80号 2018年8月発行

米朝会談以後の日米同盟               ─大内要三・種田和敏対談(その1)─        

                                                                  

 6月12日にトランプ大統領と金正恩(キムジョンウン)委員長による首脳会談が開かれてから2カ月余り経ちます。米朝間の動きは、必ずしも順調とは言えませんが、両国が長い間の断絶から話し合いを始め、続けていること、それが東アジア、引いては世界の平和につながることを、多くの人が期待し、同時に日米同盟が今後、どう変わっていくのか、不安と警戒を抱きながら見つめています。そこで、日頃、講演・寄稿、あるいは運動へのアドバイスを通して、ご支援いただいているジャーナリストの大内要三さんと弁護士の種田和敏さんに、8月2日、「米朝会談以後の日米同盟」をテーマに対談していただきました。

◆なぜ、北朝鮮はミサイルに固執したのか?

大内 金正恩委員長とトランプ大統領の会談以降、東アジアに平和が来るのではないかという期待感が一方にありますね。それに対して、「大事なところは決めていないではないか」とか、「どうせ裏切るのではないか」という声もあります。
 そこで、私たちは、東アジアの平和のためにどうしたらよいのか、というところに落とし込んで考えていきたいと思います。

種田 米朝会談の前の北朝鮮がミサイルを撃っていた頃の不穏な動きに対して、日本のマスコミは国民が持つ緊張感をあおっていた面もあると思います。
一方、米朝会談以降は、いい方向に向かっているという意識は生まれていると思います。ただ、情勢はコロコロ変わる。米朝会談は歴史的なメモリアルと思いますが、北朝鮮がどうかということよりも、むしろ日本とアメリカが極東において、どういう動きをするのかということの方が気になる。北朝鮮の動きよりも、安倍さんと自民党がこの国をどうしていくのかということの方が気になります。
 東アジアにおいて、日本が果たす役割は大きい。その日本の国民として平和に尽くす、そのために何ができるか、何をしなければいけないか、考えてみたいと思います。

大内 そのとおりですね。日本のマスコミの責任もあるかと思いますが、昨年の 月頃のいちばん危ないとき、それこそ、また米朝間で戦争が始まるのではないか、米軍が朝鮮半島で演習をする、韓国軍もいっしょに行動する。あるいは、安倍さんが「やれやれ」とけしかけるような発言を何度もする。そういう危険な時期が昨年にはあった。それが、ともかくなくなり、話し合いでいきましょうとなった。これからも紆余曲折があり、すぐ平和ということにはならなめなさい」ということであった。それはもともとNPT(核兵器不拡散条約)に問題があるのであって、5大国だけがいつまでも核兵器を持ち、それ以外の国には持つことを認めないということですから、国連もそういう対応になる。それでは5大国はいつまでも核兵器を持っていていいのかという問題もある。
 NPTには大事な条項があって、いま核兵器をもっている国も核兵器廃絶のために努力しなければならないのですけれども、やっていない。ですから、これから朝鮮半島の非核化、あるいは世界の非核化を本当に進めていくきっかけとしても、朝鮮半島の非核化はとても大事だと思います。日本でも、安倍政権に「アメリカの核の傘のもとにいることは恥だ」と思わせるような運動を進めていく、そのことが朝鮮半島の非核化、地球からの核兵器廃絶につながると思います。

種田 多くの人が日本は安全で、平和だと思っている。少なくとも、戦争や死の恐怖におびえながら暮らしているわけではない。そういうふわっとした平和の感じを一度突きつめて、アメリカの存在とか、核の問題、北朝鮮や周りの国との関係を考えなければいけない。なかなか日々忙しくて、そういうことまで思いを馳せず、国民としてどうしたらよいかということが議論されていない。国の指導者もイニシアティブをもって、東アジアアの平和を積極的につくって行くという考えがないのかなと思う。われわれひとり一人が日々の行動の中で、自分の考えや疑問をもって行動していくことが必要だと思います。    

 

◆自衛隊と日米安保体制を生んだ朝鮮戦争                                                      

大内 日本の戦後体制の枠組みは、やはり朝鮮戦争によってつくられ、続いてきたのだと思います。私は戦後2年目(1947年)の生まれなので、戦後の端から端まで見えるから、そう考えるのかもしれませんが、日本を占領していた米軍が朝鮮に出兵してしまったので、その後を守るために1950年に警察予備隊ができ、それが自衛隊になった。安保条約によって、再軍備して日本を守るようにしなさいとなったわけですが、同時に、日米地位協定が結ばれて、戦後の日本の安全保障の枠組みが朝鮮戦争を続けていくことを前提として成り立った。
 それがもう戦争の危険がなくなろうというとき、日本はそのままでいいのかということをきちんと考えないといけない。もう安保も地位協定も要らないでしょう、日本に米軍の基地がこんなにあっていいのかと、国民の側から言っていかないと日本の状況は変わらないでしょう。戦後の日本は何という年月を経てきたのだと、国民自らが問う時期に来ているのではないでしょうか。

種田 私は1982年の生まれで、ずっと藤沢で暮らしていました。物心ついた1990年はバブルがはじけた年です。そういう年代の者から見ると、自衛隊がなぜできたのか、なぜ存在しているのか、あまり考えなくて、自衛隊も米軍も存在を所与として受け止めてきました。厚木も横須賀も近いですから、艦載機の世騒音で夜起きてしまったとか、授業中もうるさくて、声が聞こえないとかありましたけれども、それがある意味当たり前で、疑問にわない、そういう中で生活していると感覚がマヒしてくる。
 しかし実際は、朝鮮戦争は終わっていない。とすると、僕らの見ている現実は当たり前ではなくて、むしろおかしい。朝鮮戦争当時の軍隊の配備がどんどん強化されている。事の始まりと現状を無意識に受け止めるのではなく、どうしていくべきなのか、もう一度一人一人が考え直さないと、現実は変わらない。そういう見方をする人が減っていて、だから多くの人が現実を見るまでに時間がかかるかもしれませんが…。特にいまの若い人は、集団的自衛権を行使する自衛隊を当たり前のものとして疑問を持たないか、そもそもそういうことに関心を持たない人が増えていることに危惧を感じます。

大内 1950年代の湘南海岸というと、アメリカの海兵隊がいて、上陸作戦の演習を行っていた。それが沖縄に移転した。目の前から海兵隊はいなくなったけれども、そのため、沖縄の人たちがずっと苦しんできた。戦争の影は決してなくなったわけではなく、隅に追いやられて中央からは見えにくいが、ちゃんと見ないといけない。
 朝鮮戦争後、自衛隊は米軍のお手伝いを、どういう形でするのかということを日米両国で検討しながら大きくなってきた。けれども、いまはそれだけでは済まなくなってきて、戦争法が成立し、専守防衛つまり日本を守るだけではなく、世界中に出かけてアメリカといっしょに戦争をやりますよという法律まで作ってしまった。どんどん見えないところで危なくなっていることを、多くの人がきちんと見てほしいと思うわけです。

種田 自分の子どもの頃、米軍機の騒音は相当うるさかったのですが、先日藤沢に行ったところ、あまりうるさくない。それは横須賀の空母の艦載機がほとんど岩国に移転したからです。岩国で米軍機がトラブルを起こして、滑走路を塞いでしまった事故を起こしましたが、目の前にいないと自衛隊も米軍の影も見えない。 私も練馬に住んでいますが、最初、練馬に自衛隊の駐屯地があることを知りませんでした。
実際見に行っても高い塀に囲まれていて、もしかすると近隣の人のなかに、そこが何なのか知らない人がいるかもしれない。批判の対象が目の前からいなくなって、あるいは見えなくなって、実際はどんどん大きくなっている。また、以前私たちがイメージしている自衛隊とは大きく様変わりしている。そういう知らないところ、目に見えないところで、正確に言うと、私たちが注意していないところで、いつのまにか自衛隊が海外で戦争できる集団になっていることに注意をしていかなければと思います。

 

北朝鮮への威嚇と朝鮮半島の変化     

大内 横須賀も横田も米軍基地であると同時に国連軍の基地でもあります。最近、米軍以外に、イギリスからもフランスからも国連軍基地を使用にやってくる。金・トランプ会談以降、朝鮮を威嚇する演習をまったくやっていないかというと、そうではない。イギリス海軍が機雷掃海の演習を自衛隊と共同で行う。
 あるいは、つい最近(7月27日)、グアムの米空軍のB-52爆撃機2機が、自衛隊小松基地のF15戦闘機6機と日本海空域で共同訓練を実施しています。
米韓合同演習はやらないけれども、朝鮮を威嚇することは続けている。訓練・演習は即実戦に切り換えられます。当然、朝鮮の方も身構えざるを得ない。
 そのように、米軍や国連軍が威嚇を続けているなかでもすごいと思うのは、朝鮮と韓国の話し合いがまず行われて、それが金正恩委員長とトランプ大統領の会談につながったということです。とりわけ、韓国の人々の平和への強い思いですね。韓国がどんどん変わっていることを見なくてはいけない。朝鮮もそうです。金正恩はスイスに留学した人で、当然世界を知っている。このままでは、朝鮮はやっていけないこともすごく自覚している。
 朝鮮労働党は、2016年に36年ぶりに第7次大会を開催しましたが、その大会で核開発と経済発展を並行して進める「並進路線」を決めた。経済発展が非常に大事だと指導者として見ている。そのためには戦争の継続態勢は何とかして止めなければならない。軍としても、粛清というひどい形ではありますが、どんどん若返りしている。朝鮮も変わりつつあるなとすごく感じるわけです。
 韓国の変わり方もすごい。いまの文在寅(ムンジェイン)大統領は朝鮮とと話し合いができ、朝鮮に対する経済協力にも備えている。韓国の大統領、あるいは広く韓国の政治体制が変わる大本はソウル市長選で、元市民運動の活動家の朴元淳(パクウォンスン)が市長になる(2011年)という大きな変化が2010年代になってから生まれた。
 朴槿恵(パククネ)大統領を辞任に追い込んだときのろうそく革命、ろうそく革命というのは何回かあったのですが、今回その市民の運動をソウル市が全面的に支持した。日本の国会前行動とはえらい違いですけれども、ろうそく革命は20回集会を開催して、国民の3分の1が参加した。ソウルでの大集会のとき、警備の警官隊を出動させて誰を守ったかというと、集会の参加者を守った。仮設トイレをつくったり、病人が出たときのために救急車を配備するとか、周辺のトイレも集会の参加者に使わせるようにするとか、それを全部ソウル市長がやった。
 そういう広がりがあって、朴大統領はいったんは戒厳令の準備をしたのですが、とてもできなくて止めた。大統領に対する弾劾裁判も国会で審議されたが、与党も「朴大統領では政権は持たない」と、市民運動の力を見て判断せざるを得なかった。市民運動が国会を変え、韓国の政治を変え、それが南北首脳の会談につながり、トランプ大統領を金委員長との話し合いの席に着かせる状況をつくった。そういうことを日本だってできる。すぐにはできないにせよ、できるのだという希望を感じますね。

今後の課題は若い人の参加                            

種田 私も韓国の状況に注目していました。自分の仕事柄、裁判官に対する不満もある。日本の裁判官は、誰を見て仕事しているのかなと。特に国を相手にする裁判になると、いつも国あるいは最高裁を見ている。いまの最高裁は安倍さんに牛耳られている。市民とか国民のためとかいうことは考えていない。では、どうしたら裁判や裁判官を変えられるかな、それにはやはり市民の力が必要です。裁判官は国民が選挙で選べるわけではないし、最高裁の裁判官は、任命後の最初の衆議院議員選挙の際国民審査を受け、その後10年ごとに再び国民審査を受けることになっていますが、それだけでは不十分です。
 韓国では、市民団体が裁判官を監視して、裁判の結果などを数値化して、まるで通知表のように評価している。市民団体は言っているだけではなくて、その声に勢いがあり、裁判所もそれを踏まえて人事などを決めている。そういう動きがないと、世の中も変わらない。私も薬害エイズ訴訟のときに、厚労省や裁判所をとり囲んだ。韓国のろうそく革命もすごいですが、裁判制度に対する市民の動きもすごいし、見習わなければいけないところがいっぱいある。私はアメリカとかヨーロッパには、ちょっと違う感じを持っているのです。歴史も違うし。その点、韓国には近しい思いがあるので、韓国にできて、日本ができないことはないと思うのです。その良いところを取り入れて、日本でも韓国のような動きができるようにしていきたいと思っています。
 戦争法の時は、日本でも国会前に若い人たちが集まり、頑張って行動しているのを見ると、まだ日本も捨てたものではないと思いました。しかし、若い人たちと話し合うこともありますが、全然関心のない人もいるし、二分化していると感じます。でも関心のない人たちにも呼びかけ話し合って、そういう人たちが動いていく、状況をつくらないといけない。それにしても、韓国の市民の行動はすごいなと、大内さんのお話しを聞いて感じました。

大内 先々月、韓国に行きましたが、在韓米軍基地、韓国駐留の米軍基地がどんどん南に下っている。在韓米軍は、在日米軍よりずっと少ないのですが、北との軍事境界線から南の遠いところに下っている。アメリカとしては韓国に「もう自分でやりなさい」と言っているわけです。国連軍司令部も在韓米軍司令部も6月29日に、ソウルの竜山基地から南方の平澤にある米軍基地キャンプ・ハンフリーに移転した。もうアメリカは韓国を実力で守ることをしないのかと思います。
 では、ソウル市内にあった広大な米軍基地の跡をどうするのかなと見ると、市民運動主導で公園にしようという運動が広がっています。平和運動と環境保護運動は密接な関係があって、米軍が撤退した後、汚染された土地をどうするとか、そういうことを話し合いながら、基地撤去運動を進めている。そういう運動を推進している人を見ると、30代から50代の人が中心になっています。しかもその年代の人が専従になって事務局を支え、その人たちを市民が経済的にも支えています。長老は後ろに退いて見ているだけです。年配の世代の人たちは、韓国の軍事政権時代、軍や警察が市民に発砲するような時代に運動を経験してきた強者なのです。そういう人たちが若い世代の活躍をにこにこして見ている。そういう光景を日本でも早く見たいものです。 (文責 勝山)
                                                      ※この続きは次号に掲載します。

練馬区地区区民館、地域集会所の利用について
       練馬区誤りを認め、貸し出し条件を修正          

 西大泉九条の会が西大泉地区区民館に登録外団体としての利用申請したのに対し、地区区民館から政治・宗教活動の禁止。利用者を特定できない団体・個人は理由の如何を問わず利用はできないので、利用者名簿を確認するとして、前日までの持参を求めてきたことについて、西大泉九条の会は異議を申し立てました。また九条の会練馬連絡会や九条の会東京連絡会に報告するとともに、練馬区議会各会派にも相談したところ、あきる野九条の会から、同じような事案で公民館に配架していた九条の会のニュースが政治的として禁止されたが、その後の交渉と市議会質問によって、撤回されたことが明らかになりました。

区議会への区の返答 

  6月14日の練馬区議会で、岩瀬たけし議員が質問し、地域文化部長から概要次の回答がされました。「登録外団体・個人の地区区民館の申請に対して、政治・宗教活動を理由とした利用制限、及び利用にあたって利用者個人の特定を条件とする条例の規定はありません。地区区民館の文書内容の間違いを正し、速やかに修正しました。また管理運営上定員を超える場合は、利用承認の際に人数の確認を行ってきましたが、個人までを特定する必要はないため改めました。また団体登録については、団体登録によって、予約の優先や減額・免除制度などの優遇措置を受けるが「特定の政治上の主義及び宗教の教義を推進し支持し、またはこれに反対することを主な目的」とする団体(政党、宗教団体)は地区区民館条例によって定めた規則・要綱により登録できません。
 ただし、政治や宗教の勉強会、研究会などの活動をする団体は現に登録団体として承認し、利用してもらっています」という内容でした。
 これは公務員は申し出のあったすべての国民の政治活動を保証する憲法上の義務と、公務員として特定の政治団体に便宜供与することを禁止する政治的中立をごっちゃにしてきたことが原因と思われます。政党も学習会の名前を付ければ利用できることが明らかになりました。また利用者を特定できない使用は理由の如何を問わず禁止とは、よそ者を寄せ付けない犯罪予防のニュアンスが感じられ、人格を認めない意識が根底にあるように思われます。
   

名簿提出義務はなくなる

 これによって政党ではない九条の会は登録にあたって何ら問題はない。登録外団体・個人として利用するときはチラシその他の宣伝ができ、定員をまもればよく、名簿の報告義務はなくなります。
 これで長年紛争の種となってきた問題に決着がついたわけです。
他自治体の取り組みの教訓や、議会との連携が大きな成果となりました。
 その後地域集会所、地区区民館への周知徹底を求めて地域振興課と交渉を行いました。そこで団体登録申請書裏面にある
「不特定多数の利用でない」(構成員は事前に把握しておく)。
「チラシ(新聞折込を含む)・ポスター・ホームページなどで自由参加の希望者を募集しない」
の文言は不適当であり削除を求めました。これについてはおっしゃる通りなので検討すると回答を得ました。        大柳武彦(ねりま九条の会事務局長)

                                                     

3000万人署名を達成し、安倍9条改憲に終止符をうちましょう

新しいチラシができました!

 安倍政権、自民党は今国会で改憲手続法の改正を実現することで改憲の火を継続させ、ほとぼりを冷まして、秋の臨時国会での改憲原案の提出をねらっています。安倍改憲に終止符をうつには3000万人署名の力で改憲発議を断念させ、安倍政権を退陣に追い込むしかありません。安倍政権を退陣に追い込んでこそ、改憲の策動は止まります。                  
 しかし、九条改憲に危惧や不安を持ちながらも、声をあげる機会をもたない人や署名のよびかけを待っている人が、練馬区内にもまだまだたくさんいるに違い
ありません。3000万署名の第4次集約は、9月30日、第5次集約は国会情勢を見て判断するそうですが、力を合わせて、空白地帯に呼びかけ、3000万人署名を達成しましょう。改憲発議を断念させ、9条改憲に終止符をうちましょう。 

 

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