114 号 2024年4月発行
練馬区の「公共施設等総合管理計画」と
小中一貫校について
山本 由美(和光大学教授)
2023年12月に「練馬区公共施設等総合管理計画(実施計画)」2024〜28年度版が公表された。「公共施設等総合管理計画」自体は「地方創生」政策の柱の1つとして総務省が2014〜16年度に全自治体に策定を「要請」したものである。将来的な人口、税収の変動に合わせて、公共施設の総量を「縮減」し、算定される改修工事費用の予算不足を回避させようとするものである。全国で増加する学校統廃合、施設「複合化」などの強力なインセンテイブになっている。
練馬区は、2017年3月に最初の「公共施設等総合管理計画」を策定してから、区立美術館、図書館、サン・ライフ練馬の複合施設化の計画などに合わせて改訂を頻繁に繰り返してきた経緯がある。
今回の「実施計画」でも、最初に「施設配置の最適化、機能の転換、統合・再編・複合化」が基本方針として示され、「優先度が高い機能への転換、有効活用が困難な場合は貸付けや売却」と、公共施設の「貸付けや売却」までを行う方向性が示される。さらに「近隣に同種の機能を有する民設民営の施設が立地している場合や、今後設置が見込まれる場合には区立施設の廃止を含めて検討」するとされている。果たして、こんなことを言ってしまってよいのか。例えば公立保育園の近隣に民間の保育園があれば、公立を廃止することもできてしまう。どんなに区民が守ろうとする運動があっても、区が強引に廃園にする谷原保育園のケースが当たり前のことになってしまう。「公立」であることの価値は問われない。
「中学校区を基本に施設」、都市部ではありえない
さらに、地域施設(児童館、敬老館、地区区民館、地域集会所)は「統合・再編」して、「長期的には中学校区に1か所程度になるよう再配置」「駅周辺への施設の集約の検討」と、都市部ではありえないような計画が示されている。 全国的に、例えば地方や過疎地などで「中学校区」を単位に公共施設を削減していく施策、施設をまとめる「コンパクトシテイ」構想などが推進されているが、東京都の多くの自治体では、歴史的に住民自治の基礎単位としては「小学校区」が位置づけられてきた。それが実際の市民の生活圏でもあった。「住民自治の拠点」でもある集会施設などの配置も、徒歩圏にあって活用しやすいものだった。今回の練馬区の計画は、このような集会施設をねらい撃ちにして、市民を孤立させ、住民自治をこわしていくような計画になっている。
「小中学校は改築にあわせて周辺施設との複合化」
これも八王子市や東村山市などの自治体で進められる「学校を拠点とした施設複合化」が簡単に述べられているが、学校を複合施設化することに伴うデメリットの教育学的な検証が一切行われていない。子どもの安全面、学校施設の持つ固有の意味といった視点が見られない。
また、「集会施設の維持管理費のほとんどは区民全体の税金で賄われている」ので「個別使用料の見直し、検討を進める」といった今後の受益者負担主義の推進が示されている。しかし多くの先行自治体では、再編の後「使用料」の大幅値上げが行われているのだ。
◆4つのリーディング・プロジェクト、旭丘小中一貫教育校は進めてよいのか
今回、優先的に取り組む施策として、
①新たな小中一貫教育校と周辺施設 の集約
②美術館の再整備に向けた中村橋周辺施設の統合・再編
③春日町駅周辺の再編、青少年館、地域集会所、地区区民館などの方向性の決定
④区有地への民設民営の生活介護事業所等の誘致、関町福祉園廃止
が挙げられている。資材高騰だろうが何だろうが、これらの計画は推進するというのだろうが、それによる他の施設へのしわ寄せが見られる。例えば「貫井図書館の改築のため」、老朽化している練馬図書館の大規模改修は当面延期されることになる。
区長が美術館の再編をなりふり構わずに進めるのは今に始まったことではないが、旭丘小中一貫校について、2026年度に開校をめざして、すでに2023年10月から新設校工事が開始されている。併せて地域説明会も行われている。旭丘小学校、隣接する旭丘中学校のみならず、小竹小学校、地域の複数の公共施設を「複合化」した施設となることが予定されており、学校の名称も3校の児童生徒の投票で「みらい青空学園」が選ばれている。
しかし、小竹小の統合については、まだ地域や保護者との合意形成ができていない。区に問い合わせたところ、「小竹小がいつ統合されるのか、まだ決まっていない」(2024年3月21 日段階)という。そして、とりあえず、2024年度に今後の適正配置計画を審議して方向性を出すのというのだが、その前に教室数なども決定した校舎建設を開始してしまってよいのか。また、統合が決まっていない小竹小の子どもたちは、どんな気持ちで校名を決める投票をしたのか、母校が統合されることへの配慮がない。
さらに施設一体型校の建設計画が優先され、小中一貫教育の中身についても十分な説明が行われていない。校長1名、副校長3名の独自の「小中一貫教育校」(一般的に用いられる「小中一貫校」ではない。)であると説明するが、「4・3・2」制の区分、教育課程をどこまでやるのか、具体的な内容は示されていない。唯一の区内の先行ケース、大泉桜学園では「4・3・2」に分けた学習指導や生活指導をしているというが、その検証結果や成果についても「4年、7年、9年生でリーダー性が育ち、小学生が中学生を手本とし、中学生はよき先輩になろうという自覚が生まれた」と漠然とした説明に留まっている。
さらに、特別支援教室だけが小・中とも校舎1階の他に教室がないフロアにまとめられている。このようなスタイルは杉並区の小中一貫校でも見られ、特別支援学級の子どもたちの心情に配慮がなく、隔離的な扱いであると批判されているものである。
◆石神井駅前再開発での画期的な判決
他方、やはり「計画」に盛り込まれている、石神井駅前再開発での、区民事務所、戸籍・国保・総合福祉事務所、地域包括支援センター、子こども家庭支援センターを、100メートル超の高層ビルの3〜5階にまとめる複合施設建設計画(上層部は民間のマンションとなる)については、3月 日に東京地裁で、3月 日を期限として地権者に求められていた土地の明け渡しを8月まで止める決定が出された。地域では公園からの眺望を守るために「原則 メートル以下」の高さ規制を住民合意で決められていたものを、区が2020年に「緩和」したものであった。これまで、一方的に進められてきた東京の巨大再開発路線に対し、見直しの契機になる可能性があり、現時点で5月 日の判決が待たれる。
自民党の裏金事件は史上最悪の憲法違反の犯罪
立正大学法制研究所特別研究員(税法学) 浦野広明
岸田首相(自民党総裁)は自民党裏金事件を党内処分で終わらせようとしている。「自己監査は監査にあらず」という警句がある。裏金事件は自民党の組織ぐるみの大型脱税事件で、首相の党内処理で済むような生易しい問題ではない。日本の政治史上最悪の憲法違反の犯罪である。
憲法は、税について「課税法律主義」(第84条)と「納税の義務」(第30条)において課税と納税の規定をしている。
裏金事件は、自民党の派閥が「裏金集会」(政治資金パーティ)の収支について、
①政治資金規正法による政治資金収支報告書への過少または不記載
②派閥の所属議員が、販売割当額を超えて集めた収入を「裏金」として着服することを組織的に続けてきたものである。
政治資金規正法上、収支報告書の不記載、虚偽記載は「5年以下の禁錮、100万円以下の罰金(第25条)、この罪を犯した者は、一定期間公民権が停止となる(第28条)。裏金事件は政治資金規正法違反にとどまらず、以下の重大な脱税等の問題がある。
【法人税】利益率が8割前後にもなる裏金集会には、①普通法人(法人税法第2条第9号)として、②一歩譲って人格のない社団だとしても収益事業(興行業)に該当し、利益(所得)に法人税、法人住民税・事業税が課される。
【所得税】裏金収入の全額が事業または雑所得として所得税、住民税が課される。
【消費税】消費税の納税義務は、事業者(個人・法人・人格のない社団)が事業をおこなっている場合に課税されるのであり、裏金集会は事業であり消費税が課税される。
【附帯税(地方税は附帯金)】延滞・重加算税(金)が課される。
【課税期間】裏金集会に係る課税は偽りその他不正の行為(偽計行為)によるものであり、7年間課税される(国税通則法第 条第5号)。
【脱税の刑事罰】偽計行為により脱税した場合、所得税法第238条、法人税法第159条および消費税法第64条によって「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれを併科」に処される。
【罰せられるのは国会議員】裏金集会について、会計責任者や秘書等がやったことだという議員がいるがとんでもない。会計責任者は単なる名義人であって、収益を享受する実質の集会主催者は議員である。責任を問われるのは議員である。つまり実質所得者課税の原則の適用である(所得税法第12条、法人税法第11条、消費税法第13条)。
【国税局の義務】国税局は、国税の犯則調査により犯則があると思料するときは、検察官に告発する必要がある(国税通則法第155条)。告発しなければ不作為責任が問われる。
【検察官の責任】国税局が検察官に告発することにより、犯則調査の段階で作成された調書、差押物件やその目録等は、検察官に引き継がれる(国税通則法第159条)。検察官は刑事訴訟法に基づき刑事事件として捜査し、検察官が起訴(公判請求)をしなければならない。
自民党の脱税裏金事件の関係議員は納税と議員辞職は当然である。それだけではない。懲役、罰金という厳しい制裁を科さなければならない。
◆公明党の連帯責任
自民党と連立政権の一翼を担ってきたのが公明党である。公明党の山口那津男代表は自民党の裏金問題について、「同じ穴のムジナに見られたくない」と自民党に苦言を呈した」(産経ニュースメールマガジン23年12月21日)と、他人事のようにふるまうが、憲法の課税納税の原則を実行すべき税務行政をゆがめる問題に「ほおかぶり」は許されない。自民党と連立する公明党は国会に対して連帯責任がある(憲法第66条第3項)。
消費税法は、公明党の助けがあり1988年12月4日に成立した。消費税の導入は、第2次大戦後続いてきた直接税中心主義を破壊する、大企業減税、庶民増税など悪税推進の根源となった。
自公の悪政は留まるところを知らない。次期戦闘機の第三国への輸出を認めるかどうかをめぐっては、23年4月から、認める方針の自民党と、慎重だとされる公明党との間で協議が続けられてきた。何のことはない。24年3月15日、自民党の渡海政務調査会長と公明党の高木政務調査会長が国会内で会談し、輸出を容認することで合意した。
◆政治をゆがめる企業団体献金
国民主権の日本国憲法のもとでは、参政権は主権者である国民のみが有する権利である。憲法は、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と議会制民主主義をうたっている(第41条)。企業等が行う政治献金の許容は、主権者である国民の参政権を侵害し、憲法の議会制民主主義を形だけのものとする。そこでは、「国民主権」ではなく企業等寄りの議員により「企業等主権」の政治が行われ、議会制民主主義が侵される。
政治の金権腐敗を一掃するカギは、企業・団体献金を禁止し、企業・団体と政治家のカネで結ばれた関係を断ち切ることである。
◆消費税の縮減と財源
24年度一般会計予算の収支規模は112兆717億円である(2023年12月12日閣議決定)
この予算案は、
①歳入:税収は歳入合計の62%しかない。税収の39%は国債費(元利支払)に消える。歳入不足は税収が応能負担原則を生かしてないからである。
②歳出:政府は、これまで60年以上にわたって、軍事費を少なくとも当初予算では「国内総生 産(GDP)比1%にとにとどめてきた。24年予算の軍事費は7・9兆円でGDP比で 1・4%となった。税収の39%が借金の元利返済に消え、社会保障は削られる一方である。
応能負担原則(応能原則)の中心に位置するのは総合累進所得課税制度、つまり各種の所得金額を合計して、所得額に応じた税率を適用し税額を計算するというものであり、これ以外の方法で真の税制改革はできない。所得課税をまともにすれば 兆4044億円税収が生まれる。消費税を廃止しても財源は十分にある。
応能原則による所得課税の総合累進化により、申告所得税12兆9124億円、源泉所得税50兆2054億円、相続税(軽減所得) 1兆4045億円、法人税23兆0606億円、住民税1兆8215億円、合計で50兆4044億円の税収が可能である(不公平な税制をただす会編『福祉と税金』2023年9月1日)。
問題の多いテレビメディア 映像セミナーへのお誘い
加藤久晴(元・日本テレビPD・東海大学教授)
馬鹿みたいな食べ物シーン、いい気な感じのちょい寄り番組、土産店の紹介コーナー等々、日本のメディアの荒廃が指摘されてから久しい。特にテレビがひどいと批判されている。CМ規制を無視して垂れ流される大量のコマーシャル。規制ではCМは全放送の %以内と定められているが、現実には守られていない。ある調査によると、放送内容の %前後がCМだったという。
それに加えて中身でも平気の平左で企業PRや商品案内をはじめる番組まである。また、報道番組でも当局の発表者がメインで、どこの局でも同じ内容が横並びである。いわゆる〝時事解説〟番組にしても、誰もがありきたりのこと、差し障りのないことしか発言しない。憲法九条の重要性など聞いたことがない。これでは電波は国民の共有財産とは言えない。
そんな状況の中でも、ときどき、真っ当なドキュメンタリー番組が放送されることがある。放送労働者の中にも、テレビの現状を苦々しく思っている人は多いのだ。
「西大泉九条の会」では、そうした良心的な制作者たちが作った番組を集めてきて、月に一度、西大泉地区区民館で〝映像セミナー〟を開いている。
西大泉九条の会の幹事の一人である飯塚昭三氏(この他に幹事は大柳武彦氏に筆者)が作った記録によると、第一回は23年2月18日で、テーマは南京虐殺報道へのバッシング。旧日本軍が日中戦争中に起こした南京での大量殺人事件は、世界各国にその残虐性が伝わっている悲惨な事実であったが、最近の日本ではなんと、南京虐殺事件はなかった、あれは戦闘行為の一部であったと旧帝国軍人をかばう論調が主流となりつつある。
そうした風潮に抗して、西日本放送や毎日放送が、実際にあった残虐事件であり、そのエビデンスである映像を集めて放送を敢行した。その番組を入手して、〝映像セミナー〟で上映したところ、幸いにも多くの反響を得ることができた。筆者に他の会からも声が掛かった。
また、6月3日には『昭和天皇「参詣記─戦争への悔恨』上映。これも見ると、昭和天皇の戦争責任が明白になる。
こうしたドキュメンタリー作品は貴重であるにも関わらず、なかなか日常のテレビ番組の中では報道されず、放送が決まっていても局側はPRをしない。そこで〝映像セミナー〟では、なんとか見つけ出してきて、皆で見ようというわけである。本土だけでなく、沖縄を舞台にした番組も多く、沖縄が完全に米軍の支配下にある現実などを伝えたドキュメンタリーもあった。
さらに、アメリカの軍事産業などによって殺傷兵器がどんどん進化していく現実を告発した、『最新科学の実験場─戦争』なども上映した。これを見るとウクライナやガザでの悲惨な殺し合い、壊し合いの現実がよくわかる。これらの兵器を開発した科学者たちは決して人殺しを前提に研究・発明をしたわけではなかろうが、結果的にはそうなった。もう始まっているが、今後は無人機が大量に作られ(ドローンなど)人殺しや破壊を進めていくことになるだろう。
なお、24年3月には、『東京大空襲─583枚の未公開写真』を見ることにしている。4月は映画『スモールランド』の上映。また、5月には『自衛隊変貌の先に─専守防衛はいま』を見る。これは珍しくNHKが日本の防衛政策の危険性をかすかだが批判した内容で、かなり重要な作品である。つまり、自衛隊はこれまで何かと言うと、専守防衛を理由に防衛政策の言い訳にしてきた。
ところが、3文書発表以来だと思うが、現在は敵基地先制攻撃路線に政策転換を行い、専守防衛とは言わなくなった。危険な兆候である。番組では冒頭で、オーストラリア軍と共同訓練をする自衛隊員を追う。むろん完全装備。顔を泥で真っ黒に塗って激しい訓練を行ったり、実践さながらである。自衛隊側では、自衛隊の宣伝になると考えているのだが、視聴者から見れば、恐怖の戦争シーンである。これはまるで海外派兵を想定した訓練ではないか。なお、番組の後半は、自衛隊の長距離ミサイル設置問題である。日本が基地に長距離ミサイルを設置すれば、相手国だって長距離ミサイルを打ち込んでくる可能性は高くなる。その結果は、ウクライナやガザで見られるようなインフラの破壊や住民の殺傷である。番組では、大分県敷戸地区の住民によるミサイル反対闘争を描く。結局、住民たちは押し切られてしまうが、住民の心配は痛いほど伝わってくる。
こうした、テレビによる自衛隊のご都合主義な宣伝を問題にして、筆者は『放送レポート』(大月書店刊)に告発記事を連載してきた。テレビが自衛隊を扱うと、平和憲法との整合性も無視して、まったく一方的な宣伝になる。例えば驚いたのは、日本テレビが『沸騰ワード』でオスプレイを扱った時である。安全・安心な兵器としてタレントまで乗せて一方的に宣伝していた。ところがその直後、オスプレイは鹿児島県の屋久島沖で事故を起こし、8人の乗組員が全員死亡、アメリカ軍はオスプレイの全面飛行停止を発表。番組の責任はどうなるのか?どう責任をとるのか?その後米軍はオスプレイの飛行の再開を発表し問題になっている。おそらくバックにアメリカの軍事産業の巨大な圧力があったのであろう。むろん米軍のポチ化している自衛隊も即座に追認。
こうした自衛隊の一方的宣伝を問題にして筆者は一冊の本にまとめ6月末に「日本出版」から出版する予定で、現在準備に追われています。刊行の折にはよろしくお願いします。
「映像セミナー」を続けるにあたっては、著作権法との関係があります。むろん、番組制作者側の著作権は当然守らなければなりません。そのため。映像著作物は個人で見るには構わないが、集まって共同ビューイングするには問題があります。そこで〝セミナー〟という形にしています。著作権法には〝教育研究〟の場合はその限りではないとあります。
皆さんへ、月に一回集まって戦争と平和の問題を、映像をネタにトークしませんか?
「映画『希望の給食→その先へ』上映と講演のつどいに参加して
巻島 紀子(新日本婦人の会)
「『希望の給食』無償化→その先へ」と題した映画と講演のつどいが 3月 9 日(土)石神井公園区民交流 センターで行われました。このつどいは新婦人、教組、練馬あったかフードバンクが呼びかけて 団体が 実行委員会を作り、宣伝や分担金の拠出などで取り組みを支え、各団体や SNS から 110人が参加しました。
新婦人は事務局となりましたが、昨年 6 月から区議会に給食費完全無償化の陳情を出して活動していた ものの、練馬区は他区に取り残されていくばかりで、何かよい動きができないだろうかと思う日々でした。 その頃西東京市で、給食無償化をめざし福嶋尚子さんの講演会をおこなったところ、保守系議員も参加して 意識を変えてもらう取り組みとなったと聞きました。子育て世代が前面に立ち新婦人などがそれを支える形になっていることも羨ましい限りで、練馬でもできないかと模索の日々。
しかし現実は厳しく、今回のよう な形で行うことにしましたが、そのさなかに東京都の半額補助の動きも出てきたため、給食無償化だけでな くその先も展望して学べるものにしようと、取り組みたかった映画の「 希望の給食」と福嶋先生の講演を併 せて企画しました。
◆映画の内容
「希望の給食」では、地元産有機米 100%の給食を実現した千葉県いすみ市、地元産有機米・野菜を自校 調理で子どもたちに届ける長野県松川町、民間委託ではない「財団方式」というユニークな運営形態でこだ わりの食材と調理を続ける武蔵野市など、地域の食と農をつなぐ取り組みが紹介されました。また韓国で は、給食の有機化と無償化が一体となって進められ、すべての人の食の基本権の保障という課題を、市民参 加で解決するべく、食をめぐる取り組みが学校給食を超えて公共給食へと広がっていることに感激しまし た。
福嶋尚子さんは大学で教鞭をとりながら「『隠れ教育費』研究室」として、義務教育の中での保護者負担 の問題などを研究し、給食費無償化の全国署名に取り組んでこられました。学校給食費の現状と重要性、未 実施のところの特に困窮家庭の胸痛む状況、給食費をめぐる政策の展望など、わかりやすく話していただき ました。
無償化の「飴と鞭」の話では、練馬の学校給食を今後見守る必要があること、学校給食法 4条・ 条は変えて国の責任を明記してほしい、同じ「無償」でも現金給付より政策目的通りに使われる現物給付が 大事なことなど心に残りました。なぜ給食無償化が大事なのかー子どもの「教育を受ける権利」を保障するためには、学校でこそ最低限の衣・食・住が確保され生存権が満たされなくてはならないーとお話を結ばれ ました。
多くの学びがあったと、たくさんの感想が寄せられました。特にフロア発言で、学校単位の給食室で職員 をしっかり配置し、災害があればそこがセンタ―になり、農家と連携し地域の高齢者や必要な人が食べに行 けるような「地域給食」ができたらの意見への共感や、農家との連携について多く寄せられました。学校給 食を通じて世代を超えて地域ぐるみで力を合わせることができたら!と胸躍る思いでした。実行委員会の 今後は模索中ですがまたさらに一歩前進させていきたいものです。
「どうする?!東京」練馬区民集会(仮称)
開催の呼びかけ
東京都知事選挙は 6 月 20 日に告示、7 月 7 日に投開票となることが決まっています。 まだ立候補を表明している人はいませんが、小池都知事の三選挑戦が確実視されています。
2 期 8 年におよぶ小池都政のもとで都民のくらしはどうなったでしょうか。都民の世論に 押されて、小中学校の給食費の半額補助、都立大学等の授業料実質無償、18 歳以下の子 どもへの手当創設など、積極的な施策はあるものの、コロナ禍・物価高騰と続き、くらしが大 変と悲鳴があがるなかで、その支援策はまったく不十分です。
一方で、東京五輪に名を借りた東京大改造・大開発、神宮外苑などでの樹木伐採、築地 市場の豊洲移転、東京オリパラ組織委員会の受託収賄、米軍横田基地所属のオスプレイの 墜落、羽田新ルートの運用、英語スピーキングテストの強行、小中学校の教員不足、都営住 宅の建設は 25 年間ゼロ、関東大震災時の朝鮮人虐殺の追悼文拒否......など、都民の願い とはかけはなれたことをおこなっています。練馬区内では都による道路建設計画が動き出し、 各地で住民の反対運動が起きています。
東京都の 2024 年度当初予算案は、潤沢な税収をもとに一般会計で 8 兆5千億円の巨 額になりましたが、日本橋や新宿の再開発、臨海副都心、外環道などの大型開発中心です。 都庁に映像を投影するプロジェクションマッピングに2年で 43 億円もつぎ込むのに、都庁 の下の困窮者支援活動では毎週数百人が並ぶという実態に、「光は都庁ではなく、都民のく らしに!」の声がひろがっています。元日に能登半島地震が起こったのに、家屋の耐震化予 算が削られる始末です。
こうした都民に冷たい都政を続けさせていいのでしょうか。まずは、都政を変えたいという 思いと願いをみんなで出し合う集会を実行委員会形式で、以下のように開きたいと思いま す。それが都政を転換する大きな流れにつながっていくことを願いつつ...。
呼びかけ人(第一次) 大内要三、柏木美恵子、国島政男、鳴海加代子、山本由美、湯川友愛
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