119 号 2025年2月発行
膨張し続ける防衛予算
大内要三(日本ジャーナリスト会議会員)
◆2025年度の当初予算は8兆4748億円
2024年度の日本の防衛予算は当初予算で7兆7249億円でしたが、補正予算を加え事業費は9兆円を超えました。2025年度の当初予算は8兆4748億円の予定です。いったい何にそんなに使うのでしょうか。
まず、米国からの武器爆買いがあります。2024年度予算中のうち9316億円がこれに当たります。FМS(有償援助)という米国政府を通じての購入で、「特別防衛調達」は10年までのローンですから、その支払残高は年間の防衛予算額に匹敵する8兆円超の規模になりました。
◆何を買うのか
たとえば、巡航ミサイルのトマホークを導入しています。400発で2123億円。射程1600キロと中国大陸まで届く攻撃能力を持つわけですが、低空をジェットエンジンで進行するので、迎撃される可能性が高いものです。沖縄にいる米海兵隊にも配備される予定でしたが、自衛隊が持つならというので、これは中止になりました。
戦闘機に積むスタンド・オフ(敵国を領空外から攻撃できる)ミサイルのJSМとJASSМも買います。JSМはF- A戦闘機に搭載します。F- Aを日本は105機、艦載のF- Bは 機を導入することは、安倍政権時代に約束されました。1機の価格はA型が 億円超、B型が100億円超とされますが、FМS調達では納入時まで価格が決まらないので、最終的にどうなるかは不明です。さらにパイロット養成等の費用がかかります。新鋭機は操縦席から床下も含め前後左右すべてが見えるとか、肉眼では見えないような遠くの敵を攻撃できる能力を持ちます。
ごく一部の例を挙げましたが、他にも、イージス・アショア用に買ってしまったレーダーを活用するために大型イージス艦を2隻つくるとか、米国では事故続きのため生産中止が決まっているオスプレイの導入を続けるとか、きりがありません。例えば、それはともに戦うためであり、自らは防衛費削減に努めている米国の軍事力を補完するためです。
◆海外で米軍とともに戦うために
2015年の安保法制で集団的自衛権の行使、つまり海外で米軍とともに戦う法整備をしました。2022年には5年で43兆円という「防衛力抜本的強化」方針を決めて予算をつけました。自衛隊と米軍が同じ武器を使えば勝手が分かって共同作戦がしやすい。実際にともに戦う準備のために、自衛艦に米軍オスプレイが着艦したり、米軍のオスプレイで自衛隊の負傷者を運んだり、自衛隊機が米軍の兵士や物資を運んだり、米軍の給油機から自衛隊の戦闘機が給油を受けたり、米軍の爆撃機を自衛隊の戦闘機が護衛したり、米軍のオスプレイを自衛隊木更津基地で整備したり、といったことが行われています。
◆日米共同演習の実態
では、どのような場面で使うためにこれらの武器が準備されるのか。それは、近年の日米共同演習の実態を見ると分かります。とりわけ交互に行われるキーン・ソード実動演習、キーン・エッジ指揮所演習は、共同作戦計画を練り上げるためのものです。日本有事、朝鮮有事、台湾有事の各共同作戦計画が秘密裏に作成されています。
直近のキーン・ソードは昨年の10月から11月にかけて行われ、自衛隊3万3000人、米軍1万2000人が参加、オーストラリア、韓国、NATOなどからもオブザーバーが参加しました。台湾有事対処の想定であることは、実施場所の中心が奄美大島、徳之島、沖永良部島であったことでも分かります。九州・沖縄の部隊だけでなく、全国各地の自衛隊が移動し、民間空港や港湾も使われて、住民避難や負傷者後送の訓練も行われました。
この2月から3月にかけて行われたアイアン・フィスト演習の一環として、沖縄本島の金武で行われた米海兵隊と自衛隊の水陸機動団合わせて4000人が、占領された離島を奪還する想定の着上陸訓練をしました。同訓練は19年前から米国で自衛隊を教育する形で行われていましたが、近年は日本で一体化した形で行われています。
「防衛力抜本的強化」方針には7項目が挙がっていますが、なかでもいま力を入れている第1は、統合防空ミサイル防衛です。空からのあらゆる攻撃に備えて衛星も含めた情報ネットワークをつくり、射程を伸ばしたミサイルで迎撃のみならず敵地の先制攻撃もできる能力を構築します。
◆異次元の軍拡が進む
第2は、南西地方防衛力強化です。自衛隊新基地とハワイ・グアム米軍基地とを結び、中国軍の台湾包囲・太平洋進出を阻止します。米海兵隊の遠征前方基地作戦(EABO)に対応したものです。沖縄離島のミサイル基地には大規模な弾薬庫がつくられ、グアム・サイパンはすでに日米共同使用になりました。米軍は移動しながら戦いますが、反撃を受け止める住民の事前避難が可能とは思われません。
第3は、サイバー攻撃能力の強化です。日常から情報監視を強化する監視社会になります。陸上自衛隊のすべてを統括する陸上総隊司令部のある朝霞駐屯地(練馬区大泉学園町)周辺は、重要土地調査法の注視区域として、住民監視も強化されるでしょう。首都制圧部隊(第1師団)司令部のある練馬駐屯地も同様です。
他にも、イスラエルから攻撃型ドローンを輸入したり、陸海空の全部隊を指揮できる統合作戦司令部が新編されたり、陸上自衛隊に輸送艦を建造したり、全国で弾薬庫を増設したり、軍事使用ができるように各地の民間空港・港湾を整備したり、高等工科学校(中卒の准自衛官)を共学にしたり、有事住民避難訓練を各地で実施したりと、さまざまな取り組みが進んでいます。
着々と異次元の軍拡が進んでいるわけですが、軍拡が必要な理由として、ロシア・中国・朝鮮の脅威が言われます。戦前の陸軍の露華鮮主敵論と同じです。しかし日米が先行した東アジアの軍拡競争こそが脅威だと言うべきではないでしょうか。偶発的衝突が戦火拡大に発展し、世論がそれに火を注ぐような愚かなことを繰り返してはなりません。
公共空間が危ない—再開発でねらわれる公園・学校
埼玉大学名誉教授 岩見良太郎
◆ゆきづまる大規模都市開発
今世紀初頭、小泉内閣と石原都政はタッグを組んで、東京大改造に乗り出した。その開発戦略は、「選択と集中」である。 都心部や駅前といった、開発ポテンシャルが高い地域に、都市計画の規制緩和や補助金・融資・税の減免等、 様々な支援策を集中させる政策である。
これにより、再開発は爆発的に進み、超高層オフィスやタワーマンションが次々と建設されていった。大規模都市再開発により、多くの住民や商業者が地域を追われ、都市の著しい環境破壊が引き起こされていったのである。
しかし、いまや、こうした巨大開発は行き詰まりを見せるにいたっている。背景には、少子高齢化社会と経済の低迷によって、オフィス・住宅需要が減退するという構造的問題があるが、開発企業にとって、うま味のある開発適地が少なくなってきたことも、大きな要因として見逃せない。
そこで、この窮地を打開するため、最近、ディベロッパーはある妙策を打ち出した。それが、公園や学校といった公共空間を再開発に取り込むことである。こうした公共空の権利関係は、民有地とは違い、きわめてシンプルなので、簡単にかつ、割安で入手できる。
開発企業にとっては、この上ないうま味のある、最高の開発用地といえるのだ。
◆「稼げる公園づくり」で公園破壊
再開発による公園取り込みのわかりやすい例は、神宮外苑再開発である。東京都は、「公園まちづくり制度」という都独自の手法をつくることによって、公園の一部を削除し、そこに、超高層ビルを建てることを可能にしたのである。渋谷区の宮下公園のように、立体公園制度をつかって、公園を持ち上げ、その下に、ホテルやショップをもうけるといったこともおこなわれている。 いま全国的にひろがっている、公園─PFIによる公園整備も警戒すべきである。公園の一部に出店をみとめ、その見返りとして、業者に、稼いだ利益の一部で、公園の整備・管理させるというものだ。しかし、その際、業者の管理費負担の軽減のため、樹木が伐採され、広場のコンクリート化がはかられる。あるいは、江戸川区のある公園のように、子供広場を大きく圧迫するかたちで店舗を配置し、さらには、酒も提供するということで、 子供への影響が心配されている。 公園─PFIによる公園破壊に対しては、いま、全国的に、反対の声が巻き起こっている。そもそも、公園—PFIの運用においては、計画段階から、 公園の利用者である住民の声を反映させることが、決定的に重要であるが、その制度が全く用意されていないのである。
◆再開発で狙われる学校用地
学校用地もねらわれている。学校統廃合によって生み出された学校跡地が、再開発で活用されるのだ。2014年に制度化された都市のコンパクト化を促す立地適正化計画と、公共施設等総合管理計画にもとづく公共施設の縮小的再編が強力なテコとなっている その「見事」な例が、さいたま市の大宮駅東口で進められている「連鎖型まちづくり」である。これは、公共施設を、玉突き的に次々と移転させ、その跡地で開発をおこなっていくというやりかただ。 駅前再開発は、NHK が辞退したため、かわりに、市民会館を移転させた。次いで、区役所の移転建て替えをおこない、そこに図書館を統合した。いま、区役所跡地とそれに隣接する小学校を一体化して、再開発をおこなう計画がすすめられている。
学校が再開発の犠牲にされる例は、枚挙にいとまない。東京駅前の、巨大再開発では、城東小学校という関東大震災後建てられた小学校がつぶされ、再開発ビルに収容された。
豪華な温水プール、可動屋根式の屋上グラウンド付きだが、それらは、もっぱら都民に貸し出されている。コンクリートに閉じ込められた環境で、健全な教育ができるとは到底思えない。
北区赤羽駅前では、再開発計画が進められているが、その計画地に隣接する小学校を再開発ビルに収容するか、あるいは、他地区へ移転させるかが検討されているのである。
渋谷区神南小学校では、小学校に隣接するところで、再開発計画が進められているが、その事業者に空中権を百億円で売却し、その金で小学校を建て替えるという奇策が企てられている。盗撮や落下物の危険から、反対運動が起きている。
◆「自由な空間」としての公共空間
公共空間は、だれもが自由にアクセスでき、自由にふれあい、自由に活動できるかけがえのない場所、市民の共有財産である。その意味で、公共空間は、都市の本質的要素といえる。豊かな公共空間こそが、豊かな都市を創造するのである。豊かな公共空間は、商品として供給することは不可能であり、したがって、資本の手によって造り出すことはできない。
マルクスは、『資本論』で、 「それ自体が目的であるとされる人間の力の発達」が実現可能となる 「真の自由の王国」を、未来社会として展望した。そして、 「労働日の短縮」により、自由時間を得ることが、その根本的条件であるとした。
私は、ここで、さらに「自由な空間」を付け加えたい。公共空間を守り、豊かにしていくまちづくり運動こそが、そうした条件を生み出していくのである。
いわみ りょうたろう 1945年生まれ。専門は都市工学。著書に『土地資本論』(自治体研究社)、『場のまちづくりの理論』『再開発は誰のためか 住民不在の都市再生』(いずれも、日本経済評論社)など。
財界ファースト・都民置き去り都政を問う
末延渥史(都政問題研究家 )
小池都政が誕生して9年が
経ちました。果 たしてこの 9 年の 間 に、 都 民 の 暮 らしは 改善されたの でしょ うか。東 京の まちは住みやすく、 地球 に優しい都市に変わっ たので しょ うか。都政が「 都民の 声 が届く」 身近な自治体に生まれ 変わっ たの でしょ うか。
いま、都民は歴代自民党政権による大軍拡・消費税大増税、社会保障の連続改悪、雇用破壊さらには異常な物価高騰のもとで生活の困窮を深めています。
このようなときに自治体に求められるのは憲法が定める社会権の実現、 「健康で文化的な最低限度の生活」の保障、さらには地方自治法が定める「住民の福祉の増進」の立場にたった都民の生活の防衛に全力を挙げることではないでしょうか。
ところが小池都知事はこの自治体の長としての責務を投げすてて、石原都知事が都政にもちこんだ超高層ビルを柱とした東京大改造と新自由主義政治、独断と専横の都政を都民に押しつけています。
こうしたもとで東京ではこの 年間に高さ100mを超える超高層ビルが403棟も建設され、温暖化物質の二酸化炭素が増えつづけ、地球沸騰化と異常気象をもたらすとともに、東京都の人口が211万人も増加。人口の過密、1万5112人(2024年度)もの保育所待機児、学校の教室不足、低所得者のための住宅の不足など東京一極集中の弊害を加速させています。
また、大企業のための「稼ぐ都市」のもとで、 東京の完全失業者は毎年 万人を超え、非正規雇用者が233万人(全雇用者の ・6%)にも達し、就業者人口の半数以上が「労働の再生産」が困難なラインとされる300万円以下の収入で働かされるなど、東京の貧困と格差は拡大する一方です。
第1回都議会定例会で4年連続過去最高額となる2025年度一般会計予算(全会計ではスエーデンの国家予算に匹敵)が成立しました。しかし、小池都知事が提案した予算案はその豊かな財政を困窮する都民のために使うのではなく、開発行政に惜しげもなくつぎ込む財界ファースト・都民置き去り予算に他なりませんでした。 実際にその内容は、築地や神宮外苑などの超高層ビル再開発を軸に、お台場の巨大噴水、特定整備路線などに都民の税金を湯水のようにつぎ込み、1兆円を超える投資的経費を計上する一方、高すぎる国民健康保険の引き下げ、小中全学年での少人数学級実施や教員の大幅増員、新規都営住宅の建設、商店街振興予算の拡充などの都民要求にはまったく応えようとしないばかりか、喫緊の課題となっている物価高騰対策予算を全体のわずか0・9%に止め、少子化対策でのパフォーマンス予算を優先するという、恣意的で著しく公平性を欠く予算となっています。7会派 議員が反対しました。
6月に迫った都議会議員選挙では小池都知事の都政運営の実像を都民の前に明らかにするとともに、 市民と野党の共闘を発展させ、自民・公明・都民ファの与党勢力に厳しい審判を下さなければなりません。
日本の戦争被害者への保証問題は
すずしろ9条の会・中村茂樹
日本の戦争被害者への補償問題は、国の対応における深刻な不平等と不公平が浮き彫りとなっている。特に軍人恩給、空襲の被害者、原爆被害者への補償や治安維持法犠牲者への謝罪と名誉回復もなされていない。これらは現在も解決されていない課題として残っているが、日本という国家がどのように戦争責任を認識し、どのように補償を行ってきたかに密接に関連している。
◆軍人恩給の不公平
軍人恩給は、1875(明治8年)4月、佐賀の乱、台湾出兵等を背景に、軍人を対象として発足した最も古い年金制度である。
敗戦後、軍人には恩給が支給されたが、その対象は「お国のための軍務に服した者」に限定されており、恩給を受けられなかった多くの軍属や民間動員者には支援が行われていない。具体的には兵と将校の受給格差に問題がある。軍将校の受給格差に問題がある。軍人恩給の制度には、旧日本軍の階級制度がそのまま反映されており、兵士と将校の間に受給額の大きな格差がある。例えば、将校など上級軍人には手厚い年金が支給されるのに対し、下級兵士や徴用工などは十分な支援を受けられない状態が続いている。そして特に軍属や準軍属には補償が薄く、これに対する不満が根強くある。また、補償制度の運用において「国との雇用関係」が重視され、国家との特別な関係がない戦争犠牲者には補償が届かないという不平等が存在している。
◆空襲被害者への補償
東京空襲などをはじめ民間人への戦争被害者への補償が十分ではないことも問題である。空襲被害者には補償法が存在しないため、国からの救済措置はほとんど行われていない。
空襲で障害を負った民間人への支援は、地方自治体が独自に行っている場合もあり、国の支援がないことが大きな問題となっている。空襲被害者も救済法制定を求め、50年以上運動をしている。空襲被害者には被爆者援護法のような救済制度すらない。国は空襲で体に一生の傷を負っても、父母を殺され戦災孤児や遺児になっても国は救済をしていません。国が実態調査をしていないため、正確な犠牲者数もわかっていない。
私ごとですが、私家の前の家の同級生のお母さんは、3・10の空襲で逃げるなか、家族とはぐれ隅田川に飛び込みなんとか命を留めたが、他の家族5人は亡くなった。本人も両腕にケロイドが残っていた。早乙女勝元さんから、取材の申し込みもあったが、あまりにの鮮烈な記憶なので思い出したくもないので受けなかったと仰っていた。
超党派の国会議員連盟は、心身に障害を負った生存者への一律50万円の一時金支給と実態調査、追悼事業が柱の法案をまとめているが、救済の対象者も支給額も絞り込んだ限定的な内容だ。しかし、それでさえ、自民党の一部議員の反対で法案提出に至っていないのが現状である。全国空襲被害者連絡協議会は、国会での救済法案の成立を求め、戦後 年たってもなお民間人を差別し続ける日本政府を「人権を尊重する民主国家といえるのか」と批判している。
◆原爆被害者の補償
原爆被害者への補償についても十分とは言えない。原爆被害者援護法はあるものの、その対象は放射線被害に限定されており、爆心地での死者やそれに伴う多大な被害への補償は未だに不十分だ。日本原水爆被害者団体協議会も「原爆被害への国家補償」の実現や、核兵器のない世界の実現に向け、日本政府に核兵器禁止条約に署名するよう要請し、国会で議論を深め、批准するよう求めている。 さらに現行の原子爆弾被爆者に対する援護法は「原爆被害への国家補償」に基づく法律にはなっていない。原爆被害者は被爆者だけではなく、原爆孤児、遺族、被爆2世も原爆被害者だと指摘し、国家補償に基づく原爆被害者援護法を制定すること。核兵器の禁止、廃絶に向けた国会での議論などをすすめることなどを求めている。原爆で亡くなった多くの人々に対する償いが行われていないことは、戦争の痛ましい記憶を風化させないためにも重要な問題である。
◆治安維持法違反者の名誉回復
1925年に制定された治安維持法は、当初、共産主義、社会主義運動の取り締まりを目的としていたが、次第に言論や思想の自由を抑圧する道具となり、多くの人々が弾圧され犠牲者を出した。戦前戦時中に治安維持法違反として弾圧を受けた人々は、戦後も「アカ」と言われるなどして、その名誉を回復されることなく、不公正に苦しんできた。敗戦によりこの法律は廃止されたものの、その執行者であった特高官僚は戦後も生き延び、国会議員、地方議員など行政の執行者として戦後政治の一端を担い、その流れは現在に至っている。
そして今、政府の動きの中に治安維持法を想起させるような傾向が見られることに強い懸念を抱く。例えば、共謀罪の導入や、政府に批判的な言論への圧力の強化などが挙げられる。民主主義の本質は、多様な意見が尊重され、自由に議論が行われることにある。しかし、治安維持法のような悪法による抑圧的な政策が復活すれば、社会の自由は失われ、日本は再び暗い時代へと逆戻りしかねない。 日本では、戦争責任を問う動きがあったにもかかわらず、戦時中の治安維持法による圧力に苦しんだ人々への正式な謝罪や補償が行われていないのが現状である。
◆諸外国との対比
これら戦後日本の補償問題は、欧州諸国などと比較しても不公平である。ヨーロッパでは、戦争による民間人の犠牲者への補償が広範囲に行われており、戦争責任を果たすために政府が積極的に補償を行っている。たとえば、ドイツは戦後、戦争犠牲者への補償を進めるとともに、ホロコーストの生存者への支援をしている。
対照的に、日本は戦後、特定の軍人には補償を行った一方で、民間人や軍属、戦後処理の過程で犠牲となった人々への対応が遅れ、十分な補償が行われていない現状が続いている 。
◆結論
日本の戦後補償の問題は、軍人恩給や東京空襲被害者、原爆被害者や治安維持法犠牲者などに対する補償が不十分なことにある。その原因は国の戦争責任が明確にされていないことに起因している。この問題を解決するためには、まず政府が戦争責任を真摯に受け止め、すべての戦争犠牲者に公平な補償と名誉回復を行うことである。
そして、私たち一人ひとりが民主主義の価値を再確認し、それを広める努力を続けることが必要である。この日本をふたたび戦争をしない、暗黒政治にさせないために、平和憲法を守り育てる運動を大きく広げていく事が必須だ。