40号 2012年6月発行

〈1面〉

原爆と原発は「同根」─真木実彦さんのお話に想うこと  

                             ねりま九条の会世話人 比嘉 高 

 四月三十日、大泉勤労福祉会館で行われた真木実彦氏(福島県九条の会事務局長・福島大学名誉教授、そして大泉高校の私の二年先輩)の講演を聴いて、強いインパクトを受けました。氏の静かな淡々とした気負いのない「福島からの訴え」には、感銘を受けたことは多々ありますが、ここでは「原爆と原発は同根」について、私の感じたことを述べます。
①原爆と原発は同根
 原爆と原発は同じ放射性物質からの生成物であるという点で物理学的に同根であることは言うまでもないが、我が国に於いては、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルを保持するために始まった点で、原爆と原発は政治的に同根となった。 そのことは核不拡散条約の批准(核兵器を作らないことを約束する)が難航しただけでなく、批准に際し、外交政策の基本大綱でも明示されていることでも裏付けられています。また原発事故後においてすら、自民党の政調会長は、原発を持っていることが原爆を持てるという抑止力だから原発は止められないと言っていることからも「同根」は明白です。
②原発を推進しようとする人々と、戦争ができるようにしたい人は同根。原発を推進するやり方と、戦争を進めるやり方が同根。電力確保のためには人間が死んでも仕方ないという考え方は、戦争で国民が死んでも仕方ないという考え方と同根。これだけひどい結果を目のあたりにしながら、それでもまた原発をやるという懲りない奴らは、それでもまた戦争をやろうという懲りない人々と同根。
 原子力ムラと言われますが、それを形成している政・財・官・学・マスコミの五角形(ペンタゴン)は、戦争への道筋でも、憲法改悪の工程表でも、強固な隊列を組んで来ています。太平洋戦争は、そのため反戦の砦は蹂躙(じゅうりん)されました。しかし、戦前と戦後との違うところは「市民」が強くなっていること、全国の九条の会が厳然と活動していることです。最後に語呂合わせですが、「同根」の五角形(ペンタゴン)は太平洋の向うの大陸にあるペンタゴンと同根かもしれませんね。
         
     

〈2面〜3面〉


日本国憲法 今も世界の最先端、しかし…
「改正」より、憲法を生かす道を!

 5月3日朝日新聞は、アメリカの学者が188カ国の憲法を調査し、最も先進的な憲法は日本国憲法であり、もっとも長い歴史を持つ。最も時代遅れはアメリカの憲法だと述べている。19項目の国民の権利すべてを備え、その9条のおかげで65年間戦争もなく経済繁栄を成し遂げてきた、だから日本国民は改正の必要性を感じていないのではないかとも言っている。ところが政権が変わっても憲法を踏みにじる動きが強まっている。武器輸出3原則の緩和、集団的自衛権行使にあたる共同軍事訓練、自衛隊が海外に基地建設・進出、これでは9条を変えないままに事実上戦争する国になってしまいそう。さらに自民党その他が改憲案を発表、震災を口実に非常事態条項、天皇の元首化、国防軍の設置その他を主張し始めた。参院の憲法審査会では「今の憲法はアメリカの押し付けだから無効、前の憲法が有効」と言い放つ議員もいる。             

     ■世界の筆法にうたわれている醸利ランキング
   順位 権利の種類 日本 米国 1946年 1976年 2006年  
1 信教の自由 81% 0% 97%
2 報適・表現の
自由
87 86 97
3 平等の保障 71 88 97
4 私有財産権 81 83 97
5 プライバシー権 83 81 95
6 不当逮掃・拘
束の禁止
76 79 94
7 集会の権利 73 75 94
8 団結権 × 72 77 93
9 女性の確利 × 35 70 91
10 移動の自由 × 50 58 88
11 裁判を受ける
権利
68 62 86
12 拷問の禁止 37 45 84
13 投票権 63 69 84
14 労働権 × 55 67 82
15 教育の権利 × 65 65 82
16 違憲立法審査権 × 25 51 82
17 遡及(そきゅう)
処罰の禁止
41 60 80
18 身体的権利 × 44 57 79
19 生活権 33 41 78
20 推定無罪 × × 8 37 74
 
60 武装する権利 × 10 4 2
 

 

しかし、…

■報道・表現の自由について  マスコミは政府の広報機関ではないはず! 

「25条を中心に震災復興に憲法を生かせ」「自民党改憲案は前文から〝全世界の国民が平和のうちに生存する権利〟を削除」また、「安保が県民を脅かし、憲法逸脱の動きを加速」などと政権への鋭い批判を示すのは地方紙だけ。
全国紙は、読売「国防軍創設、集団的自衛権が鍵」、産経「今のままでは尖閣守れぬ」、日経「改憲論議進めよ」 朝日、毎日は9条論議避ける姿勢。全国紙の凋落ぶりに怒りを感じる。(JCJ 5月号より抜粋)
…「同感」ですね。

■女性の権利 女は我慢しろ?

  憲法24条は個人の尊厳と男女の本質的平等を定めていますが、女性は今でも、年金や税制などの面で、一人の独立した個人ではなく、夫に依存した存在であると位置づけられ、安価な労働力として扱われています。
 にもかかわらず自民党改正案では、24条が「行き過ぎた個人主義の風潮を生む」という理由をあげて「個人より家族・家庭や共同体が大切」であるとしています。
 「個人主義」を「利己主義」と故意にすり替えるのは、家制度を復活させるためでしょうか?
  それとも生活保護の受給者を減らすためでしょうか?

■生活権 無視され続けた生活権

  男性の3人に1人、女性の2人に1人が非正規雇用。賃金は平均月に10~15万円、しかも家賃の平均は7万から10万という状況の中で 生きる若者たち。何よりも自殺者が毎年3万人を超える現実からは憲法が保障する「健康で文化的な生活」とはほど遠い現実が浮かび上がります。「改憲より憲法を生かした政治をしろ!」と言いたいですね。

 

■新たな訴訟「個人責任の追及」

  3・11以降、河合さんは、日本全土の弁護士に呼びかけ、集結した130人で、新たな原発差し止め訴訟を全国規模で起こしている。河合さんが考え出したユニークな訴訟は、東電の経営者への個人責任の追求である。河合さんは「全てを組織のせいにして、自分では責任を取らない匿名社会を変えなければ日本はよくならない」として、株主代表訴訟という手法を用いて、経営者への賠償責任を追及する裁判を起こしている。請求額は全部で5兆5045億円。この数字は政府がつくった経営財務調査委員会が、東電の2年分の損害として示した数字だが、これを経営者個人に送付。これから再稼働しようという電力会社の経営者にも送付して、事故が起こればこのような賠償責任を個人として問われることを伝えている。
彼らの多くは、年額7700万円にものぼる、とんでもない高給を取り、今でも社員でありつづけているのである。
 もう一つ、いい加減な運営をして来たことに対する個人の刑事責任を追及するために、関係者の告訴運動を始めている。


■教育の権利 教育を受ける権利が危ない

 貧困が広く日本社会をおおっていることで高等学校や大学への進学の道が閉ざされている人が多く、また「君が代」や日の丸の強制で思想の 自由を奪われて苦しんでいる教師たち は、子どもが主権者として豊かに育つような教育に専念できる状況にはなっていません。結局子どもや若者の教育を受ける権利は危うくなっているのです。

                          
■集会の権利

 「表現の自由や集会の権利」は 憲法21条で保障されてきました。しかし、自民党の改正案では公益=国益(権力の側の利益)に反すると判断された集会は認めないと言っているのです。
 これではまるで戦前と同じですね。


■武装する権利 九条2項を廃止

 武装する権利ははアメリカにはありますが日本にはありません。「戦争はしません」という憲法九条を持っているからですが、にもかかわらず自衛隊を持ち、「戦争関連法案」を持ち、海外派兵もしてきた日本。
 しかし、まだ戦争行為によって人は殺していないのがせめてもの救いですが、改憲案には九条2項「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」がありません。
 代わりに「天皇元首」や「国防軍の創設」「総理大臣への権力の集中」などを盛り込むとは…!
 どうしても戦争のできる国にしたいようです。
         

「憲法をめぐる攻防」今年が山場に?     

自民党の憲法改正草案(抜粋)

【前文】日本国は国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家。国民は国と郷土を誇りと気概を持って守り、基本的人権を尊重し和を尊び、家族や社会全体が助け合って国家を形成する。
【天皇】天皇は日本国の元首。
【国旗及び国歌】国旗は日章旗、国歌は君が代とする。国民は国旗及び国歌を尊重しなければならない。
【国防軍】内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
【国民の義務】国防の義務、環境保全の義務、投票の義務などを、国民の責務として規定する。
【表現の自由】公益、公の秩序を害することを目的とした活動を行い、結社をすることば認められない。
【家族・家庭や共同体の尊重】家族は互いに助け合わなければならない。
【緊急事態の宣言・効果】内閣総理大臣は外部からの武力攻撃、内乱などの社会秩序の混乱、大規模な自然災害その他の緊急事態において、緊急事態の宣言を発することができる。何人も国民の生命、身体、財産を守るために発せられる国、公の機関の指示に従わなければならない。
【改正】衆参両院の総議員の過半数の賛成で国会が議決する。承認には国民投票で有効投票の過半
数の賛成を必要とする。
【憲法尊重擁護義務】全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。

 

これじゃ明治憲法ね!

【天皇】「日本国民は 天皇の赤子としてお国をのために生きよ!(死ね!)」ですか!

【憲法尊重擁護義務】 憲法は国家の独断専横から国民を守るためにあるんですよ!

 

4面 

            お知らせなど

 ◆2012年イマジンコンサート 
     日時 6月23日(土)

 練馬のイマジン平和コンサートも3回目を迎えました。今回は、長い期間をかけて皆で話し合い、進めてきました。3回目の出演というベテラングループも、初めて参加するグループも、思いを重ねて良いコンサートを作ろうと頑張ってきました。
 イマジンコンサートが行われる6月23日は沖縄戦慰霊の日です。沖縄の方々の思い、そして、広島、長崎の方々の思い、その悲しみをまた繰り返してしまう事になっている、福島の方々、東北の方々、そんなみんなの思いを「うた」の力で伝えていけたら、と思っています。是非この日に短時間でも良いので江古田に足を運んで下さい。みんなで歌いましょう。声も心も重ねあい、平和への願いを伝えていきましょう。
皆さんのお顔を見るのを楽しみにしております。。

昼の部 14:00開場 14:30分開演   夜の部 17:00開場 17:30分開演

練馬区豊玉北1−12−3都営大江戸線 新江古田駅 4分チケット 500円

主催イマジン平和コンサート実行委員会  ねりま九条の会問い合わせ先 
03〔3594〕1626 遠藤  03〔5398〕0688 小関

会場 聖書キリスト教会 

 

 ◆「憲法を日本のチカラに!」 東京九条の会 大交流会 7月1日
全体会10:00開会   音楽 制服向上委員会 講演 渡辺 治さん 憲法を日本のチカラに  
分散会・分科会 13:00〜16:00 

資料代 1000円  場所 正則高等学校 

 ◆ねりま九条の会9周年のつどい
トーク  ジェームス三木「憲法と私」
 うた 「ダッ!ダッ!脱原発の歌」をうたう注目の
    アイドルグループ
   日時 9月28日(金)18:00~
    会場 練馬文化センター大ホール
入場料 1000円 中・高・大学生500円 子ども無料

◆映画「24の瞳」鑑賞と懇談の集い

日時 4月24日(日)午後1時〜6時
会場 石神井台みどり集会所 1階集会室
お話 本庄慧一郎「戦時下の言論統制と反戦映画」

◆ 川柳     川柳  加藤 冬柳

国連の 第一条は 平和だろ
復興は 日々の暮らしの 助けから
野田言うに 自民と同じと 国会で

 

◆ 本の紹介   坂本 修 著 比例定数削減か民意の反映か  ─明日のための今日の選択─
(信協出版社) 定価350円
比例部分が80議席削減されたら、民主・自民が92 %を獲得、残りの8%を公明・共産・社民などで分け合うことになり、民意は抹殺されてしまいます。
 しかし、今の選挙制度でも、共産党と社民党の得票率を合わせれば55議席であるはずなのに、実際には16議席しかないという歪んだしかけになっており、民意が反映されない政治が行われてきました。坂本さんは、「〝比例定数削減反対〟だけではなく、
〝小選挙区制〟にも目を向けて、抜本的に選挙制度を改革するための運動が必要」と熱く訴えます。


◆ 郵便振替用紙一本化のおしらせ

ねりま9条の会では、従来青色用紙(手数料払い込み人負担)と赤色用紙(手数料受け取り負担)の2種類の郵便振替用紙によってご送金をお願いしてきましたが、このたび赤色振り替え用紙に一本化することにいたしました。とりあえず用紙を3枚同封いたしますので、必要に応じてご使用ください。
追加請求される場合は下記にご連絡ください。
   176-0021 練馬区貫井3-12-1-1108 比嘉 高(練馬九条の会 会計) 電話&fax 03-5241-2277

◆ リレートークにご参加を!  

6月23日(土)   10:00~12:00 江古田駅南口 (沖縄戦慰霊の日 安保条約記念日)
8月9日(木)   17:30〜19:30 練馬駅  (ナガサキ原爆記念日)
8月15日(水)  17:30〜19:30 練馬駅 (終戦の日)     

 

◆ ねりま九条の会2000人ポスター制作にご協力下さい!

 賛同者が3月で700人となりました、まだの方は1日も早く、終わった方は何卒増やしていただきたくお願いします。500円です、別紙振り替え用紙で会費と一緒でもかまいません。ご連絡は03-3921-8023大柳武彦まで

       申込先 小岩昌子 TEL・FAX03−3992−1732
           郵便振替番号 00170-8-426744 練馬9条の会 
       ※通信欄に練馬9条の会2000人アピールポスター賛同金 必要ポスター枚数をお書き下さい