羅一釣は素早く行動を開始しました。
 PTTの掲示板には、武漢市健康衛生委員会が発したアラート、各病院から原因不明の肺炎患者に関する情報を呼びかけるお願い、新型コロナの警鐘を鳴らした中国人医師・李文亮が送ったメッ―セージがあり、そこには「7人の新型コロナウイルスの感染患者が隔離されている」と書かれていました。
 同様の情報を得ていた陳其邁は、大晦日の朝、羅一釣らCDCの幹部を招集、同日台湾政府はいち早く、武漢から台湾の空港に到着するすべての航空機について到着後の乗客の検疫を実施、台湾は世界で最も早く、新型コロナウイルスに対する防疫態勢を敷くことになりました。そして疫指揮センターも翌月1月20日に開設しました。
 このように、台湾政府が迅速に防疫態勢を敷くことができたのは、陳其邁、羅一釣ら専門家の報告を受けて動いたからです。この点、安部、菅政権のコロナ対策は独断、後手で、責任の所在も曖昧です。菅政権によって日本学術会議会員の任命を拒否された宇野重規東京大学教授は、こう指摘しています。
 「専門家の知見を活用できないのは、日本政治に一貫して見られる傾向である。専門家の声を聞かず、その分野の素人である政治家だけで重要な政策が決定し、都合のいいときだけ政策の正当化のために専門家が動員され、政治家は自らの責任を曖昧にする」

■2003年のSARS流行の苦い経験を生かして

  2002年、中国広東省から爆発的に流行したSARSコロナウイルスによって台湾は、翌年3月から7月まで、346人が感染、73人の死者が出ました。マスクが買い占められ、病室で首つり自殺をした患者もいました。
 台湾政府はSARSの苦い経験から、完全な防疫システムを構築することに多大の努力を重ねました。立法府(国会)による「伝染病予防法」の修正によって防疫指揮センター(NHCC)が最高ランクの防疫総部に位置付けられ、そうした政府機関に医療の専門家が入って仕事をするようになりました。医療資源も普段から十分を蓄えられ(例えば4400枚のマスク)、病院も 日分の医療資源を蓄積するまでになりました。

■オードリー・タンとは何者?
 最後にオードリー・タンの人物像について簡単に触れておきます。評伝の「はじめに」は、以下のように紹介しています。
 台湾で新型コロナウイルス対策の陣頭指揮を執り、マスクマップアプリの効果で話題の人となった唐鳳(タン・フオン オードリー・タン)は2016年、弱冠35歳でIT大臣に就任、IQは180、学歴は中卒、小校1年生のときに9元1次方程式を解く。ハッカーのDNAを持ち、シビックハッカー(政府がインターネットなどに公開したデータを活用し、市民が利用しやすいアプリやサービスを開発する人)を自任し、トランスジェンダーであることを率直に表明しているという人物です。
 こういう特異な人物にIT大臣という要職を任せる台湾は、彼女に何を期待したかというと、その一つが「オープンガバメント」の開設という任務です。これは人々がオンラインプラットホーム、インターネットの中でも、特にWeb上で展開されるサービスで政府に請願でき、政府の若い公務員にもボトムアップの革新的な提案をする機会を与えるというシステムです。
 ここまで書けば、「コロナ禍をうまく乗り切った国 か国ランキング(ニッセイ基礎研究所)で台湾が得点」170点で第1位になったことも、うなづけます。一方、日本の126点、第4位というのは合点がいきませんが、これは 月中旬現在のランキング、評価は新型コロナの累積感染者数・拡大率・致死率、それに失われたGDPの経済被害が対象ですから、感染者数が急増している日本のランキングは、これからかなり下がるでしょう。今後、似たような調査がシンクタンクなどで行われるでしょうが、こういった調査にも注目していきたいと思います。

 

WAM(女たちの戦争と平和資料館)見学記

 

   
     エントランスに展示された元慰安婦の写真  


  戦時性暴力の被害と加害を記録し、 学び、語り合い、 行動を起こしていく、記憶と活動の拠点。西早稲田にある、2005年8月にオープンした WAM(アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」)特別展「朝鮮人『慰安婦』の声を聞く〜日本の植民地支配責任を果たすために」を11月15日に仲間8名と見に行きました。WAMのエントランスには、公開証言をした日本軍から受けた性暴力の被害者、10数カ国179人の女性たちの顔写真と言葉が入館者を迎えます。その9割に小さな花がつけられ、死亡した人をあらわしていました。現在の生存者は1割です。
 元朝日新聞記者で、女性活動家だった松井やよりさんが「日本軍性奴隷制を裁く2000年女性国際戦犯法廷」を提案した民衆法廷は、昭和天皇をはじめとして、軍高官 名を有罪としました。
 WAMは故松井やよりさんの遺志を受け継ぎつくられました。
 性暴力の残酷さ、加害者は圧倒的な力関係を背景に、被害者に沈黙を強いていますが、多くの日本人にはこの加害者を裁くことに対する認識の弱さがあります。
 被害者には正義の権利があります。過去の不法行為を認めてこなかった戦後75年の日本。戦争責任 ・植民地支配責任に向き合わず、差別を日本社会に温存するシステムを容認、歓迎しているのは、日本に住むひとり一人です。
 『慰安婦』の存在を否定する人々に、また戦争への道を歩む人々にも見て欲しい場所です。
 初代館長の西野瑠美子さんとは、お互い西東京市(旧保谷市)に住んでいたとき、韓国から来た3人の報道関係者と、千葉県館山市の、元『慰安婦』の人々が住んでいる「かにた村」を尋ねました。40年前頃です。 大田 芳夫(上石神井九条の会会員)

関町立野町九条の会 第13回憲法カフェ

     「近代日本の『家制度』をめぐって」(お話 川村善二郎さん)に参加して

10月18 日、関町北地区区民館において、新型コロナウイルス対策のために参加者を定員の半分にして、という制約の下での講演会(カフェ)の実施でした。
川村さんは御年92歳(1928年生まれ、戦争時旧制中学生)1951年大学卒業後、三省堂の高校の歴史教科書編纂で近代を担当されたり、その後部落問題を中心にフィールドワークなどもされ、東京多摩地域を中心に公民館などで歴史や人権講座の講師、大学で歴史や社会教育などの講師などをされてきた方で、私たちの会にも時々参加されていました。
 川村さんの義父にあたる植木徹之助さんが、部落差別と戦争に反対した生き方をされていたことを知り、前回6月のカフェで、講師をしていただきました。徹之助さんはクリスチャンから、浄土真宗も平等を訴えているというのでその住職になられ、その地域で被差別部落の実態に触れ「人間みな平等」の信念で、部落差別反対、そして大陸に出征する地元の青年を見送る時に、「中国人を殺すな、自分も生きて帰ってこい」と送り出していたために治安維持法で逮捕されたが、あの時代にその信念を貫かれたという生き方を学びました。
 今回はコロナ禍での特別給付金の支給が「世帯主」に振り込まれるということから、未だに戦前の家単位の制度が尾を引いている、戦前はどうだったのだろうかと、また川村さんに講師をお願いして実施しました。
 内容は、明治維新以後、日本が急ピッチで欧米列強に追いつき、富国強兵の国家体制を作るために、江戸時代の武家の家族制度の形態「家父長制」を利用し、日本という天皇を父とする「国家」と臣民の「家制度」を作り上げていったこと、それが庶民にどんな影響を及ぼしていったのか、ということを整理されたレジュメと資料で、史実に則して、分かりやすく教えていただきました。
 「近代」とは、封建的身分体制から、民主主義=立憲の政体と、資本主義=商品、資本と賃労働経済、基本的人権=自由と平等が基になることであるが、フランス革命が1789年、明治維新が1868年、日本は近代国家への出発が実に76年の遅れだった。
 そのために明治という時代になされた政治経済社会の諸改革と共に、それらが庶民との間でどんな軋轢を生んでいったのか、また大日本帝国憲法や教育勅語(1948年6月19日に衆参両院で失効が確認決議されている!)、といった旧民法を引用され、国と家庭の「家父長制」とはどんな制度だったのかを、とても分かりやすく教えて頂きました。
 大日本帝国憲法は、本来権力を縛るはずの憲法が、第3条では「天皇は神聖にして侵すべからず」の存在とし、第5条では「天皇は帝国議会の協賛を以て立法権を行う」としている。基本的人権も第2章の臣民権利義務では、例えば第29条「日本臣民は法律の範囲内に於いて、言論著作印行集会結社の自由を有す」とあり、最初から法律でいくらでも制限を加えられる権利しか認めていないものでした。
 戦前の「社会の外見上の近代化と非近代的なものの残存」から、未だに尾を引いているものが、例えば戦前は家庭では妻子は全くの無権利状態で戸主が全てを決めていた。これは現在も夫の所有物としてみるために、妻や子供への虐待として尾を引いているのではないかと思われました。(ちなみに現行法では「世帯主」というものの根拠はどこにも存在していません)
 また戦前の女性たちの紹介と母性保護論争(1918年)や婦人参政権運動(1919年新婦人協会の結成)にも触れられて、とても参考になりました。
 歴史をきちんと知るということは、今私たちが今生きている社会をあらためて見直すことになると思いました。川辺 寛美(関町立野町九条の会会員)

 

核兵器禁止条約の批准国が条約発効に必要な50カ国に到達、
     2021年1月22日に発効されます!

 これによって「核廃絶が、国連にとって軍縮問題の最優先事項となる」と国連事務総長は述べていますが、唯一の戦争被爆国である日本やアメリカ、ロシア、フランスイギリス、戦争中国等の核保有国も署名をしていません。地球上から核兵器をなくすための運動と、日本の批准を求める運動を今後も続けていきましょう。

日本の批准を求める新しい署名活動が始まりました!ねりま九条の会からも、署名への協力をお願いします。


「女だから低賃金でいい!」を変えませんか!

日本は1985年に「女性差別撤廃条約」を批准し、それを受けて1986年に「男女雇用機会均等法」が施行され、「働き方改革」では「同一労働同一賃金」というかけ声も出ています。にもかかわらず、女性の二人に一人は非正規雇用で、賃金は正規雇用の半分です。コロナが始まって、雇い止めにされる女性たちも続出しています。
 ごく最近、非正規社員への最高裁の判決が出て、一人はボーナスゼロ、もう一人は退職金ゼロの判決でした。退職金がないのに税金や健康保険料が請求され、仕事を探してもこの時代だから見つからないで窮地に追い込まれたと原告の女性は言っていました。今こんな女性たちが増え、女性の自殺が増えています。それが政府の言う「自己責任」なのでしょうか。「自己責任」というのは政治の責任放棄にほかありません。
 2019年12月に世界経済フォーラムが発表した、世界各国の男女平等の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」は、日本は153カ国のうち121位でした。
 日本はいつからこんな国になってしまったのでしょうか。
 でも、不平等を変える一つの方法として、女性差別撤廃条約の「選択議定書」を批准する道があるのです。「選択議定書」を批准すると、差別を受けた人が直接国連の女性差別撤廃委員会に訴えることができるのです。これを「個人通報制度」といいますが、委員会は実際に40カ国の女性から155件の個人通報を受け付け、そのうち32件で国の条約違反を認定しています。(2020年28日現在ジェンダーに基ずく暴力17件健康の権利5件、雇用と社会保障に関する権利5件、市民的・政治的権利5件)
「個人通報制度」は、差別の是正を求めて提訴して闘い続けても敗訴した場合という条件はありますが、非正社員裁判を見る限り、日本にぴったりの条件ということができませんか?
 しかし、日本は、女性差別撤廃条約は批准しているものの、「選択議定書」は批准していません。みんなの力で批准させ、男だから、女だからという呪縛から解放されて、一人の人間として、尊厳の持てる生き方ができる社会にしたいものです。女性が解放されれば男性だって解放されるのですから。
 小沼稜子(ねりま24条の会/ねりま九条の会 会員)

 

本の紹介  『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』
      (汐文社 くさばよしみ編 中川 学絵)  

 

                               

 「2012年、ブラジルのリオデジャネイロで国際会議が開かれました。環境が悪化した地球の未来について、話し合うためでした。世界中から集まった各国の代表者は順番に意見を述べていきました。しかし、これといった名案は出てません。そんな会議も終わりに近づき、南米の国ウルグアイの番が来ました。
 演説の壇上に立ったムヒカ大統領。質素な背広にネクタイなしのシャツ姿です。そう、彼は世界でいちばん貧しい大統領なのです。給料の大半を貧しい人のために寄付し、大統領の公邸には住まず、町からはなれた農場で奥さんとくらしています。
 『わたしたちが挑戦しなくてはならない壁はとてつもなく大きなものです。目の前にある危機は地球環境の危機ではなく、わたしたちの生き方の危機です。社会が発展することが、幸福をそこなうものであってはなりません』とスピーチして世界中に大きな感銘を与えました」(本文より)
 ホセ・ムヒカさんは1935年5月生まれで、2010年から2014年までウルグアイ大統領を務めました。軍部独裁政権と戦い13年間の獄中生活をおくります。牢獄では科学系の本しか許されず、生物学、農学、医学、獣医学、人類学の本を沢山読み、「人間とは何か」を問い続ける生活をすごしました。そのことが政治家としての生きかたに大きな影響を与えたのです。
 本当の豊かさを知っている小国ウルグアイは2017年、いちはやく核兵器禁止条約を批准しました。(桜台9条の会 会員)

 

 

 

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