101 号 2022年2月発行

 

世界は公正な社会へ向かい日本は不公平で危ない社会に
                  
伊藤 千尋(ジャーナリスト)
 
 

  2022年となりましたが、コロナ禍が続き閉じこもりがちなだけに周囲が見えにくくなっています。世界と日本はいま、どのような状況になっているのでしょうか。日本を見るとおかしな犯罪が増えて社会は殺伐とし、政治は国民の期待とますますかけはなれています。世界も大国の身勝手な行動で危険な要素が満ちていますが、それでも社会は公平で公正な仕組みになるよう前進しています。


■チリの大統領選挙が示した世界のトレンド
 年末の世界で象徴的だったのは、南米チリの大統領選挙です。格差拡大の新自由主義から転換し、「市民が政権の主人公。財布の大きさに関係なく尊厳が守られるチリにしよう」と格差是正と人権重視を訴えた左派のボリッチ氏が当選しました。わずか35歳です。
 若さだけではありません。異例づくめな政治家です。チリ南端の町プンタアレナスの出身で、この街に多い東欧クロアチアからの移民の子孫です。学生運動家だったときに立候補して国会議員になり、学歴は大学中退。働いた経験がありません。結婚もしていません。
 そんな彼が当選した大きな理由は女性の支持でした。ボリッチ氏はコロナで多くの女性が職を失ったことに対し、50万人の女性の雇用を創り出すと宣言したのです。対立候補の保守派は逆に女性省を廃止すると言いました。これで女性活動家たちが奮い立ちました。
 そこで展開したのが粘り強い対話です。ボリッチ氏の陣営は「100万軒対話作戦」を実行しました。有権者の家を戸別訪問して支持を訴えたのです。保守系の候補との決選投票が決まってから10 日の間に、数千人のボランティアの選挙運動員が全国の世帯の2割にあたる126万軒を回ったと言います。
 こうしたことは日本の公職選挙法ではできません。日本の公選法は世界でも稀なほど非民主的です。国連の国際人権規約委員会は日本に対してたびたび、公選法の見直しを迫ってきました。戸別訪問の禁止や選挙運動文書の制限、異常に短い選挙期間など、選挙にこれほど規制をしている先進国はほかにありません。変えるべきです。
 とはいえ今すぐに選挙制度は変えられない。この夏の参議院選挙もたった2週間程度の選挙運動で大それた変化は望めないでしょう。今からコツコツと活動することが結果を左右します。チリに見習いましょう。
 もう一つが格差是正です。チリは1970年に選挙で社会主義者のアジェンデが大統領に就任しましたが、3年後に軍部がクーデターを起こして軍事独裁政権を始めました。そのさい世界に先駆けて採用したのが経済の新自由主義です。極端な社会格差を生むアメリカ生まれの発想です。米レーガン政権や英サッチャー政権が進め、世界に広がりました。
 これに対してチリ国民は今回、「ノー」を突き付けたのです。ほんの一部が大金持ちになり大多数の国民は生活していくのがやっと、という社会はおかしいという声です。

■女性の社会進出
 女性の社会参加の機会を増やし、新自由主義に象徴される社会格差を是正すること。チリで見られたこの二つが、実は今の世界のトレンドです。
 同じく年末、アイルランドのサッカー協会が代表戦の選手の出場給で、男子と女子のチームに同一賃金を支払うことを決定しました。女子選手に払う賃金を上げる分は男子チームの給料を減らして充てます。男子チームも減額に合意しました。
 アイルランドだけではなくイングランドやブラジル、オーストラリア、ノルウェー、ニュージーランドなどの国々も、すでに代表戦の試合給は男女同額にすると決めています。
 男女別の賃金格差を禁止する、という法律が最初に施行されたのは2017年の北欧アイスランドでした。民間、公務員によらず、 人以上の従業員がいる組織では男女同一賃金が支払われています。違反すれば1日につき約5万の罰金をとられます。
 アイスランドは2016年に41 歳の女性首相が誕生しました。2022年、つまり今年までに男女間の賃金格差を完全になくすことを目標に掲げています。この国では国会議員のほぼ半数が女性です。
 社会格差は、コロナ禍で広がりました。多くの人々が収入を大きく減らした一方で、大儲けしたほんの少数の人々がいます。
 中でも自宅でパソコンに向かって仕事をする必要が急増したため、IT関連の企業は黙っていても膨大な収入が入りました。米国のIT関連の巨大グローバル企業を一口に「GAFA(ガーファ)」と言います。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社の頭文字をとったものです。
 アマゾン創業者のベゾス氏の資産は4か月で9倍の24兆円になりました。
コロナで宅配が急増したためです。その一方でアマゾンの労働者は低賃金で組合もなく、竜巻の中でも現地に届けるよう命じられるなど、あまりに非人間的な扱いが問題になりました。英国のNGOオックスファムはこの1月、「世界の富豪トップ10人の資産はコロナの2年間で2倍以上、80兆円から172兆円になった」と報告しています。
 アメリカに次いで格差社会となったのが中国です。世界不平等研究所が出す「世界不平等レポート2022」によると、中国では上位10%の富裕層が総資産の70%を占め、なかでも上位1%が30%を握っています。これで共産主義の国というのですから、はて?
■日本はいま
 日本も役員報酬1億円以上が544人(2021年7月、東京商工リサーチ調べ)います。そのうち上位 人に日本人は3人だけ。外国人が日本の企業のトップで大金を得て、本来なら日本人の従業員に入るカネを奪っているのです。1位のソフトバンクの取締役の役員報酬は18億円ですよ。一方で労働者は低賃金で、正社員でなく非正規といういつでもクビを切られる弱い立場に置かれた人がたくさんいます。
 こんな不平等がはびこると、必然的に犯罪を招きます。誰でもいいから無差別に殺して死刑になりたいという犯罪が頻発しています。コロナで困窮し、社会の仕組みを考える発想もなく、むやみに暴力をふるう。抗議するなら不平等を作った政治にすべきですが、そこまで考えが及ばず身近にいる善良な市民を襲うのです。不平等をなくす具体的な手を一刻も早く打つべきです。
 先の衆議院選挙で当選した女性議員は、議員の1割にも満たない数でした。日本の「女性の地位」は世界で120位です。恥ずかしいではありませんか。いまだに就職の際に女性の採用にハードルを設け、賃金も女性は男性より数割低い。それを恥ずかしいと思わない政治が支持されているって、この国は江戸時代でしょうか?
 僕は年末に沖縄を、年初には鹿児島県の種子島を訪れ、中国を敵と想定した自衛隊の基地が南西諸島でにわかに造られている現場を見てきました。こんなことをすれば中国をさらに刺激して軍拡に走らせるだけです。日本がすべきはアメリカの手下となって、その最前線で戦って死ぬことではありません。両者の間に入って和解を仲介すべきです。それこそ憲法9条を活かすことです。
 立憲民主党が連合に恫喝されてオタオタしている今のままでは、参議院選挙で野党は大きく議席を減らすでしょう。今年、下手をすると憲法は改悪されてしまいます。今こそ私たちが動くべき時です。日本の今後は、私たちのこの半年の行動で決まるでしょう。



安練馬区長選は市民と野党の統一候補、吉田健一さんを支持します     
            

 練馬区長選挙が4月17日に行われます。
 現職の前川燿雄区長( 歳)に対して、 歳の新人吉田健一氏が挑む選挙となります。吉田健一氏は練馬区議会野党各会派の支援とともに、区民党として市民団体や、一部保守層の支援も得て戦います。ようやく実現した市民と野党の共同候補、絶好のチャンスです。選対本部長は山岸一生衆議院議員、。総選挙の勢いに次いで勝利を目指します。ねりま九条の会は吉田健一さんを支持することを決定しました。

■国や都しか見えない前川区政
 政治は足元から変える。ねりま九条の会は区議会開会に合わせて、区議会陳情と区長要請を行ってきましたが、議会では審議もされず廃案にされてきました。練馬区長からは、今回の敵基地攻撃能力保有反対、核兵器禁止条約批准を求める国への意見書について、「高度の政治判断が高度の政治判断が必要だが、その立場にない。 区議会の審議を注視する」としか回答しませんでした。
  こんな区長を押すわけにはいきません。

■吉田さんの憲法九条と区行政についての考え方
 吉田健一氏は、1月の九条の会練馬連絡会で、憲法九条について問われ、「学生時代弁護士を目指し、憲法を学んだ、戦争を知らない平和ボケと言われるが、民族、宗教、資源をめぐり戦争が絶えないのは、九条という歯止めがないからだ。九条が世界に広がればよいが、日本の九条がなくなれば広げようがなくなる」と九条の必要性を強調しました。
 また「国が悪政を地方自治体に押し付けてくるがどうするか」との質問に、「法の抜け穴をギリギリのところで研究し対処する、民間で鍛えられた」。「少数与党で苦労する」との問いに「時間をかけて説得する。自民党とも合意を形成する、上手くやっていく自信はある」と答えました。
 話を聞いたKさんは、「今の区長は東京都の天下り、特権意識で人を見下す、練馬区を馬鹿にして、少数会派の議員の質問にも立とうとせず、職員も差別する、区民とは会おうともしない。独善的なトップダウン行政。練馬区長として4年間で4千万円の退職金とボーナスをもらい、区民とは大変なギャップ。それに引きかえ吉田さんは、それを基金にして奨学金として使う暖かい人だ、政策は区民との対話で作り上げる。特に女性の声を反映するという謙虚な人だ」と高い評価をしていました。

■さまざまな課題を争点に!
 練馬区は9百億円の基金を蓄え、別枠財源を保有しているにもかかわらず65歳以上の高齢者に支給してきた「いきいき健康券」を75歳以上に引き上げる。高齢者のおむつ補助金を非課税世帯に限定する。障碍者のグループホーム補助を1万4000円から2000円に下げる。谷原保育園を廃園にして、保育園を完全民営化の方向に。また、練馬区の自殺率は高く貧困が大きな原因ですが、貧困対策は何もしていません。
 他方、練馬は文化的に遅れているからと、都市計画道路を作り、サンライフ練馬を壊して巨額をかけて美術館を全面改築し、国や東京都の美術館並にする。石神井駅前再開発ビルに100億円つぎ込み、石神井庁舎機能を移すなど、福祉を切り捨て鉄とコンクリートの街づくりを目玉にしています。
 このような区政を選ぶのか、困った人に寄り添う吉田区政を選ぶのかが問われていると言っても過言ではありません。
 誰が区長になっても変わらないと思っている人や、コロナ対策で練馬方式と報道されて本当の姿を知らない人が多いのも事実です。しかし区長には予算編成権があります。平和で豊かな福祉の練馬区のためにこんなチャンスはめったにありません。私たちの手で練馬区長を交代させましょう。九条の会の出番です。 

中学2年生で行った「衆議院議員模擬選挙」
                        公立中学校社会科教員      


  2012年から授業で国政選挙に合わせた模擬選挙を実施している。公民の授業で行うことが多いが、中学2年生なりに
「主権者としての自分」を意識
できることを目標に、今回の衆議院議員選挙でも実施した。

■模擬選挙に向けての事前学習
 まず、「VOICE PROJECT 投票はあなた声」の動画を視聴して、衆議院解散に伴う選挙があることを確認し、模擬選挙の方法と情報入手方法の紹介をした。その上で、課題として「比例代表選出議員選挙調査用紙・自分が選ぶポイントはこれだ!」に、自分で考えたポイントとそれに対する各党の意見をまとめるように指示した。公示後は、NHKニュース「各政党の公示第一声」を視聴し、今回の選挙の概要を説明した。
■模擬選挙当日(1時間の流れ)
まず、模擬選挙に向けて行ったこと(ボートマッチをした、家族と話した、政党のホームペ
ージを見たなど)の交流をし、基本的な選挙制度を簡単に学習した。次に、全員が選挙公報を見ながら、4人グループで気になる政策について意見交換する。自分が作成した政策調査用紙も使用し、重視したいことを伝え合ったり、調べた政策を教え合ったりした。
 グループ内で出た意見を発表した後、いよいよ投票である。開票結果は選挙後の授業で発表することを伝え、授業は終了した。
 授業後には「あー、おもしろかった!」と、普段は決して聞けない声も聞く。中学生が政治についてのびのびと話している姿は頼もしく、またかっこ良いといつも思う。

■開票結果
 自民党(32・4%)、立憲民主党(16・5%)、公明党(14 ・9%)、国民民主党(9・3%)、共産党(9・1%)、社民党(5・5%)、れいわ新選組(4・0%)、NHKと裁判している党(3・9%)、日本維新の会(2・2%)、新党やまと(1・1%)、日本第一党(0・7%)
【2021年の総選挙の実際の党派
 別得票率は、自民党34・66、立憲民主党20・00 、公明党12・38 、国民民主党4・51、共産党7・25 、社会民主党1・77 、れいわ新選組 3・86、日本維新の会14・1、N HK1・39、日本第一党0・06、新党やまと0・03 (編集委員調べ)

■生徒が調査したポイント
 コロナ対策(約30%)、エネルギー・気候変動・原発(約12%)、教育・子育て(約 11%)、消費税・税制(約10%)、外交・安全保障・世界平和(約10 %)、ジェンダー平等・LGBTQ(約5%)、それ以外には憲法、経済政策、災害対策、働き方などがあったが、コロナ対策一つとっても、
飲食店への対策、感染防止対策、緊急事態宣 言の発令についてと、多岐に渡るポイントが考えられていた。大学の奨学金について調べている生徒も複数いて、身近な問題か ら政策を考えていた。

■生徒の振り返りから 
Chromebookなどを使って自分で情報を収集し、選挙について友人や家族と話し、自分なりに考えて投票し、政治や選挙への関心が高まったことがわかる。 ある生徒は「私は、日本もアメリカのようにトップの人(日本だと 内閣総理大臣)も、国民が投票で決められるような仕組みにしてほしいと思いました」という感想を残し、またある生徒は「学校からの帰り道や近所にある政党のポスターに前よりも目が行くようになった。 模擬選挙にあたって、調べたそれぞれの党の方針や政策、過去の活動について深く知り、決して自分に関係のないことではないということを改めて感じた。 未来を生きる私たちのための大事な「意見を述べる権利」を失わないよう、もっと選挙について知っていきたい」と振り返った。
「模擬選挙って大変そう」と思って、始める前は本当にハードルが高かったのだが、最近では、いろいろな資料がネットに上がることや生徒が一人一台のタブレットを持っていることで、教員の負担も軽くなり、生徒の資料集めも容易になった(もちろんメディアリテラシー教育は必要であるが)。
今年は参議院議員選挙があるので、多くの教育現場で模擬選挙が行われ、中学生にも「主権者としての自分」を意識する場面が増えればいいなと思う。
       

練馬の文化の華を開かせるどころか
    区の財政を圧迫する 練馬区立美術館リニューアル構想

               勝山 繁(中村・貫井・富士見台3地域9条の会) 

■国宝・重文が展示できる
  練馬美術館を・・・前川区長
 練馬区立美術館の大規模なリニューアルの基本構想を示し「RENEWAL OF NERIMA ART MUSEUM」で、前川燿男区長は秋元雄史館長との対談で、「 年間練馬区に住んでいる区民として不満なのは、行政が内向きで洗練されていない」と切り出し、その理由として、鉄道や道路の都市インフラの整備が遅れていること、文化のインフラが足りないことを挙げている。区長によれば、「文化の花(華)は、都市インフラがあって初めて花開く」のである。
 美術館のリニューアルによって「練馬区ならではの文化の華を開かせる」、そのために「国宝や重要文化財が展示できる文化庁の公開承
認施設を目指す」と区長は強調する。
「基本構想」によれば、サンライフ練馬を解体して、敷地面積2246㎡から4009㎡に、延べ床面4358㎡から8000㎡に、それぞれ拡大する。さらに、国宝・重要文化財の公開には、文化庁長官裁定の「公開に関する取扱要領」の中の条件を満たさなければならないが、「展示ケース内の温度・湿度・照度」一つ見ても相当厳しい。「展示ケース内の温度・湿度の調整」は、温度は摂氏 度プラスマイナス1度、相対湿度は %プラスマイナス5%を原則とし、かつ年間を通じ一定を維持する。照度も150ルクスに保つと定められている。サンライフ練馬の解体で拡張する作品収蔵庫の条件も同じだ。空調は「2台以上の空調機による 時間空調が望ましい」とあるが、当然光熱費は増加する。
■元美術書編集者・大内要三さんが厳しく批判
 朝日新聞社出版局で美術書・歴史書の編集者を務めたジャーナリストの大内要三さんは、今月2日に「中村・貫井地域の公共施設を考える会」が開催した「『サンライフ練馬の廃止』を考える懇談会」でこう指摘した。 文化庁認可の「公開承認施設」の認可が受けられるスペック(施設の構造、有資格者の配置など)の美術館の建設運営には莫大な資金が必要です。都立の東京都美術館と東京都庭園美術館でさえ、そんな認可は受けていないし、認可を受けている美術館の多くは,自館に重要文化財を持っています。
■予算も明らかにせず建設を進め、完成後も区の財政を圧迫
 「しかも建て替え、拡張のために隣の福祉施設(=サンライフ練馬)は廃止する。建設構想は着々と進んでいるのに、予算についてはまったく公表されていない。4月に迫っている区長選の争点にしたいところです」(大内さん)
 「前川区長のレジェンド作りに、予算がつかわれている」(懇談会参加者)。練馬美術館のリニューアルは、工事が終わっても、美術館は区の財政を圧迫し続ける。秋元館長が2007年から 年間、館長を務めた金沢 世紀美術館は、フランスのルーブル美術館やポンピドゥー・センターと共同企画展を開催したこともあり、2018年の年間来場者は258万人というトップクラスの公営美術館である。それでも2020年度の収入の約9億2000万円のうち、入場料、書籍・グッズなどの売上げに施設の貸出料を加えた事業収入は4億9000万円と %にしかならず、あとは市が美術館の運営者に支払う指定管理料収入や国からの補助金に頼っている。
 練馬区は、美術館を運営する公益財団法人練馬区文化振興協会の決算報告書は公表しているが、美術館の収支は公表していない。しかし、練馬美術館の運営が、金沢 世紀美術館よりはるかに厳しいことは想像できるし、リニューアル以後もその厳しさは続くだろう。「文化の華を開かせる」どころか、区の財政の圧迫要因になりかねない。リニューアル計画の無謀を知るにつれ、多くの区民の批判は高まっている。


サンライフ練馬の「廃止」に反対する  
                新井幸恵「中村・貫井地域の公共施設を考える区民の会」  

■サンライフ練馬とは
 サンライフ練馬は西武池袋線中村橋駅北口、区立美術館と地続きの北側にあり、体育室、トレーニング室、第一・第二和室、会議室、レストラン、職業講習室、第一・第二研修室などがある複合的施設です。任意のアンケート調査によれば、 代以上が6割を占め、子育て世代から中高年、高齢者が交流、学習、会合、健康づくりなどに、年間 万人が利用しています。

■サンライフ練馬の「廃止」問題
 区民の目に浮上したのは、昨年 月 日の練馬区議会第4回定例会の区長所信表明で、前川区長が「美術館の敷地をサンライフ練馬の所在地に拡張して全面改築し、美術の森緑地と商店街・駅へと続く動線を一体化して、美術館を核とした街並みを実現します」と述べたことがきっかけとなっています。
 2019年発表の「練馬区公共施設等総合管理計画〔実施計画〕」では、美術館の再整備基本構想に基づく「改修・増築」となっており、増築とはサンライフ練馬のトレーニングルームを潰す計画でした。それが「美術館の全面改築」に変わり、サンライフ練馬は2023年度を目標に「廃止」を調整、とされました。新たに出された美術館は、文化庁公開承認施設を目指すとしています。
 利用者からは「トレーニング室のマシンとストレッチプログラム、体育室のボディコントロール、研修室でのマンション会合などで利用させてもらっています。特にストレッチプログラムは高齢者の参加が多く、地域の健康増進に寄与していると思います。民間のジムは会費も高額で高齢者が気安く利用することができません。現在体育室はワクチン接種会場としても利用されています。災害時の施設としても機能すると思います。こうした機能は残してほしいと思います」( 代男性)。など、廃止に反対する意見が寄せられています。

■問題は
①区民や利用者の意見が聴取されていなかったこと
②コロナ禍で区民生活の困窮が続く中、美術館の大型公共事業を行おうとする根拠が不明なこと
③区民センターの大規模改修に合わせ機能を統合するとし、周辺施設への影響が予測されること
④素案にもオープンハウスでも、財政規模が全く示されていないことなど、等多々あります。

■運動とその広がり
 2014年に総務省が計画策定を各自治体宛に要請し「街をコンパクトにする・公共施設を縮小・再編する(集約化・複合化・延べ床面積減少)」を目指す目論見、公共施設の役割見直しも強行されています。
 私達、「中村・貫井地域の公共施設を考える区民の会」(井上陽子代表)では陳情や各議員への説明、署名活動(現在800筆)、集会、情報公開請求などを行ってきました。この件がはからずも前川区政の象徴的な問題を可視化したことから、区長選挙や補欠選挙、来年の区議会議員選挙の争点の一つとして大いに取り上げられることを願っています。


     

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